ともにゃんさん毎度でございます〜 さてさて先日のあれこれはお役立て頂けた様で何よりですよ。 では今日もさらにいつものをば。
> たくさん見かけるのですが、そもそもタコメーターがあったとしてもパワーバンドを知る方法がないんじゃないか、と思いまして質問させていただきました。
スクーターのエンジンのパワーバンドの見極め方、という事ですね。 これはおっしゃる通り、一般的なマニュアルトランスミッション車と比べれば エンジン回転数と速度の関係性は完全に逆転しているので、かなりの とっつきにくさではあるかなと思われます(汗
が、2stエンジンである以上は、メリハリ自体は小さくともしっかりした パワーバンドは存在しますし、メーカー純正ではそれを極力分からない 様なセッティングや構成に仕上げているだけなので、判別そのものは 不可能ではないんですよ。
> それこそ体感に頼るか、ダイナジェットマシンにのせるしか方法がないんじゃないかと思っております。
そうですね、基本は体感で「加速の良し悪し」で判断するのが基本中の基本となります。 これは別にスピードメーターの針の上がり具合でも良いのですが、パワーが出ていると いう事はそこを使って加速していけば速度はそれだけ上がりやすくなっていく、という 事になります。
で、これはあくまで「加速力」を判断するという事になるので、「0発進」や 「最高速度」は完全に頭から放り出して取り組んで下さい。 これはとても大切な事なので絶対にお忘れなき様にお願いします。
まず、V100ですとそうですね…メーター読み時速25km/h程度で一定速度の 巡航を行い、あるポイントが来たらアクセルを全開にしてフル加速を始めます。
そして、時速70km/hあたりまで加速出来るポイント、というのを電柱でも 看板でも木でも良いので何かしらの目印をもって記憶しておきましょう。
もちろん、その基準となる加速時の「変速回転数」は一定ではないと思いますが おおむねこのくらいだ、といった数値をメモします。
その上で、今度は加速の具合を変えてみる、すなわち「フル加速時に使う エンジン回転数」を変更してみましょう。 スクーターなのでそれを換える、という事はアクセルの開け具合を換えるのでは なく、WRを変更して「変速回転数」を変更するという事ですね。
仮に、ノーマルWRの状態で6000rpmで変速していき、70km/hまで到達する ポイントAを決めたとします。
次に、WRはV100だと1個13g程度ですからこれを8gとかに変更し、同じく時速 25km/hで特定ポイントよりのフル加速を始め、ポイントAまでに「何km/hまで 到達出来たか」を把握してみます。 もちろん、変速回転数も目視で把握してメモるのを忘れずに、です。
仮に、後者のセットにてポイントAの到達時に65km/hしか出ていなかった、と なればこちらのセットの方が間違いなく加速は遅い、という事になり、 この時点で変速回転数が8000rpmだったとすれば、おそらくパワーバンドは 通り過ぎて力のなくなっているオーバーレブ域にて加速してしまっている、と いった推測が成り立ちます。
これをふまえ、逆にWRを16gとかにして走ってみてその時はどうなのか、を 試していき、おそらく全然加速出来ないと思うので…じゃあ最低でも最初の ノーマルセットの6000rpm前後から、いっても8000rpm程度までのどこかには 美味しいところ、イコール「一番パワーの出ているピークパワー領域」が 存在するのでは、といったところまで絞り込めますね。
ここまでくれば後は微調整に近いですが、7000rpmでもちと遅い、となれば ひょっとして5500rpmあたりなのか、となってこっちも遅め…ならば 6500rpmあたりか?といったところまで来ればピークの位置と言うのはおおむね 判断出来てしまいます。
で、ピークが分かれば後は簡単で、上にも下にも変速回転数を少しずつずらして 行きながら、実走行でまあ我慢の出来る加速具合を保てる変速回転数の上限と 加減を自分で確認しつつ決め打ちしていきます。
これでやっと、「実走行における有用パワーバンド」と「一番パワーの出る 回転数」の2つが判明しますから、エンジン特性を意図的に変更しない限りは 普遍の物となりますね。
とまあ、ざっとではありますがこれがスクーターの基本的なパワー特性の 確認方法になりまして…スピードメーターとタコメーター、後は適当な 直線と分かりやすい目印があればWR交換の手間だけで簡単に把握出来ます(笑
ちなみに言うまでもありませんが、タコメーターも誤差はあるのである程度の 「自分的な相対的基準」を作るのであって、「他人様と比べた絶対的基準」を 求める訳ではない、といった点はご留意下さいな。
