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記事No 774
タイトル 近況…というかチューンの話(汗
投稿日 : 2014/07/28(Mon) 04:35:17
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先 http://www.neginoleader.com
皆様お久しぶりでございます〜
もはや忘却の彼方にぶっ飛んでいてもおかしくない管理人です(汗


さてさて…やっとこさ梅雨も明けてくそ暑い日々ですが、私も何とか生きてますよ(笑
とはいえ、今年はいろいろあってこの時期が例年以上に忙しくてちょっと微妙で
あったりするのですが。
9月位までは更新もほぼ出来ない可能性が高いのでご了承下さいませ_| ̄|○

とはいっても私にご相談やら依頼の件がある方々がおられれば、そのあたりは
遠慮なくどーぞ。
…そういうのもやらなくなってしまうと私のアイデンティティが崩壊してしまうので(汗


で、あまり皆さんに楽しんで頂けそうなネタは無いのですが…
最近の依頼品でアドレスV100のエンジン調整、というのがありまして。
これなら多少はネタになるかな、と思いますのでその手の話が好きな方は是非
この先を読み進めて下さいな。

仕様としては台湾ボアアップ+PWK28φ、ワンオフのスポーツマフラー等といった結構
豪華なストリートアタック仕様なのですが、これのバランスが悪そうだ、という事で
検分をお願いされたんですよね。


なお、最初にくっついていたのがノーマル改造シリンダーでして…コレは私がこしらえてる
物では無いのですが、結構ハードに改造されててこれもありかな、と思ったりしましたが。

しかし、あまりにもポートタイミングが遅く、オーナーさんはスポーツマフラーを使っても
全くもって高回転パワーバンドでの気持ち良さが無い、と指摘されており、そりゃあ
これでは仕方が無いな、といった感じでしたよ。

アドレスV100の場合、掃気はともかく排気タイミングはノーマルではBBDC82°程度に
なっており、これでは2stとして高効率を得られるタイミングには程遠いんですね。


で、それとは別に、台湾系の57φボアアップも組まれていた、という事なのですが
こちらはワンオフスポーツマフラーと組み合わせるともっと酷かった、という事で(汗

…いつものクチですが、私もそれを分析したところ、そりゃあ当然です、としか
言えない様なうんこボアアップでして、世の中には粗悪品は数あれど、こんなに
酷いのは初めてかも、という酷さでしたよ_| ̄|○

純正構成に近いポートのシリンダーを、ボーリング加工してオーバーサイズピストンを
ぶちこんでいるキットの場合だと、ボーリング量が大きければ大きい程にポートの
タイミングは下がって遅くなる上、掃気ポートなんかは「下側」の位置もかなり下がって
しまい、ピストン下死点でもかなり通路がピストンで隠れている、という事になりがちです。

それがこのV100用57φボアアップキット、第1掃気と第3掃気においての、ポン付けの
掃気ポートタイミングは第1でBBDC54°、第3に至ってはなんとBBDC44°という始末で、
これ本当にエンジン掛かるのか?といった酷い状態でしたよ(泣

(※V100はサイド掃気が一個しかないので第2掃気が無いという扱いです)


排気タイミングはは言うに及ばずで、BBDC78°というタイミングですが、これでは
82°のノーマルタイミングにおいて、ノーマルマフラーで6000rpm程度にしかピークが
出ていないV100ですから、ノーマルマフラーを用いた場合だとピークが出るのは
5500rpmとかそういった無茶苦茶さになる事は間違い無いでしょう。
(こういう場合、実際にはピークどころかパワーバンドらしき物すら発生しないです)

私はこんなモンだとポンでくっつけて使う気なんてさらさらありませんが、いくらボーリング
ボアアップとはいっても、スリーブ部分作成の手抜き具合等を見た感じでは一から型を
造っているっぽいのになんだこの酷さは、と…
わざわざこんな特性を狙って型を起こしているのか、と考えたら一体どんな人間が設計を
行っているのか、と心底謎だと感じてしまいましたね。

私、普段はよほど酷くてもなんとかなるならば名指しでコレは駄目あれは×、とかって
言わないのですが、こればっかりは言わせて頂きますよ(笑
よくある台湾系のV100用57φボアアップキット、ポン付けじゃあゴミ以下の品です、とね…
セッティングがどうこう、ではなく最初からまともに動く様に出来て無いですよ。


んが、そんなブツでもピストン自体は寸胴ではない上に材質も悪くなく、ピストン
クリアランスやシリンダーの内壁精度はそのままでもいけそうな位に悪くなく、その辺は
評価出来ますけれどね。

後、この手のV100コピー品だと、アルミシリンダーに圧入されている鋳鉄のシリンダー
スリーブ部分の、ヘッドガスケットに当たる面って鋳鉄じゃ無いですよね。
純正品だと、スリーブ部分とヘッドガスケット面が繋がっている一体整形で、ヘッドナットで
締め付けた上でスリーブ部分の万が一のズレを無くす為の設計だと私は分析して
おりますが…社外品だとスリーブ部分のみが丸い筒になっており、シリンダーに圧入されて
いるだけで、そういった面は全く考えてませんね。

