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記事No 5607
タイトル Re: 遠心クラッチについて (ちょっと長いです)
投稿日 : 2009/11/06(Fri) 07:20:40
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先 http://www.neginoleader.com
さる吉さん毎度でございます〜

さてさて、今回はスクーター特有とも言える遠心クラッチの
ご質問ですね。


> 私が持っているものと同じかどうかはわかりませんが、これも頂き物で3種類持っています。
> 少し前ですが写真に写っている真ん中のタイプを使用していました。

えーと、これは3GFだったと記憶していますが、3YJ系とかのノーマルで
採用されているブツですね。


> 今回教えて頂きたいのは、クラッチの種類に2枚シューのタイプと
> 3枚シューのタイプがありますが、この違いにメリット、デメリットなどあるんでしょうか?
> 違いを確認する為に3枚シューのタイプも取り付けましたが
> クラッチスプリングがノーマルしかない為、比較できませんでした。

そしてまずこちらですが、2枚の物と3枚の物はクラッチアウターの
寸法が違うのでアウターごとセットでの交換になるので、基本的に
単純比較は出来ないんですよ。

が、3枚の物だと互換性の問題もあり、2枚より流用の幅が狭いと
いうのが最大のデメリットなので、一種ベースなのであれば
3枚をわざわざ使う事も無いと私は考えていますよ。

3枚の方が安定感、耐久性等においては優れてはいますが、無理に
これを使わなければならない程のチューンになるというのは
なかなかありませんから、基本は2枚クラッチを流用していき、
クラッチスプリングの交換でセットを決めるのが無難でしょうね。



で、ここからが本題といいますか、ちょっと勘違いをされている所が
あるかと思いますので大事な補足をば。


> キタコの500円位の強化スプリングを入れて0発進はなかなか良いのですが、
> 全開走行からフルブレーキングでの立ち上がりが非常に悪く、
> 駆動系セッティングの難しさを感じております。

これ、単純にクラッチイン回転数を上げた、と言う事だと解釈します。
が…これは私のコンテンツの書き方もまずかったと思うのですが、クラッチインの
回転数が再加速に大きく影響するのは、基本的には止まる寸前まで
速度を落とした状態かそれに近いところのみ、なんですよ(汗

3YJのノーマルだと…そうですね、フルノーマルとしてクラッチインのみを
ノーマルから多少上げて5000rpm程度にしたと仮定しましょう。

それであれば、小難しい事は割愛しますが完全にクラッチミートして
クラッチが繋がる「速度」と言うのは「13〜17km/h」程度の間なんですよ。
これは計算にて出ますし、これを大幅にずれる事はまず無いので
これ以上半クラが長いとなれば何かがおかしい証拠になります。

この状態は、

「エンジン回転数5000rpm・変速(減速)比2.577」

なので、

「クラッチシュー自体の回転数」は「1940回転」と言う事になります。
クラッチシュー自体、1940回転していればアウターに完全ミートする、と
言う事を覚えておいて下さいな。


で、コンテンツ内にも補足を入れていますが、実際に走行中に
アクセルをOFFにしたとしても、クラッチが切れるはずの回転数、
この場合だと5000rpmまで回転数が落ちたとしても…

実際には駆動系自体は最小変速状態にまで戻ってはいないので、
エンジンの回転数自体は「発進時には」クラッチが切れる所まで低下して
いたとしても、クラッチシュー自体は減速比が低い為にもっともっと
高回転で回っている、と言う事なんです。

すなわち、アクセルOFF時には駆動系はシフトアップ現象を起こすので、
最小変速状態に戻る事はありえず、最大とはいいませんがそれなりの
変速が進んだ状態になっているんです。


仮に、最大とは言いませんが「変速(減速)比1.500」程度まで
アクセルを戻した瞬間に駆動系がシフトアップしているとし、
その状態でエンジン回転は5000rpm程度をうろついていたら


