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記事No 6312
タイトル Re^2: 変速比(減速比)について かなりマニアなレスその2
投稿日 : 2011/11/04(Fri) 07:31:52
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先 http://www.neginoleader.com
続きです。


> 現時点ではジャンクのクランクに駆動系を組み込みベルトを痕跡の位置に当てがい
> どの程度横スライドしているか計測してみました。
> カメファクの場合12mmでしたが、ここから補正する事項はあるのでしょうか?
> もしくは他に計測方法か計算方法がありますでしょうか?

計測方法としては、クランクシャフトにプーリー等を組み込み、プーリーを手で
開いていき、WRが外壁もしくはランププレートの末端に当たった状態を把握し、
その時点でのプーリーのスライド量を計測すればOKなので、それで問題は
ありません。

他には測定方法は無いのですが…厳密に言うならば、WRガイド部を真横から見られる
様にプーリーを一部破壊してしまい、その上でちょっとずつ各部を動かしていって
シビアに計測する、といった手法になりますが…通常はここまでしなくとも良いですね。
私もそこまでやっているのはノーマル系プーリー位なので。


ちなみに、ベルトの痕跡をアテにするのも併用するのは大変宜しいですが、
その場合、プーリーのベルト摺動面にベルト側面がこすれた跡が付いている所は
前述のグリッピングポイント部分が擦れた跡である、といった事を忘れてはいけませんね。

通常、プーリーの外の方には強くこすれた跡が付いているかと思いますが、これのさらに
外側にもある程度擦れた箇所はあり、ここはベルト側面が上ツラから2oより上の
部分が擦れている所です。

さらにもっと「外周側」になると、アクセルOFF時にシフトアップが起こった時にいくらかは
ベルト側面が外周側にはみ出し、スリップしつつそこを擦っている跡でもあったりします。
(全力グリップではないので、グリッピングポイントよりは弱めの当たり跡になります)

なので、実際はこのベルトの擦れ跡というものは性格に計測する事はかなり
難しく、一般的な手法である摺動面にマジック線を引いておいてどれだけ消えたか、と
いうのはあくまでこの辺を加味した上での目安にしか過ぎない、といった事も覚えて
おかれると宜しいかなと。


実際には、前述の様にベルトの最小かかり径を計測した上で最大減速比を算出し、
最大変速状態の最小変速比を把握するには、プーリーの「横スライド量」を
測ってからそれを元に計算していくのが基本になります…と言いますか私の場合は
その手法が一番正確で誤差も少ない手法だったのでそれを採用しています。

なので、金ちゃんさんの測られたプーリー横スライド量もハイスピードプーリーとしては
現実的ですし、全くおかしくはないと私は推測しますよ。
ちなみに余談ですが、私はホンダ大径駆動系だとプーリーの横スライド量は
ノーマルで10o〜10.5o程度だと分析していますね。


なお、一般的な意見ですと「プーリーの外側まで引いたマジックが消えてない」といった
表現があるかと思いますが、これはあくまで目安であって、ノーマルプーリーの外径より
大きなプーリーを使ったからといっても、放射線上に引いたマジック線が消えていないと
駄目なんて事はありませんしね。

そもそも、目視でいくらマジックが消えるとか消えないとかを確認しても、実際には
最大変速時、プーリーがフルスライドした時にどの位の減速比になっているのかを
ノーマルと比較しなくては建設的にはならないんです。

仮にDio-ZX系ならば最大変速状態の最小減速比は0.860程度ですが、これが
0.800位になったのかな〜とかってのを把握しないと、いくらでかいプーリーを
使っても見た目だけの無意味チューンである、という事はもはや言うまでも
ありません。



> 仮説ですが、純製プーリー外径88mm、カメファク外径92mmと4mm差があるのですが
> 純製プーリー使用時11mmが最大横スライド量とした場合、もう4mm変速させるには
> 12mm程度のスライド量が必要だと思うのですが、