補修用、と銘打っているノーマルボアサイズでもそうなっているので、やはりそのあたりは
お値段なり、という事でしょう…


とまあ、そんな酷い状態のボアアップですが、オーナーさんは中古で使われた物と
新品の同じ57φキットをお持ちだったので、ならばそれをベースに何とかしましょう、と
いう事で各部分析から初めてチューニングを行っていっているのですが。
これがまたかなりの調整の難易度でして(汗

前述のポートタイミングは、「加工」のみでは絶対に目的の数値、と言いますか
ベターな所まですらも持っていけない位に無茶苦茶なので、ロングストローク仕様でも
無いのに、ベーススペーサーをこしらえてガスケットでサンドイッチ装着、という手法を
取らざるを得なくなりましたね。

とはいっても、これはDio系とかであればあまり問題が無く、JOG系だとやるべき場合は
やった方が良い、といったレベルなのですが、原付二種系だとどうしてもやらなければ
ベターなものすら作れない、という場合も多いので、こういう場合はどうしても作成コストは
かさんでしまいます_| ̄|○


で、加工としては掃気ポートを2oも上に削らない位のレベルなのに、スペーサーは
2o厚な上、ベースガスケット0.5oで2枚サンドイッチですから、「2.5o」分シリンダーが
「浮いて」くる訳ですね。

もちろんその補正の分のシリンダー上面カットも必須ですし、当然スキッシュクリアランスやら
圧縮比やらの辻褄も同時設計しておかねばならないので、正直結構面倒くさいですが
とてもやりがいはあったりします(笑

私の口癖の「バランス」というモノは、エンジンの場合だとこういった感じで全ての箇所に
対して齟齬が無い、もしくは妥協出来る範囲での調整と加工を与える事でして、何が
何でもハイパワーを、という以前に最低限度の特性等を見極められないと、パワーなんて
出す以前の問題です、という事でもありますのでね…


で、このV100エンジンなのですが検分していると腰上以外にも色々と不具合が散見されて
いたので、オーナーさんと相談の上でクランクシャフトも交換、ギヤのベアリング類も全て
交換し、ハンガーブッシュやら何やらも交換した上でさらにリードブロック加工で2枚
リードバルブ仕様に加え、ダイレクトポートも掘るというかなりの作業量になったという(笑

とはいっても、これはチューンの基本中の基本ですが、元がくたびれたポンコツ車に対し
高性能パーツをいくらくっつけても性能向上はあまり見込めない、というのは当然ですし、
もしいけたとしても劣化箇所が一瞬で破壊される、という事も珍しくないので、それなりの
レベルのハイチューンを行うのであれば、他もきちんとしてないと後で損します、という
事に他なりませんしね〜


なお、V100ってリードバルブがブロックに一枚しかくっついておらず、これを2枚化して
やるのは今時では定番になっていますが…

これってノーマルリードブロック相手であれば、クランクケースとのクリアランスがそれなりに
あるので意外とやりやすいのですが、今回は社外品ビッグリードに対しての2枚化という
事だったので、クランクケースをかなり削り込んでからバルブを追加しましたよ(汗

このあたりは後で画像板に写真UPしておきたく思いますが、クランクケース左右締結の
ねじ穴ぎりぎりまで切削せねば追加バルブが入らず、強度に不安は残りますがそれで
OK、という意向でしたんでさくっとやらかしてしまいました。

ダイレクトポート加工も定番ですが、V100の場合でしかもボアアップの場合だと、
シリンダースリーブがダイレクトポート部の邪魔になるのでノーマル改の仕様以上に
さくっとスリーブをカットし、ダイレクトポートの名に恥じない具合にしてみましたね。


…とまあ私、最近はこんな事をやってたのですが、個人的にはV100ってそこまで興味が
ある車種では無いはずなのに、知らぬうちにある程度詳しくなってしまっていると
いうのも面白いところですよ(笑

とはいっても、やはり私の好物的にはホンダ>ヤマハ>スズキというのは変わらなかったり
しますが、V100って元がアレなだけにいじくるのは楽しいというのはありますね〜

最近はV100の純正改腰上キットなんかも「出せて」はいませんが、チューン自体は
嫌いではないのでそのうちまたやりたいところですよ。

特に、「元の状態」がエンジンにせよ駆動系にせよあまりにも特殊な車種である限り
楽しまれる方も多いのかな、と思いますしね。



と、近況はこんな感じですが…
来週は地元の草レースで真夏の耐久だったりするので、土日は相方のはぶしょうN氏の
FP‐JOGをメンテしてたりしました。

とはいっても前回のレースの前に腰下をリフレッシュし、慣らしがまだ終わって無い様な
段階なのですが、新たなチャンバーも投入するので全力で走らないといけないという
ハメにはなりそうですしね(笑

それに加えてさすがに自分のFS-JOGもやっとこさリフレッシュ計画が始動したので、
なんとかボーリングを終えた44φをどう料理するか、といった所で悩んでますよ…

このマシン、最後に腰上を作ったのは10年前位なので、今の技術で作り直せれば
ちっとはマシなものが出来るのでは、とわくわくしてるのは秘密で(以下略


ではでは、文章だけでお茶を濁しましたが、読んでて面白い方というのもおられるで
あろう、と信じて今回はこの辺りで失礼しますね(汗
管理人でした〜

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