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記事No 5961
タイトル Re: 駆動系について
投稿日 : 2011/03/07(Mon) 01:29:57
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先 http://www.neginoleader.com
みゃびんさんお久しぶりでございます〜


さてさて、今回は色々とご質問があるみたいですんで、ちょっとずつ
お答えしていきますね(汗


> 街乗り二種が無いとパワーを求めてリスクの高い改造をしてしまうので

ええ、これは大事ですね。
無茶をしたい、と言う訳でも無いですがサンデーバイク的な扱いにしないと
細かな所に気を遣っていじくれない、というのは大いにありますんで。


> 街乗り用のシグナスXを4ヶ月前に買ったのですが
>
> 台湾仕様でタコメーターが見やすい位置についてて大変楽しく乗っています

新しいシグナスの上のグレード車って元々タコメーター付いてるんですねえ。
アナログ表示の針式ですが、これでもあるのと無いのとでは天と地の差が
出ると思いますんで非常に宜しいかと思いますよん。



> 私のディオもそうなのですが、純正クラッチに強化スプリングを組んでいるのですが
> 何度クラッチをばらしてメンテしても500回転程滑りの様なものを感じます

> シグナスは500回転程です、ディオは現在の中華タコなので体感です
> アクセル全開にすると、8200回転変速で一度9000近くまで回転が上がって8200回転に落ちる感じです
> スプリングはシグナスもディオも恐らくKN企画さんが出しているやつと同一の物です


さてさて本題ですが、これは発進時にアクセルを大きく開けると、タコメーターでの
回転上昇とその後の落ちがある、という事だと解釈します。

で、これはですね、いたって正常ですよ。
基本的に、クラッチシューと言う物は発進時には「滑ってないとおかしい」んです。

「クラッチイン=リヤタイヤが動き出す瞬間」から、変速回転数手前までエンジンの
回転が上昇し、クラッチアウターとクラッチの回転数の同期が取れる(クラッチミート)までは
絶対にクラッチシューは滑ってないと「半クラ」が無いという事と同義なんですね。
そもそもクラッチシューが滑ってないとエンストしちゃいますよ?

この辺はシステム的にちょっと難しいのですが…

アクセルを開ける→クラッチイン→半クラを維持しながら多少の駆動系シフトアップ

と来て、

完全クラッチミート→規定変速回転数まで落ち込む→そのまま加速

といった流れになっています。

この「クラッチイン後に半クラ状態で駆動系がシフトアップ」というのは、フルノーマルの
様なクラッチイン+変速回転数が低く、なおかつ両者の回転数にあまり大きな差が無い
場合には起こりえない事もありますが、少しでもいじくるとこれはとたんに起こり始めます。

仮に3500rpmクラッチインだとして、6000rpm変速開始であればその差は2500rpmしかなく、
クラッチ完全ミートは5000rpm程度になると思いますがそれだと回転数がオーバーシュート
しづらい上、したとしてもすぐに落ち着くんですよ。

これが仮に8000rpmクラッチインで13000rpm変速とかであればその差は5000rpmも
ある上に、アイドリングが2000rpmだとすればクラッチインまでには6000rpmの差があり、
その分の「回転上昇の勢い」によって多少の変化は見られてしまいますんで。


なので、

> ・これくらいなのは仕方ない範囲でしょうか?

…ややこしいのですが、500rpm程度のオーバーシュートならばいたって正常だと
解釈してOKでしょうね。

少なくとも、フルノーマル的な駆動系構成(ボスやらベルトかかり径)であれば、ベルトが
だだ滑りでクラッチ滑ってない、なんてアホみたいなセットにはなりえませんしね。

コンテンツにも書いていますが、無変速状態でベルトの裏がボスに接触しているとか、
ドリブンユニットからベルトがはみ出しているとかだと問題外です。

こういうセットだと発進時の負荷に対してベルトが真っ当にグリップ出来ず、半クラ自体が
無くなってしまいますがその反面、発進時にベルトがだだ滑りという悪循環に陥るので
正常な「ベルト動作に余裕を持った駆動系構成」であれば、多少のクラッチイン回転数や
変速回転数のオーバーシュートは気にする必要は無い、と私は考えますね。

何度も言いますが、クラッチシューは「滑らない方がおかしい」んですよね。
滑りすぎというのも問題はありますが、それだと明らかなジャダー的な物になってきたりして
真っ当には動きませんのですぐ分かりますよ(笑


> クラッチシューは240番程度のペーパーを当てて、全バラして稼動部とゴムの所にグリスを塗り、最後にアウターとシューを脱脂する感じです(気になって何回もバラしました)

後、こちらですが。

これはですね、グリスアップや脱脂は良いのですが、クラッチシュー自体のペーパー掛けは
最低限でOKですよ。

新品のシューとアウターの組み合わせであれば、少し走るとシューの一部が黒くなってる
ところが出来ますが、そこはまず「最初」にアウターに当たっている部分なので、ここを
削り取ってやって走り、またしばらくしたらチェックして削り、最終的にシュー全面が
アウターに接する、となればそれでOKですね。