次にコチラですが、ちょっとだけ違っていますね。

「もう4oベルトのかかり径を増大させるには、+1oのプーリーストロークが必要」と
いう事ですが、これは厳密に言うと…

・面角度15°=プーリー1oストロークにつきベルトかかり径は3.73oの変化
・面角度14°=プーリー1oストロークにつきベルトかかり径は4.01oの変化
・面角度13°=プーリー1oストロークにつきベルトかかり径は4.33oの変化

こうなります。

ホンダ系のノーマル構成であれば、プーリーやフェイスの「面の角度」という物は
一律で15°になっているので、4o分ベルトのかかり径を増大させようとすると
厳密には1oのプーリーストロークUPでは足りません。
15°の面角度の物を1oストロークさせても、ベルトかかり径は3.73oの変化しか
起こらないんですよ。


コンテンツ内では数値の変化を分かりやすくする為に、1oストロークさせると
ベルトかかり径は4o変わると記していますが、実は現物だとちょっと違うんです。

…これも出来れば指摘される方が居ないかな〜と思いあえてホンダの例題に対して
14°の面角度を元にして数字を書いているのですが、さすがにここまで行くと
マニアックすぎたかなとも(泣

ちなみにヤマハ系は各部の面の角度は14°になっており、これも一応知っていないと
他メーカーの車両には応用が効かず、計算が狂うという事もあったりします。
あ、スズキ系は15°基本っぽいですね。


と、ここでもういっちょ補足になりますが…
この面の角度ってのは基本的に、物理的には14°という角度が最高効率だと
言われています。ちなみに理由は分かりませんというか私の脳味噌では(以下略

が、社外品のプーリーだとここの面角度を極端なまでに変更しているものもあり、
そんな状態だといくら頭を捻っても計算が合わない、と言う事もあったりも
するんですよ…

ベルトってのは熱が入ればフレキシブルになり、1°程度の角度の違いでは別に
そこまでおかしな動作はしませんが、他が15°なのにプーリーだけ12°だとかで
あれば、これはさすがにおかしくなったりします。

私もこの手法を行わない事も無いのですが、やっても1°程度が限界で、それ以上に
変更するとドライブ側の動作とドリブン側の動作のバランスが崩れやすくなるので
あまりお奨めは出来ません。


…もっとはっきり言いますと、カメファクのプーリーだとおそらくではありますが、
ノーマルと同じ面角度にはなっていないと思われますよ。
私、Dio系用の物は角度を測った事がありませんが、他車種用のカメファク製の
プーリーとフェイス、これが12°と14°で面角度が異なっている上、ノーマルは
15°であるという無茶苦茶な構成を目にした事があります。

しかもこれは劣化でそうなっているのではなく、新品状態ですでにそうなっており、
狙いは分からなくも無いのですが社外品でもノーマルと同じ面角度である、と
決め付けて分析してしまうのは良くありません。

実際、面角度のみで物を言うと15°よりは14°や13°の方が、同一の力で
プーリーを押し出した場合に力のロスが少なくなり、強い力でプーリーを押し
ベルトを挟みこめる為にメリットもあるのですが、だからといってそこだけを
考えても駄目で、あまりに各所がちぐはぐであるとお話にならないんですよね…


逆に、これは面角度ではありませんが、WRガイドの形状や特性でも、ノーマルより
プーリーを押し出す力が弱いという社外品もあり、一体何を考えているのかが
分からない社外品プーリー、なんてのもザラにありますから。

もちろん私はそんな設計のプーリーは大っ嫌いで、他との整合性を考えずに
オリジナル設計でこしらえている物を使うと、こういった点で単純で素直な
プーリーにならない、といった事がザラにあるので(笑

どこかで以前も書きましたが、Dio-ZXと非ZX系の「両方」に対して共通品とした
社外品プーリーなんてその代表格で、元々双方で結構特性が異なるのに
くっつくから、といってどっちもいけます、なんて品なんかはもうちょっと考えろよ、と
思いますしね。
と言うかDio系舐めんなよ、と(笑


と、話が飛びましたが、こういったベルトかかり径とプーリースライド量をきちんと
把握していきたいならば、とりあえずベルト摺動面の角度というものは一応は
最初に計測しておくべきですね。
これはプロトラクターで簡単に測れるので是非お試し下さいな。



