記事No |
: 5518 |
タイトル |
: Re: アドレス110のトルクカムとランプレの関係について。 |
投稿日 |
: 2009/07/07(Tue) 05:07:27 |
投稿者 |
: ねぎのリーダー@管理人 |
参照先 |
: http://www.neginoleader.com |
ただしさん、初めまして。 当HP管理人のねぎのリーダーです。
さてさて。私の長ったらしいコンテンツをお読み頂けました様で嬉しいですよ。 どうもありがとうございます。 もちろん、「考え方の違い」といった物はあって当然ですし、私もただしさんとは 違った意見にも理論にもなっている部分もあるでしょうから、今回の様に具体的に 意見を下さると嬉しいですし面白いですよ。
では早速ですが。
> 「社外品の45°一直線溝のトルクカム」・・・「100%デメリットしかないゴミ」 > だと言い切った上でスズキの車両は45°の一直線トルクカムだがランプレートで > トルクカムの2段溝の変わりにランププレート2段回の折れになっていると > 説明されていましたがアドレスV100の場合、あのランプレの折れで > 変速や最加速の不良が生じるため折れのないアドレス110のランプレに > 交換している方もおられます。
はい、これはアドレスV100の45°(正確には47°位)一直線トルクカムと、それと併用されている 反り返りタイプのランププレートとの件ですね。
もちろん、私もアドレスV100の110用直線ランププレートは存じておりますが、 これをV100に流用した場合、変速回転数自体はノーマル状態より安定傾向に なる事は経験しています。
コンテンツ内では
>ドリブン側でベルトを挟み引っ張る力が強いままでも、さらにドライブ側でベルトを強い力で引っ張り
>エンジン回転数=変速回転数が上がらなくとも変速を進める事が出来、変速後半時にエンジン回転数が
>無駄に上昇するのを「それなり」に抑えているシステムになっているんです。
と記していますが、実際にはアドレスV100の場合、ノーマルだとランプ折れの速度域からは 「ランプ傾斜変更によるWRのプーリー押し出し力」が一気に強くなりすぎ、変速回転数が 維持出来るどころか一瞬下がってしまうという傾向がありますよね。
これを抑制する為に直線の110ランププレートを投入すると…WR自体がプーリーを押す力は、 V100のローラーガイド形状から鑑みますに、今度は逆に変速後半においては弱すぎる傾向が見られ、 仕方なくエンジン回転数の上昇を伴って変速していく、といったパターンになってしまいます。
これは正直、どちらも両極端なセットだと私は分析しているのですが、110ランプを流用した場合、 センタースプリングをかなり弱体化させるか、もしくは変速後半部分のトルクカム溝を45°より 立ててやる様な構成にしないと、完全な変速回転数の一定化は不可能です。
結果的に変速回転数が下がってこないのは良いが、上がってもダメだと言う事は大いにあるので、 どちらのセットもポン付けのみでは私は好んではいない、といった事を前提として下さいませ。
なお、アドレスV100のランププレート使用において、逆にトルクカム溝のみを他社の様に ランプ傾斜が変更される瞬間(約6oストローク時)に、トルクカム溝を60度程度に切り替えた場合、 ただでさえ落ち込みのある変速回転数はさらに落ち込んでしまいます。
イコール、WRがプーリーを押し出す力を受けきれずに2速シフトアップの様な症状が余計に 酷くなっているという裏付けになりますよね。
そして今度は逆に、110ランププレート使用において、トルクカム溝後半をそれなりに立てた場合、 変速回転数の上昇自体はランプポン付けよりも抑制され、センタースプリングが過剰で無い限りは ちゃんと負荷が少なく安定した変速は可能になります。
これは先程の逆の理論ですが、私はどちらも実際に実証していますので、コンテンツ内の理論においても 間違いは無いであろう、と考えています。
ここであからさまにオーバースペックなノーマルセンタースプリングだと、いくらプーリーを押す力と トルクカムを効かせる力のバランス「だけ」が取れていても変速回転数の変動は起こりえるので、 かなり煮詰めないとこれらの特性が激変するパーツを組み合わせるのは難しいと私は考えてますよ。 (ノーマル風エンジンで110ランプ+2段加工トルクカムだとノーマルセンタースプリングではまず強すぎます)
と、前置きが長くなりましたが一応ではありますが私の立証をご理解頂けたとしまして本題です。
> そして当のアドレス110のトルクカムは45°の直線です。 > これはどういう事なのでしょうか?まさかプーリー内のWRガイドが > 2段折れになっているとも考えられませんが?・・・
> この事についてどう思われているのでしょうか?ご見解をお聞かせいただけないでしょうか?