アタリが出ているのにシュー表面の皮を向いてしまうと、また一からやりなおしになっているのと
同義なので、適度にしないと逆効果という事になります。

そして、クラッチシューとアウターはトラブルが出ない限りずーっと同じ物を組み合わせて
使うのもコツですね。
頻繁に相方を変えているといつまでたっても納得出来るアタリって付き辛いので。


ちなみに、シューが黒く焼けてしまう、となればそれはどこからかのグリスの飛散が
原因である事がほとんどなので、そうなればシューはもう使わない方が良いですし、
トルクカム部のOリング等もマメなチェックは必須ですね。


> トルクカム周りもグリスを全部一度落とし塗りなおしています

なのでこれを行われるのは宜しいですが、Oリングとオイルシールの劣化に関しては
マメにチェックしないといけません。

新車から何千kmもばらしてない様な物だと、完全に型がついてしまっていて
オイルシールはともかくOリングの密封性が無いなんてザラにありますんで。
いくらグリスアップをしても、飛散しているのでは何の意味もありませんからね。
クラッチシューだけでなくベルトやプーリーまで痛めてしまいます。


> ベルトは純正使って、伸び1mm超えたら交換するようにしています

これ、ベルトって初期伸びがあるので、新品からすぐはちょっと伸びてまた縮んできた
所で安定しています。
それがまた伸びてくるとなればちょっと怖いLVですが、劣化での伸びが出るよりも
幅の減りの方が早いと思いますが(汗

ある程度安定したベルトであればその後は幅がそれなりに減るまで使えますんで、
あからさまに初期伸びが大きい等の物であれば、最初から見切りをつけて使わないと
いうのも一つの手ですね。

とはいえ、ホンダでもGAGではそうならないのにGFCではそうなりやすい、といった
素材や構成の差もあるので見極めが大切です。



> WRは台湾製で誤差が少ない物を使うようにしています

WRも、重量さえあっていれば何を使っても良いでしょうね。
別にコロコロ転がっている物でもないので、耐久性さえあれば後は好みですし。


> ・工業用グリスを使っていますが、ヤマハのグリースEなどの方がいいと聞きましたが、変わりますでしょうか?
> おすすめなグリスがあればご教授頂きたいです

これはトルクカム等に塗りこむグリスですね。
トルクカム自体は、動作を正常にするにはきっちりとグリスが入っていないと駄目です。
銘柄にこだわるよりもメンテにこだわる方が良いでしょう。

私はゾイルグリスを使っていますが、だからと言って明確な差が出るわけでは
ありませんし、あまり安いものやシールやゴム質を侵してしまうものでなければ
問題ありませんね。

ノーマルレースとかだとシビアな面で変更していたりもしましたが、結局は熱が
入ってしまうとその後は変わらない、という結論でしたんで(笑

お奨め、であればゾイルグリスもしくは食品機械用のフードグリス程度でしょうか。
あまり安価なモノではありませんが、この辺はおまじないLVですね。
別に純正指定でもOKだと思いますよ。


> ・WRのグリスは必要や不要と言う人がいますが、この辺はどうお考えでしょうか?

これは、「ノーマルでWRに塗布指定が無い」のであればそのWRにはグリスは要りません。
社外品だと分かりませんが、少なくともグリス飛散防止のグリスガードがプーリーの
裏に無いのにWRにグリスを塗る、なんて絶対にやっては駄目です。

そして、グリスレス設計のWRに薄くグリスを塗ったからと言っても何もメリットがありませんし、
逆にホコリを呼び込むだけでデメリットである、と私は考えていますよ。

昔のスクーターの様に、本気でグリス潤滑を考えているのであればグリスガードは
必須な上、どっぷりとWR全てが漬かるくらいにグリスをなみなみと入れねば意味が
ありません。
これは現物を見た事が無いとちょっとイメージが湧きづらいと思いますが、本当に
たっぷりとグリスが入ってたモンですよ「グリス潤滑式WR」ってのは(笑

なので、グリスガードも無いプーリーユニットにグリスを塗る事自体が意味はなく、
多少塗っても気休めどころか汚れやすいだけ、と私は考えますね。
そもそも、近年だとグリス潤滑が必須なタイプのWRなんて入手出来ないと思いますし(笑



> ・駆動メンテ術小技等を是非コツなどをご教授して頂きたいです(特にクラッチのグリスアップ等のメンテ)