> これを稼ぐためにプーリーの頂点を1mm程度
> 低くしてスライド量を稼いでいるのではと・・・

次にコチラですが、おっしゃる通り、ノーマルよりはベルトかかり径を大きく出来ないと
ハイスピードプーリーの名前が泣きますから、その1o+のプーリーストロークを稼ぐ為の
余裕を持たせている設計だとは思いますが…

でもですね、実際にノーマルのプーリーでも、単純に横ストローク量「のみ」を限界まで
計測してやると、別に頂点を落とさなくても12o位はいけるんですよ(笑

WRが先に外壁に当たるからプーリーの横スライド量に反映されないだけであり、
私なら、ノーマルプーリーを単純にハイスピード化し、ストローク量を1o程度
増やす為にWRの移動量を増やしたとしても、別に山の頂点をごっそり落としたりは
しませんよ(笑

そんな事しなくても横ストローク量には元々物理的に余裕がある、というのを分かって
いるからです。

カメファクのプーリーでも、別に頂点を低くしていなくても余裕はあるかと思いますが、
もっともっとスライド量を増やしたいのかな、とも思えますがこの辺は私が開発した
訳では無いので分かりませんし、現物も無いので何とも言えないですが…


それと、社外ハイスピードプーリーの外径が大きいのは、最大変速状態に
近い状態で巡航している場合にアクセルをOFFにした時、シフトアップがわずかに
起こってもベルトの側面プーリーからが飛び出さない様に余裕を持たせていると
私は考えていますよ。

単純に、ノーマルプーリーも外径は88oですが、実際に最大変速時には
ベルト外周が居る場所は84φ程度であり、そこから上はただの余裕にしかなって
いませんからね。

後、ホンダのノーマルトルクカムなら溝は90°なので、アクセルOFFでもシフトアップは
行われないのですが、さすがにアクセルOFF時にはベルトはちょっとはたわむので
ある程度がグリッピングポイント+2oを越えてベルトが擦っているといった面もあると
補足させて頂きますね。

ちなみにこれがクレアカムだともうちょっと派手にシフトアップしてますよ。
とはいえこの辺は難しいので、グリッピングポイントがプーリーの最外周に付いていると
いったセットは避ける、位でOKでしょう。


> さらにこの設定ですとボスが20mmではベルトとボスのクリアランスが0.6mm程度しか無いため
> 18mmまでボス外径をそぎ落としクリアランスを確保しているでは?

そうでしょうね。カメファクプーリーがわざわざ肉厚を落としてまで細いボスを使って
いるのは、ベルト裏とボスのクリアランスを稼ぐ為だと私も考えています。

単純にプーリーの設計でベルトかかり径を小さくしたいだけならば、ベルト裏がボスに
当たっても良いのであれば8.5o厚のベルトで40o位のかかり径なら可能な範囲ですし。

が、あえて20oのボスでそこまではやらず、わざわざ余裕を持たせて18oのボスを
使ってきているという事は、多少ベルトが減った時の事とかをきちんと考えて
設計している面が見て取れますね。

…ま、こういう分析は結果論であって、実際にカメファクがそこまで考えてモノを
設計しているのかどうかは誰にも知る事は出来ませんけれども(笑
私はおそらくその可能性は半々くらいではないか、と思ってますが。


> 2.6mm程度のクリアランスがあればもう少し落とし込めそうな感じもしますが、
> ドリブン側はすでに限界目一杯でこれ以上やりようは無いと感じましたが如何なものでしょうか?