「エンジン回転数5000rpm・変速(減速)比1.500」

であれば、クラッチシュー自体の回転数は

「3333回転」も回っていると言う事になりますね。


そうであれば…エンジン回転数が落ちきらない内に速度のみが落ちても
クラッチシュー自体はアウターから離れてはいない、と言う事になるんですよ。
モノを極端に書いている私が悪いのですが、誤解させていたみたいで申し訳無いです…

(※蛇足ですが、スクーターと言う物は加速時は当然の事、減速時にも
エンジン回転と同時に速度が落ちていくモノではない、と言う事もあわせて
ご理解頂けると嬉しいですよ。通常のギヤ付き車等とは大きく異なり、
全く別物の動作をするので…)



とまあ、ちょっと難しいですが、走行中にクラッチが完全に切れるという
現象は、渋滞とかちょっとしたUターン等でないと起こりえないので、
クラッチイン回転数を上げて、再加速向上を狙うというのは極低速域での
効果しかない、と言う事です。

コンテンツのアレはテキスト自体が10年近く前の物なので、今ではもっと影響力が
小さいというのを分かってしまっているのでそのうち書き直さないと、と思いつつ
ほっぽってるので(汗



で、次ですが


> そこで色々試したんですが、物置から昔乗っていたペリカンジョグ(27V)用の
> 遠心クラッチが出てきました。
> 外形寸法を比べてみるとほんの少し小さくて試しに付けてみました。
> 0発進時、いい感じでエンジン回転が上がるんですが半クラッチ状態が
> 少し長くなった気がします。


これは、クラッチ外径が小さい事により、クラッチイン回転数自体が
上がっていると言う事ですね。

となれば、クラッチが完全にミートする回転数も上がっている、イコールで
半クラも長くなるので至って正常です。

さっきの計算ではありませんが、4000rpmクラッチインで完全クラッチミートが
15km/hなのであれば、5000rpmクラッチインで完全クラッチミートの場合は
20km/hとかにならないとおかしい、ってだけです(笑

もちろん、エンジンパワー等が一切変わらないのならば、0から15km/hまで
加速するのと20km/hまで加速するのではどっちが速いか、と言う事で、
15km/hまで半クラなのと20km/hまで半クラなのはどちらが「長い」のか、という
いたって単純な理屈になりますね。

基本的に、クラッチイン&ミートが高回転、高速になればなる程、半クラは
長くなるモノであり、これを改善する事は不可能ですからね。
エンジンパワーを上げ、「そこ」まで速く到達する事しか改善策はありません(断言


それと、そういった風に駆動系パーツの小変更にて色々と試されるのであれば、
出来るだけ早い時期にデジタルタコメーターを買っておいた方が良いですね。
タコが無いと、あれもこれもってやっていくと100%の確率でドツボにはまるので
微細な変化を楽しみたければ、最初に買っておく方が後々楽しいですし
苦しまずに済む、と言う事だけは力の限りお奨めさせて頂きますね(笑




そして最後に。
クラッチシューうんぬんもありますが、3YJのノーマル駆動系が正常に動いている場合、
クラッチミートのみを納得できる所まで上げれば、ノーマルエンジンの場合は
他にデメリットになりえる構成など全く無いといっても良い程の良構成である、と
いう事も付け加えておきます。
WRの小変更も良いですが、これはタコがないとなかなか判断しづらいので割愛(略

なお、発進時のベルトの落とし込みは好みにより多少作っても良いですが、その他は
私の目から見た場合、完成されすぎていてやることがない、と思えますので。
元々がその位完成されている、と言うか、私の知る限りでは原付一種&ニ種の中では
最高峰に近い駆動系構成だと分析してますんでね>3YJ&3YKの1〜4型

それをふまえ、現状で再加速がそこまで鈍いというのであれば、単純に
駆動系パーツの劣化の線がかなり大きいと私は睨みますよ。
また言葉がきつくなりますが、劣化しすぎている物をベースに
いくら他で誤魔化そうとしてもそれは無理な話、と言う事で…


ではでは。
長くなりましたが、小難げな所はスルーして頂いて結構ですので、お役に立てて
頂けますと幸いですよん。
管理人でした〜

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