小技、と言われましても…こればっかりは各部に対してそれぞれのコツがあるので
もうちょっと絞り込んで頂かないとアドバイスしづらいですよ。

とりあえずクラッチのグリスアップ、という事であれば、私は基本的にシュー自体を
ばらす様なコトが無いとゴムダンパーとかも気にしないです。

と言いますか、あれをマメに交換したり、シューの支柱をグリスアップしても意味が無いと
いうLVなんですね。

支柱にしても、そこが回転している訳ではありませんし、遠心力が掛かった時のみ
ある程度「動けば良い」だけなので、最低限度の動作が出来ていればあまりこだわっても
意味が無いと思います。

そもそも、クラッチシューに起こる遠心力というのは強く、多少動きが渋かったところで
クラッチシューが開かないとかにはなりえませんので。

メンテにおいては油脂類を付けない、トルクカム周辺からのグリス漏れに気を遣う、
アタリ取りは最低限で済ませる、シューとアウターはセットで運用する、といった
感じでしょうか。


…もっとぶっちゃけますと、私はクラッチイン回転数のみが目的の回転数に達していれば
それで文句は言わないので、クラッチシューは駆動系パーツとしての優先度は最低ですんで。
正直、明確に不具合が出なければばらしたりもしませんし、短いクラッチスプリングを
使う時なんかはゴムダンパーなんて取っ払ってしまう事もありますし。

正直、滑り具合がどうこうなんてのはそれが強大に起こる時点で駆動系の「構成」が
おかしいのと、パワーの出しすぎ位しか原因がありませんしね。
そういうのはどちらも構成変更で解決する物であり、クラッチシュー「単体」で物を考えても
解決には至らない、と断言しても良いでしょう。



> 次はもっとマシなタコを買おうと思っているのですがタコがよくわかりません
>
> 武川とか買おうかなと思っていますが、どうなのでしょう?
>
> それなりに使えるコスパが高いタコを探しているのですがオススメを教えていただけないでしょうか?

中華製のタコはですね、私は自分で買った事はありませんが、動き等をみていると
これはお飾りだな、と思ってますよ。

それと、アナログ針式表示の物だと、明らかな落ち込み等の変化が見やすいという
メリットはありますが、セッティングに使うのであればデジタル表示式をお奨めしたいです。

これ、はっきり言いますがこういう精度を求められる電子機器で、安くて良いモノなんて
ありえないです。
それなりの額を出さないと、自身にて求めている正確性、精度が出ないのであれば
お金を出すしか無いんですよ。

私は人様には基本的に追浜を奨めますが、最近出てきた「PET-304」であれば2st単気筒なら
使えますし、多気筒対応を削って安価で出しているっぽいので、それなりのコストパフォーマンスが
得られると思います。
ただし追浜ですからバックライトはありません(笑



後、仕様でちょっと気になった点を少々。


> ディオ
> 駆動系ノーマル
> クラッチ:+1000rpmクラッチスプリング(KN企画と同一?)
> トルクカム:への字の頂点を若干削っています

トルクカムの頂点を若干削っている、とありますが、これは手法としては
とても良いと思います。

が、これはかなり正確に削らないと、削った所の「角度なり」のトルクカムの動作を
しない事がとーっても多いんですよ。

頂点部分を仮に60°程度にカットした、としても、実際に運用すると削り方が
おかしくて全く「作用」が発生せず、最初の45°を通り越した後には60°溝ではなく
全く作用して無い90°と同じ事になっている、という事が多々あります。

その削った所にピンを当て、トルクカム皿をベルト進行方向に引いてみて
「皿が閉じる感覚」がきちんとあるのかというチェックが必要ですね。
こうしても全く皿が閉じる方向へ動かないのであれば、それは溝は「見た目だけ」で
実際の効果を発揮していない事になりますので。


> クラッチの滑りの事はポート加工してWRを軽めにしてスプリングを固めにした時に起こります
> 現在はまったりした仕様なので快適ですが…

で、こちらは前述した様に、ノーマルではなくちょっと高回転側にミートを振ったり
高回転側へ変速回転数を上げた時に起こりえている、と言う事ですよね。
なので「クラッチの滑り」と表現されている事はノーマルよりは起こりやすくなって
当然なワケです。

と言いますか、これは正確には「クラッチの滑りによって起こる回転上昇」では
無いのですけれどね(汗



> シグナスX
> 駆動ノーマル
> 山用6g×6+ボスワッシャー20mm(変速8200rpm)/街乗り7g×6+ボスワッシャー14mm(変速7000rpm)
> クラッチ:+2000rpmクラッチスプリング(KN企画と同一?)

シグナスXに関しては私疎いので明確なアドバイスにはなりませんが…
4stであれば、多少変速回転数が変動しようが2st程シビアになる必要はありませんから
好みで良いと思いますよ。

クラッチインに関しても、2st程は明確なパワーカーブがある訳では無いので
あまり上げても差が出ないのではと思ったりもしますが(汗


と、長くなってしまいましたが、ひとつひとつお答えしてみましたので何か
不明瞭な点があればまたツッコミ下さいませ。
管理人でした〜

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