これは私、アドレス110については実車を触ったことがありませんので、構成的な物は 申し訳ありませんが正直分からないといえば分からないです。
ただ、45°一直線トルクカムのままでランププレートが一直線であるのならば、これはご指摘の WRガイドがある程度変化している物なのでは、という憶測が立てられます。
さすがに2段折れとまでは無いかと思いますが、ホンダやヤマハでも、「スロープ後半からある程度 角度が立っていくWRガイド形状」と言う物は存在しますので、110のプーリーはそういう風に何か 形状に特徴があるのかなと考えてみますね。
後、ランププレートは角度が付いていても、WRガイド側は角度の無い所にWRがある、といった 状況も構成によってはありえますから、こうなっているとその時点でランプが一直線だとしても WRガイドは最低限2段である、といった分析もあります。
もちろん、これらが明確な対策、と言いますが、メーカーさんが変速回転数を一定に近くする、と いった対策の全てでは無いかと思いますが…
あくまで私個人の分析ですが、アドレス110がそういった構成ならば、スズキさんでは元々 「変速回転数は一定を旨としていない」とも考えられるのですよ。
昔のスズキ1種のスクーターでもトルクカムは45°一直線、しかもランプにも小細工は無かった物が ほとんどだと記憶しておりますし、それらはもちろんのごとく、クラッチ完全ミート時点から 変速終了までは、耳で聞くレベルでもあからさまに変速回転数の上昇がありましたし。
それを前提とすると…他メーカーさんの様にはそこまで変速回転数の一定化にはこだわっておらず、 どの車種でもトルクカムは45°かそれに近い一直線となっているので、この辺りはメーカーさんの 方向性なのでは、とも考えていますね。
V100でも後期型だとランプの反り返りは無くなっている物もあるみたいですが、コレは私現物を 見た事がありませんのでなんとも言えないですが。
後、アドレスV125でもランプは一直線な上にトルクカムは50°一直線ですから、実際には変速回転数の データを取った事はありませんが、V100より弱めのセンタースプリングとはいえ、変速中の 回転上昇は起こっている節がありますしね。
そして、その「変速回転数が一定ではなく、上がっていっても許容範囲」だとメーカーさんが 決定しているで「あろう」理由は、V100にしてもV125にしても、
「パワーバンドの下限ギリギリに、全開加速時の変速回転数を出荷時に設定しているから」
だと考えています。
こういったセッティングですと…仮に有効パワーバンドが5000〜8000rpmまでの3000rpm分だとします。 アクセル全開での変速開始時には6000rpm程度での変速を開始したとし、そこからは駆動系の 構成により、徐々に変速回転数が速度の上昇と共に上昇していき、変速終了時には7000rpmまで 上がっていたとしても、そこはまだパワーバンド内ですから、唸りを我慢すればそれなりに走行は 出来てしまいますので。
そして、フルノーマルですとチューン車と違い、3000rpmとは言わない広いパワーバンドが存在し、 なおかつ「下に向かってパワーバンドが広い」ので、アクセル小開度にて5000rpmで変速を開始し、 最終的に6000rpmで最大変速状態まで加速したとしても、特にパワーバンドを外れてはいませんからね。
こういった、ノーマル特有のパワーバンドの広さを鑑みれば、理想とは言えませんが多少の 変速回転数の上昇なんてあってもある程度は走るのですよ。 WRをちょっと軽くすれば、変速「開始」からしばらくはパワーバンド内のピーク回転数で変速が 行えるので、「速い」と感じるという定番チューンもこれが原因です。
ただ、原付一種の様にもっとパワーバンドのピークが広く取りづらく、なおかつ狭いものであれば こういった「セッティング」自体が車両構成に対して向きませんし、排気量が無い為にトルクも薄く、 いくらパワーバンド内とはいえ回転数が落ちた場合にはあからさまに速度に出てしまいますから、 スズキの一種は唸るだけで走らない、と言われていたと思われますね。
なお、タンデムが前提の車両であれば…加速度うんぬんももちろん大事ですが、タンデム時には トルクカムを強く効かせておかなければならないという鉄則があります。