要は、0発進を行わない巡航状態からのフル加速にて、到達点で何km/h出せて いるか、が現実的な加速力の遅い速いを如実にあらわすので、それを逆手に 取ってエンジンの出力具合を確認しているだけ、という事ですね〜
なお到達ポイントではなく別にストップウォッチ計測でも良いですが、これは 経験上スピードメーター目視の方が誤差が小さく正確なので…私はスピード メーターをレーサーでも例外なく装着しているのはここに根拠がある、と いう事でひとつ。
ちなみに余談ですが、ダイノジェットに載せる場合だとタイプにもよりますが、 スクーターの場合はエンジン回転数計測と速度が連動しない為、正確な計測は かなり難しくあまりアテになりません。
あくまで、後輪への負荷から出力を割り出す為に自動的に変速してしまっては ダメなんですよね。 WRを抜いて駆動系固定を行ってやればそこそこ出はしますが、それでも今度は ドライブ側のベルトを挟む力が0になるのでロスがかなりでかくなり、実際の パワー計測値としては正確にはなりえません。
ただ、回転領域のパワーグラフとしては出るので、ここいらへんがパワーバンドに なっているかな、といった点は分からない事は無いです。 が、そこまでやるならば自分で見極めた方が体感も含め正確かなとも(笑
> ましてやスクーターは自動的に変速をしてゆく物なので、その変速回転数がパワーバンドから外れていれば体感でもほぼわからないんじゃないかと思うんです。
いえいえ、これはノーマルエンジンであっても分かりますよ。 変速回転数がほぼ一定でないといけない最大の理由もここにありまして、 ピンポイントで「美味しいところ」を維持し続けていけるというのが 無段変速の最大の強みですからね。
なので、仮にパワーバンドを大きく上回ってピークすら通り越している 9000rpmとかで加速してしまうと、明らかにこれは走らない、といった体感は 出来てしまいます。 ノーマルのWRを3個抜いただけでも体感とタコメーターには結構現れますから、 まずはそれをやってみるのも分かりやすいでしょう。
> 変速して速度が乗っていけば、体感としては力強いような感覚になるわけですしね
このフィーリングはあくまで、「加速中は微妙にピークを外している加速」を 行っており、速度がある程度出て最大変速し、そこからやっとこさ一番美味しい ピークパワーを使って走っていく、というのが「メーカーの基本セット」が あるからこそそう感じるのですよ。
何故にそんなイマイチなセットにしているのか、といった理由はですね… メンテをほとんど行わず、ベルトすら交換しない様な過酷な乗られ方をされた 場合には、WR重量を一切変更していなくとも「変速回転数が上がってくる」と いった症状が起こりがちなんですよね。
なので、劣化のメンテナンスフリーポンコツになっても、加速したい時には オーバーレブ状態ででギンギンに加速している、といった状態に陥る「劣化」を 防ぐ為にあえて新車時にそうしているのでは、と私は分析していますんで。 これはスポーツモデルでも原付二種でも、ほぼ例外なく出荷時はそういった セットになっているので…
> MT車であれば、ギアを固定で回転を上げていけば、どの辺りが力強いのかを把握できるとは思いますが、無段変速のスクーターではどのようにして「知る」のでしょうか?
これが自在に出来ないからスクーターは難しいのですよね。 かつ、原付一種、二種クラスであればアクセラレーションも気にしないタイプの 人がライドする事も多いですし…スイッチアクセルと私は呼んでいますが アクセルをONとOFFの二種類しか操作しない乗り方、という事で(爆
…これはマニュアルギヤのないスクーターだからこそアクセルワークって 大切なのですが、アンダーパワーだからといって適当な操作ではいつまで 経っても駆動系の動作の機微、ってのは分からない、とは断言しても良いですが。
とまあ、前述の様にMT車におけるギヤ固定の様な「加速における一定条件」を スクーターで作る場合にはそれをエンジン回転数の固定、すなわち変速回転数の 固定化を行うしか方法が無い訳です。
なお、アクセルの開け具合によっても変速回転数を変える事は出来ますが、 これをやるとエンジン自体のパワーの出し方といったとても大切な点が 条件として一定に出来ない為これは特性判断の手法として不適切なんですよ。
アクセル全開で巡航状態から加速してみる、といった手法しか事実上どうにも ならない訳であり…別に無茶をして下さいと言っている訳ではありませんので そのあたりは誤解なき様にお願い致しますね(汗
ではでは、何か不明瞭な点があればまたツッコミ下さいませ。 管理人でした〜
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