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記事No 5816
タイトル 中華シリンダのポート
投稿日 : 2010/07/19(Mon) 13:22:59
投稿者 nyanta28
参照先
ねぎのリーダー様こんにちは。
今日は死ぬほど暑いのでインドア原付いじりにしました。

ここのところ課題であった"中華シリンダーを使えるようになる"作戦
の第一段階として、新品の測定を行いました。

まず、基本スペックから。
森詮(SENCHEN)製50MMボア
シリンダ ロアー〜アッパーデッキ高さ(約) 純正   森詮
                           63    68.5
ピストンピン上                  21.6   27.5

排気開 (BBDC〜ABDC)            185    173
#1#2開                       145    130
#3 開                       139    121

ピストン重量(含:ピン・サークリップ・リング)  81     134


今現在、純正より少しだけ上まで回る程度です。
排気量の大きい分、ギア比で最高速を出していますが、
アメ車みたいにピタッと最高速近辺到達からの伸びが無い状態です。
いわゆる、2ストらしいオーバーレブ域はまるでありません(笑

私なりに考えるに、
1 オーバーラップが異常に少ないのと、IN/EX共に開時間が短すぎ、
2 ピストンピン上が長いため、BDC位置で各ポートと大きな段差が
  発生している
3 ピストン重量が重過ぎる
4 掃気ポートの高さが結構バラついており、これでは綺麗な掃気は無理

・ピストンヘッドをカットしてポートとの段差を修正すると、
ポートタイミングも改善されるのですが、
シリンダアッパーデッキとの距離が3mmほど発生してしまい、
結局フライス加工が必要。

・同様に1mm圧のベースガスケットスペーサーを2枚入れると段差は
 解消されるのですが、アッパーデッキとの距離が発生するので
 やはりフライス加工が必要。

・各ポートとの段差には目をつぶるとしても、かなりのポート修正が
必要。(場合によっては表面に突き抜けてしまうかもしれないぐらい)

やはり・・・ダメシリンダーなのでしょうか(笑

ご意見頂けると幸いです。

記事No 5818
タイトル Re: 中華シリンダのポート
投稿日 : 2010/07/22(Thu) 07:37:58
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先 http://www.neginoleader.com
nyanta28さん毎度でございます〜


おお、今回はインドアいじりですね?
天候がよろしくない日には確かにコレに限るなと私も思ってたり(笑
机の前で頭を唸らせるのもこれまた楽し、という事で。


さて早速ですが、例の50φボアアップシリンダーの計測等を行われたのですね。
ブツが2つあるってのはこういう時に便利です。

と…早速計測&計算されたポートタイミングを拝見しましたが、これはちょっと
おかしな点があるかなと思える部分があるのでまずはそこからツッコミをば。


>ピストンピン上ノーマル21.6

これはピストンピン半径を考慮していないのでは?
実際はピン半径6o加えて27.6oならば現実的です。個人的には誤差含めスーパーDio系なら
ノーマルピストンのピン上は「28o」程度です。

この部分は「ピン中心」から上を記述するのがセオリーになりますが、そうしておかないと
コンロッド小端の中心〜ピストンの「肩」までの距離にならないので、他の部分の計算で
ややこしくなってしまいますね。


そしてシリンダー全長は…WG刻印の物なら63oならちょっと長すぎるかもと思ったり。
純正ベースガスケット0.5o厚も含めているのであればこんなものですが…
誤差もありますが純正シリンダー全長は62〜62.5o程度が基本になります。
これはAF27でもAF28SRでもZXでもさほど大差はありません。

で、社外品の方は68.5oあるという事であれば、これはおそらく例の車種の型を元にした
物で、数o単位でシリンダーをカットして作成されていると思います。
その車種のノーマル状態だと49.4oストロークなのでシリンダー全長は74.5oとか
ありますから(笑

ピストンに関してはオリジナル品でしょうからなんとも言えませんが、これもそれなりに
あわせて行かないとポートタイミングが無茶苦茶になるのは言うまでもありませんね。



次に肝心のポートタイミングですが、これは「総開角度」表されていますが、基本的には
下死点前、BBDCでの角度表記になるので半分にした数値を表記してみますね。
(以下、単位は全て「°」です)


ポートタイミング (総開角度の半分の値に変換=BBDC角度)

ノーマル 社外品

排気 92.5 86.5

第1掃気 72.5 65

第2掃気 72.5 65

第3掃気 69.5 60.5


と、これだけ拝見して感じたのが、この排気の角度表記はBTDC〜ATDCの開角度に
なってませんかね?