センタースプリングを強くするのではなく、スズキさんはトルクカムを最後まで45°等にしているのは これも狙っていると思われますね。
何故かと言えば、タンデムを前提とした場合ですと他社のニ種よりはかなりハイギヤードな ファイナルギヤだから、だとも言えますね。
私の知ってる限りのタンデム可能なニ種車両の各種ギヤ比ですが、
アドレスV100(初期型) 7.749 アドレスV100(後期型) 7.825 アドレス110 7.920
HF05 リード90 9.426 JF06 リード100 8.445
JOG、アクシス90初期型 8.543 JOG、アクシス90中期以降 8.828
5FA1 グランドアクシス初期型 10.360 5FA2 グランドアクシス規制後 10.442
こんな感じです。
グランドアクシスは12インチなのでスピードうんぬんではなくローギヤ傾向なのは当然ですが、 アドレスV100&110は1、2番手でハイギヤですよね。 110だと12インチなのもありずは抜けてきついはずです。
なお、最大変速状態でのプーリーの最小減速比と言う物は、どの車種でも0.5とかの無茶苦茶な ハイギヤードにはなっている事はありませんので。
ちなみにリードの90は45→90°のカックントルクカムですが、実際に60km/h出すまでには ほぼ45°溝を使っているのでさほどタンデムでも落ち込みは感じず、そもそもかなりのローギヤなので 90°溝に突入しても持って行けるのでしょう。
リード100の場合は45→60°溝となっているので、60°溝に入っても90より硬いセンタースプリングと 合わせているのでさほど問題は出ていないと分析しています。
アクシス90に関しては、センタースプリングはV100よりは少し弱いのですが、それなりのギヤ比と エンジンパワーで持って行っているフシが見られますね。
グランドアクシスに関しては、12インチと言う事もありV100やDioをはるかに上回るセンタースプリングの 硬さでカバーしていると推測します。
これは最近の一種の4st車にもある意味言えると思いますが、変速中の回転上昇など多少は 犠牲にしても、4st一種ですとかなり非力ですから登坂力等の事も考え、45°一直線のトルクカムを 採用しているのだと思われますしね。
しかしまさか、ヤマハがVOXや4stZRで45°一直線溝を投入してくるとは全く思いませんでしたが(汗 …ヤマハさんでもつらいのか、と勝手に妄想しておりますよ(笑 ちなみにホンダ系アルミドリブン車も、実際に走行すると変速幅自体は9割方が45°溝に入っているので これも同様の方向性だと思っております。
と言う訳で、私がアドレス110の構成についての意見を述べますと、
・スズキ車自体、元々変速回転数の一定といった点を重視しているという設計傾向が見られない
・と言うか、何が何でも一直線トルクカムを使わなければならない何かの理由があるとしか見えない
・タンデム前提車でもファイナルがハイギヤ傾向+12インチなので、タンデム時のトルクカムの 効きの足らなさを重視している
・変速回転数が上昇していく事への対策は、パワーバンド下限値に変速「開始」回転数を設定しカバー
・が、それら全てをふまえても「設計と特性に穴の無い、完全なバランスとはなってはいない」と考える
といった感じでしょうか。
これだとメーカーさんのせいにしている様な感じになってしまいますが、私の経験と分析上、 スズキさんは元々そういった方向性ではないのか、としか考えられないんですよね(汗 これで変速回転数がばっちり一定で文句なし、の構成であれば他も疑いますが、現実問題として スズキ車だとフルノーマルでもその傾向が感じられないので…
それと最後に、
>「社外品の45°一直線溝のトルクカム」「100%デメリットしかないゴミ」
これは、「常識的な駆動系構成の車両に組み合わせるならば」という但し書きを 書いておりますよ。 スズキ系は駆動系構成を分析するに、効率の良い方向性ではなく、常識的だとは 言えないと私は考えておりますので、その辺りは誤解されない様にお願い致します。
ではでは。 無茶苦茶長くなりましたが、明確なお答えではありませんが私はこういう風に分析している、と 言う事で、また色々とご意見頂けると嬉しいですよ。
では今回はこれにて失礼致しますね。 管理人でした〜
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