はい。その分析で大正解です。
現状だと、ベルト裏とボスのクリアランスはかなりの余裕はありますが、だからといって
GAGの671x18oのベルトを使った場合、ドリブン側のベルトかかり径は113o、これだと
もはやトルクカム皿のマイナスストローク側への余裕は1oも無いかもしれません。

この状態であれば、ボスワッシャーを追加するなりすればドライブ側のみを見れば
ベルト裏側の余裕を持った上でさらにベルトかかり径を小さくする事が可能ですが、
ドリブン側は閉じ側のマイナスストロークの余裕は完全に足りませんから、真っ当には
動かず半クラが一切無くなってベルトがだだ滑りになるのが関の山です。

なので、金ちゃんさんの分析は大変正確で、現在の仕様と構成であればこれ以上は
最大減速比を高める事は不可能である、という結論に他なりません。

私も、ホンダ大径駆動系であれば3.000程度が限界だ、と言っているのはまさに
この辺が根拠の一つになっているんですよ。
いくら頑張っても、仮にドリブン側からベルトがはみ出ない様に大きなお皿を
持ってきたとしても、ベルトセット状態から「閉じ側」へストロークが一切出来ないのでは
皿だけでかくても全く無意味だったりしますんで、ね…


で、これらを理解されている事が前提として…
そのカメファクプーリー構成であれば、実は手が無い事も無いです。

これ、仮にベルトをGR1、すなわち5〜6o短いモノをセットしたと仮定しましょう。
幅や厚みは同じですから、単純にこれをセットすればドライブ側のベルトかかり径は
そのままで、ドリブン側かかり径のみ小さくなってしまいます。


しかし、この状態を逆手に取り、「ドリブン側ベルトかかり径を113oで維持」するといった
方向性を考えてみて下さい。

そうするにはボスを長くする事になりますが…仮に1oボスワッシャーを追加すると
ドライブ側ベルトかかり系は約3.73o小さくなりますが。
これでドリブン側ベルトかかり径が、GAGベルトと同じ113oまで戻せたとします。

とすれば…「ドリブン側ベルトかかり径は現状のまま、ドライブ側ベルトかかり径を
小さく出来る」という状況を作り出す事が出来ますよね?

ボスは18oなのですから、ボスにワッシャーを1o追加して、ベルトかかり径は仮に
40.3→36.5oになったとしても、ベルト裏までの余裕は0.75o程度はある訳で。

さすがに0.75oしか余裕が無いのはちと問題ですが、それでもベルト裏はボスに
当たってはいない上、調整によっては最大減速比は3.000を越えていけるかも
しれませんよ?


と、こうやって考えると、簡単に「ベルトが長い方がローギヤ傾向になる」という事も
一概には言えなくなるんですよ。
各部の余裕や動作範囲をしっかり考えていけば、いくらでも発想が広がるんですね。

この細いボスを有効利用すれば、別にベルトがドリブンからはみ出さなくとも
現状よりローギヤードな最大限速比を形作る事も不可能ではありません。
そして当然、それは各部の動作余裕もきちんとふまえた上での構成になります。

が、当然のごとく最大変速時にプーリースライド量が足らなくなる場合もありますが、
それはそれできちんと分析を行っていけば、どちらも殺さずに進めていくといった
事も可能にはなりますし。

…この辺こそが駆動系というシステムの面白いところであり、難しい所でも
あるので楽しいんですよ〜(笑



とまあ、無茶苦茶に長くなりましたが。
今回はコンテンツに無い事をかなり記しましたので、ひとつひとつじっくりと
考えていかれると宜しいかと思います。


後最後に。
こんなモノの考え方をする人間ってのは世の中にはなかなか居ないのが普通であり、
一般的には私の様な人間は異端である、といった事はご了承下さい。

私自身、こういう考え方をする人ってのは片手で数えて事足りる位しか知りませんし、
実際の力の掛かり方とかを考察する段階になるとさらに減ります(汗

言い方がおかしいですが、少なくともネットで検索して出てくるLVの情報や考え方では
ありませんので、簡単には真偽の確かめようがありませんが、私も色々な方向性を
考えた上で一番矛盾が無く整合性の高い理論だ、として採用しているといった事を
裏付けとしているので、じっくりご自身の頭で考えて頂けますと幸いです。


ではでは。
ツッコミ等あれば本気でどしどしお寄せ下さいませ。
ここを見られた他の方々もご意見あれば遠慮無くお願いしますです。
管理人でした〜

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