仮に両者共排気のみBBDC〜ABDCに直すと

排気 87.5 93.5

排気は無加工ならば現実的、ノーマルならこんなものなんですが…
が、そうなると社外品の方が排気タイミングは速い事になってしまいますが(汗


で、それに対して掃気はBBDC〜ABDC値になっているフシも(汗

第1掃気 72.5 65

第2掃気 72.5 65

第3掃気 69.5 60.5

これだと社外品の方はそれなりに納得出来ますが、ノーマルシリンダーの方はこれだとまず
ありえない数値になっています。

標準的にシリンダー全長62.5o程度で掃気ポートがシリンダー上面から33o程度、ピストンの
TDC時の肩落ちが0.2oとしても掃気角度はBBDC61°程度にしかならないです。
ZX用のHG刻印シリンダーで全長変わらず掃気が上から32oでもBBDC64.5°程度ですから。

こちらの数値がBBDC〜ABDCに間違いないのであれば、シリンダーを思い切りかさ上げしている等の
仕様変更が無いとおかしいですが…これはノーマルの数値に限り、ひょっとして10°ずつ間違えて
いるのでは?とも思ったりしますよ。
掃気1-2-3で62.5-62.5-59.5°ならばいかにもWG等のシリンダーのノーマルって感じになりますので。


この辺は計測か計算かは存じませんが、「基準となるノーマルシリンダー」のポートのタイミング
数値があまりに私の把握しているものとかけはなれているといった点が見えますので、失礼ながら
社外品の方はそこそこ現実的な数値とはいえ、それなりの正確さがあるかどうかがちと怪しい、と
いった事になってしまいますがご容赦下さい(汗



> 今現在、純正より少しだけ上まで回る程度です。
> 排気量の大きい分、ギア比で最高速を出していますが、
> アメ車みたいにピタッと最高速近辺到達からの伸びが無い状態です。
> いわゆる、2ストらしいオーバーレブ域はまるでありません(笑

社外品の方は、そこそこ現実的なポートタイミングと言いますか、AF28Dio-ZXのノーマルと
ほとんど同じ特性になっていますね。
が、それであればノーマルマフラーでも7000〜7500rpm程度にピークが来ないとおかしいですし、
ピストンがクソ重い分、変速終了後のオーバーレブはなくなるかとおもいますが、かといって
その辺はギヤ比がハイギヤードになっていれば仕方ない面もありますしね。

と言いますか、私としてはスクーターにオーバーレブなんて要らないと思ってる口なのですが、
2stとはいえ、スクーターの構造上、オーバーレブをある程度出すのであれば無理の無い
変速比と減速比、両方を兼ね備えていないとすぐにパワー負けして上手くいかないですよ。



> 私なりに考えるに、

> 1 オーバーラップが異常に少ないのと、IN/EX共に開時間が短すぎ、

うーん…これはですね、オーバーラップと表現するのはちょっと私は慣れないのですが、
総開角度、総開口時間としては、第3掃気はともかくとしても第1と第2はこれならば
普通LVだと私は受け取りますよ。
第1掃気がBBDC65°なら至って正常で、速すぎも遅すぎもしませんね。

この辺はノーマル風車両のタイミングや世間一般で言われている数値は遅すぎると
私は分析していますんで。


が、掃気が開いてから閉じるまでの時間(角度)としてはこれは上限値ってのはありますし
やりすぎるといきなりパワーダウンする所、ってのも存在します。

あまり掃気タイミングは速くしすぎても駄目なのですが、現状の仕様でBBDC65°程度、
総開角度130°程度なのであれば、決して開口時感が短すぎると言う事はありえない、と
断言しても良いですね。

後、上記のノーマルのBBDC角度ならば第1掃気でBBDC72.5°なんてのはどんな2stの
エンジンでもありえない位にタイミング速すぎますんで(汗



> 2 ピストンピン上が長いため、BDC位置で各ポートと大きな段差が
>   発生している

これはですね、流用ピストンやシリンダー等の場合には必ずぶつかる部分になります。
もちろん、BDCにてピストンが掃気ポートに被っているのはよろしくありませんが、
パワーを重視しない世間一般のノーマル車だとそんなのは当たり前に存在していますね(笑

