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記事No 5680
タイトル Re: トルクカムとスライダー
投稿日 : 2010/02/06(Sat) 04:59:27
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先 http://www.neginoleader.com
メロンパンGさん、初めまして。
当HP管理人のねぎのリーダーです。
コンテンツ等、楽しんで頂けている様で嬉しいですよ。

さてさて、今回は私があまり言及していない部分についての
ツッコミというかご質問ですね。
個人的にはこういうのは嬉しいですよ。


> …トルクカムの動作原理は、ピンに対する「負荷が大きければ大きい程強く効く」のはご存知の通りですよね?

> の一文を読んで、社外品のスプリングスライダーを装着ことにより
> クラッチとセンタースプリング間の摩擦抵抗がほぼなくなるので
> 捻じり抵抗が少なくなりキックダウンがし易くなり、また、センター
> スプリングがピンへ与える負荷が増大するのではないかと考えています。


センタースプリングの「捻り抵抗」と言う点に着目されていると
いう事ですが、これは私、コンテンツでもちょろっと書いていますが
「トルクカムを効かせる力」が大幅に変わる程には影響は無い、と
考えています。

これはですね、確かにセンタースプリングを圧縮しながら組み、
そこからさらに13oとか圧縮すれば確かに、スプリングとしては
「捻られている方向から逆方向へ戻ろうとする力」という物は
確実に存在します。


が、ここでひとつの例を挙げますが、トルクカムのピンの1点に
掛かっている「力」というのは、原付一種のノーマル車の場合、
変速比が最大である場合(最小変速状態)であれば約
5〜60kgあるんですよ。

これに、それなりに圧縮したセンタースプリングの「捻り反力」を
加えたとしても、そうそう大きな変化が起きるとは私は
思えません。

簡単に例えますと、走っている車両の後側を、横に立った
人間が手で思い切り押してやって加速が上がるのか、って感じです。

これは実際に私がセンタースプリングの捻れ反力までも
計測した訳ではありませんが、そこまで強大な力が
働いているとは考えられないので、そこまでは分析も計測も
やっていない、と言う事でご容赦をば(汗



そして多少注釈を入れさせて頂ますが、これはセンタースプリングの
「巻き方向」によっても多少お話は違います。
と言いますか、ヤマハの様に左巻きの場合だとメロンパンGさんの
おっしゃる様な、「トルクカムが閉じる方向」へのスプリング捻れ反力は
それなりにあるかと思います。

(ホンダは右巻きなのでまたちょっぴり話が別ですが、前述の通り
そこまで絶大な差は無いと私は考えています)


なお、その上で「スプリングスライダーを装着した場合」となれば、
そもそも、スプリングとしての「捻れ」は少ないというか、セット状態から
最大変速近くまで圧縮しても大して捻れていない事になりますよね?

その場合であれば、余計に「センタースプリングの捻れ反力」、すなわち
「センタースプリングが捻れ方向と逆に元に戻ろうとする力」という物自体
かなり低下してしまうのでは無いかと。

ですので、スプリングスライダーを使う場合ですと、トルクカムの皿が
多少捻られても、スプリングはほとんど捻られずスプリング捻れの反力としては
「受けにくい」と分析します。

したがって、スプリングスライダーを使った場合には、トルクカムピンと
言うか、そこに働く力は余計に小さくなるのでは、と考えています。



> クラッチとセンタースプリング間の摩擦抵抗がほぼなくなるので
> 捻じり抵抗が少なくなりキックダウンがし易くなり

クラッチのプレートとセンタースプリングの間に摩擦抵抗が無いと
言う事は、スプリング自体が面に対しグリップしにくくなる訳ですから、
くるくる回っててもおかしくありませんよね。

これ、クラッチとトルクカム皿、スプリングの端面に摩擦抵抗が無いと
捻れ自体が起こらないので、ちょっと理論展開がご質問と逆に
なってしまいましたが、それによりトルクカムの効きが大幅に変化する事は
ありえないと思われます。

それでは、大きく捻ったトルクカム皿を「キックダウン」、すなわち
元の角度に「戻そうとする力」の補佐にはならないですよね。

スプリングの巻き方向によってはスライダーが無い場合は「トルクカムが
閉じる方向へ動きやすくなる」と言う動作は0では無いはずですが、スプリングが
逆巻きだと…というかヤマハの様に左巻きだと、トルクカムが戻ろうと
しているそのわずかな捻れ反力も無くしてしまう方向になるかな、と。

…これ、何故にヤマハのセンタースプリングは左巻きなのか、を
考えると、これは一貫してヤマハはこの辺りの微細なメリットを
考慮してやっているのでは、と邪推していますよ。


なので、スプリングスライダー自体、スプリングの巻き方向によって
効果的な場合も逆効果な場合もあるでしょうね。

が、前述の様に、私はスプリングの捻れの反力がトルクカム動作に対し
大幅な影響があると分析していないので、どのみちそこまで大差は無いと
思っておりますよ。



が、ここで一つの捕捉として…ヤマハで例を出しますが
JOG-Zやグランドアクシスのノーマルの様に、自由長が短めで
セット長が短いものであれば、多少のストロークでもスプリングの
反力は意外と大きく変化しがちなんです。

これ、スプリングスライダーの厚み分はセンタースプリングの反力が
変化するという事も考えてみると、いくら数o単位での反力増加とはいえ
セット時からさらに縮むスプリングが「反力が上がりやすいタイプ」だと
考えると、こういった場合はセンタースプリングが「影響する」部分と言うのは
無視出来る所ではありません。


…そもそも、スライダー系統のパーツを組み込んでも、実際には
クラッチのセンターナットを緩めてクラッチを外す時に、クラッチ自体が
捻れて外れてきてしまう場合もあります。

それだと、圧縮されているスプリングが本来フリーなはずなのに、
圧縮を解いてやると徐々に捻れて外れてくるのでは、スライダー自体が
全く意味を成していない、という判断方法もあったりしますよ。

こんな場合だとスライダー効果うんぬんではなく、単純にセンター
スプリングの反力変化による「特性変化」が出ているだけで、
それをスライダーの効果だ、と勘違いしてしまうとダメですね。

経験上、全くもって上記のスライダー効果が発揮できていないという
品も世の中にはあるので、まずはこれを試してみるのも一興かと。

スライダー効果で回転が機敏になった、と感じていても、実はそれは
何の事は無い、センタースプリングの反力増大の結果だ、と
言うパターンもあったりしますんで。



そして最後に。

メロンパンGさんはちょっと勘違いをされておられるかと思いますが、
トルクカムの効きというものは、「ピンに対する負荷」が大きい程
強くなる物ですが、これは「トルクカムを回転させた時」に、
回りづらい、とも言い換えられるんです。

あくまでトルクカムの効きという物は、「トルクカムを"回転方向へ引く"」
事により発生するものなので、スプリング反力を使って「回転方向へ
押してやる」物では無いんですよ。


先程と重複しますが、私はもちろんこの捻れ反力と言うものは0ではないと
考えていますしコンテンツにも記載していますが、そこにこだわる前に
もっともっと大きな影響力のある所を全て見極めてからの「些細な問題」だと
認識しておりますので。


と、この手の話題になるとかなり長くなってしまいますか(汗
不明瞭な点等があればびしばしツッコミ下さいね。

ではでは今回はこれにて失礼をば。
管理人でした〜

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