とはいえ、チューニング前提の場合はそれは出来る限り避けなければいけませんが、
かといって、その為に掃気タイミングが異常に速くなってしまっては本末転倒なんです。

各部の加工やつじつま合わせにより修正出来るものならともかくとしても、どちらかしか
上手く行かない場合は、絶対に掃気タイミングの方を重視すべきです。

さもなくば、掃気タイミングが限界を超えている場合はあからさまにパワーがすかすかに
なって走らなくなってしまいますから。
一例としてはロングストローク化等の場合、これを適当にあわせていて大失敗、といった
パターンもあったりしますよ。


後補足としまして、同じ「ポートタイミング」とはいえ、掃気タイミングの場合は排気タイミングなど
全く比べ物にならない位にクランク角度的にもシビアで、失敗しているとにっちもさっちも
いかなくなるといった事になるので、実際の計測、計算においても「適当」は許されません。
排気タイミングにおいては多少遅くても速くてもそこまで激変はしないんですけれどね。

なので、ここは特にですが、ノーマルと全く構成が異なる物を組む場合は、前述しました様に
「上から何o」といった計測では全く駄目である、とも言えますね。



> 3 ピストン重量が重過ぎる

これはやむなし、ですね…
でっかい分は重くなって当然なのですが、MAXが10000rpm程度ならば排気量が上がった分の
エンジンパワーを稼げば、よっぽどピストンが重くない限りはそこまでデメリットにはなりませんよ。

ピンとリングを含めて134gと言う事ですが…私の過去のデータを見ますと、おそらくそのシリンダーと
同じ物をベースとして作った50φのブツに使ったピストンは、リングとピン込みで115gって所でした。
なのでそこまで極端に重量が違う、って訳でも無いかな、とも。



> 4 掃気ポートの高さが結構バラついており、これでは綺麗な掃気は無理

これはですね、開き始めの部分は少なくとも均一であるか、第1が最優先で開いてくるのが
セオリーとなります。
が、仮にそうでない場合であっても、各掃気ポートのタイミング的に1°もズレが無いのであれば
そうそう特性的におかしくなって走らない、といったLVにまでは行かないですよ。
とはいえ、これはストローク等によっても大きく異なりますが、仮にシリンダーの上からの
寸法で「0.2o」異なっていたとしても、角度にすれば3°とか違う、といった事があるのは
前述の通りです。

…後、いつも通り言葉が悪いですが、この辺のシビアさをきちんと解決しようとすれば、
分度器計測等では全くあてにならないシビアさだ、と言う事も付け加えさせて頂きますね。
分度器の場合であれば最低限、正確なTDC&BDCをダイヤルゲージで出さないと駄目です。



> ・ピストンヘッドをカットしてポートとの段差を修正すると、
> ポートタイミングも改善されるのですが、
> シリンダアッパーデッキとの距離が3mmほど発生してしまい、
> 結局フライス加工が必要。

方向性としては正しいのですが、ピストンヘッドをカットしてしまうのはよほどの事が
無い限りやめておいた方が宜しいかと思いますよ。

が、ピストンの肩の角度等を正確に反映出来るのであればいけない事は無いですが、
ピストントップの肉厚も考えて加工を行わないと一発で(以下略

なお、それをやるとピストントップ容積が大きく変化してしまうので圧縮比の計算においては
また一考が必要となってきますよ。
…これは別に強制するわけではありませんが、エンジン構成自体がノーマルと激変して
いる場合だと、ゲージ計測の圧縮圧力基準は止めた方が良い、とは補足させて頂きますね。


そして、ピストンにそういった加工を行ったとしても、どのみちシリンダー上面の切削加工は
必須にはなってきますね。

私も、そういった「調整」を行う場合にはシリンダー上面の加工といった物は行うことが
大前提として物を考えていますし、それをやらずに各部のつじつまを合わせろと言われても
どうやっても出来ない事ってありますからね(汗
むしろそれは当然の加工かと私は考えていますよ。



> ・同様に1mm圧のベースガスケットスペーサーを2枚入れると段差は
>  解消されるのですが、アッパーデッキとの距離が発生するので
>  やはりフライス加工が必要。

ポートタイミング自体は、最初の数値を拝見しますに別にノーマルちっくで悪くは無いと
私は判断したのですが、実際にシリンダー全体をかさ上げしようとなると、そのベースを
厚くする手法の方がはるかに無難ですよ。

もちろん限度はありますが、1oのベース板を0.5oのガスケットでサンドイッチしたとしても
それだけでも高さ的には1.5o分は上げられますからね。
この手の手法は私もよく使います。
場合によっては、シリンダーの「下面」をすっ飛ばす事が必要なケースもあったり(笑


> ・各ポートとの段差には目をつぶるとしても、かなりのポート修正が
> 必要。(場合によっては表面に突き抜けてしまうかもしれないぐらい)

突き抜ける、というのは排気ポートを上向かってに削り込む、という事でしょうか?
これ、そこまで寸法変化を起こすのであれば他の手法を考えた方が良いのですが…

排気タイミングに関してはですね、ある一定の角度を超えると変化具合ってのは少なくなって
来る物でして、そこまで無理矢理に速め速めにもって行かずとも良いと思いますよ。


ただ、上記の補正通りBBDC93.5°あるのならば、ノーマル+αのスポーツマフラー程度なら
それ以上に速めてもあまり効果はありません。
表記通りのBBDC86.5°なのであればさすがにもうちょっと速めたいと思いますが、それでも
穴が開く程は行かないのではとも(汗

どうしてもブチ抜きそうならば無理に上側を一直線にせずRを付けても良いですが、そのかわり
「下側の形状」で排気ポートの極端な断面積変化が起こりづらい方向性に向ける、というのも
大切です。
意外とですね、排気ポート横方向部分の形状や乱流等に関しては気を遣われる方は多いと
思いますが、上下方向のうんぬんに関してはあまり聞かないな、と思ったり。
実はこっちも大切だったりしますよ。


> やはり・・・ダメシリンダーなのでしょうか(笑

いや、そこまで言ってしまうのにはまだ早計かと(汗
実際、ここまで考えなければいけないといった時点でポン付けには程遠いですし、色々と
分析力も必要になるのですが、私から言わせればノーマルでは無いモノをベースとする限り
きちんとした性能が欲しいのであれば「この位」を考えるのは当然です、としか言えないんですよ…

で、上でも書きましたがこういった各部のつじつま合わせを行っていく上でのシリンダーの
全長の変更加工やかさ上げ等は必須ですし、ポートタイミングがどうなっているのかといった
事もあわせて「ノーマルに対しどういった方向にしたいのか」を明確にしないと目標も出来ません。


大雑把に無難な所のみを表記しておきますと、最低限度AF28Dio-SRの特性より高回転型に
したいのであれば、

・排気タイミングはBBDC90°〜よくいっても95°はオーバーしない程度

・掃気はタイミングを「揃えた上で限界を超えないタイミング」にする方向性が最優先で、
現状で65°であれば色々と難しくなるのでそれ以上はやらないほうが無難

って感じでしょうか。


もちろんこれ以外には排気ポート弦長だの掃気の噴き出し方向だの圧縮比だのスキッシュ
クリアランスだの色々ありますが、まずはポートタイミング、次に圧縮比です。

この2点がせめて「ノーマル風」になっていない限り、絶対に排気量なりのパワーUPというのは
ありえない、と言い切っても良いですからね。



と、いつもながら長くなりましたが。
今回はノーマルと社外品のポートタイミングを出して頂いた訳ですが…残念ながら基準となる
ノーマルの数値がちょっとおかしいと思いますので、出来ればもう一度計測しなおしてみる事を
お奨めしますよ。
「基準」を間違えていたらそれと比べるべき物も自動的に間違ってしまいますんで。

AF27もしくはAF28SRのWG刻印のノーマルシリンダーであれば、ガスケットを除くシリンダー
全長は62.5o程度、その上で排気87°掃気61°程度にならないとおかしいですから、ひとつの
参考までにどうぞ。

あ、もうちょっと詳しい数値を拾って頂ければポートタイミングだけ計算も出来ますよ。
クランクシャフトやストロークが変わっていなければさほど難しくはありませんので、それも
一つの手だとお考え下さいな。


ではでは本日はこれにて失礼をば。
管理人でした〜

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