おっとにけさんご無沙汰しております〜 いつも通り何の変哲も無く2stスクーターいじくってる管理人です(笑 さてさて、今回もなかなか素敵なご質問をありがとうございますです。
> シリンダーヘッドの面研磨をすることによってプラグとピストンの距離が近くなりますが > > この場合点火時期が結果として早まるという認識で良いのでしょうか。
こちら、プラグ位置の変化による点火時期の変化、という事ですね。 これはですね…最初に申しますが私としてはこの「プラグの位置」といった 数値は、点火時期に関しては全くもって加味したりはしていません。
プラグが点火し、混合気に着火した後に起こる燃焼にて発生する「圧力波」が ピストン末端まで満遍なく届いた上でピストンを押し下げ、それがトルクと言う 力になるワケですが…これ、ポイントは「圧力波の到達時間」だと思われます。
ちなみに私、当サイト内のコンテンツでは分かりやすさも鑑みて「燃焼状態 =圧力波」みたいに記してますが厳密には異なりますね(汗
と言いますか、エンジンの仕組みというモノは基本的に何でもかんでも「時間」で 管理されていると言っても良い物でして、火炎伝播速度そのものには様々な 要素による差は出ても、もっともっと高速である圧力波だと発生位置が多少 変化しても「ほぼ」無意味であろう、という事でしょう。
が、私はプラグの先端位置の点火時期への影響はほぼ無いと考えていますが、 「ボア径」の大小に対してはそれなりの影響を考えねばならない、と考えて おりますよ。
仮に、ライブDioを例に挙げますと…プラグホール位置はヘッド下面まででおおむね 12mm、TDCでのピストンの肩落ちは誤差もありますが0.2mm、ヘッドガスケットは 0.2mm、ピストントップの高さは2.3mmなのでTDC時のプラグホール部からピストン トップ真ん中までの距離は「10.1mm」あるという事になっています。
で、これはあくまで「プラグホール下面からピストントップ頂点まで」の距離に なりますから、一般的なプラグ(BR○HS)を用いれば先端碍子部分の突出は3mm程度 ある為、物理的なプラグ先端からピストントップまでの距離としては「7.1mm」と なりますね。
その距離に対し、ボア径なら40φ、半径で20φですが実際にはピストン末端までは 斜辺距離になるのでおおむね「21.2mm」といったところでしょうか。
ざっとした所感ではありますが、私はボア径が10φ広がれば点火時期としては 2°程度速めないと、小径ボア同等の火炎伝播、圧力波の到達時間が遅れる、と 認識していますね。(これは計測しようがないので体感と経験則です)
となれば…10φの半分でピストン末端までの距離としては5mm分+になりますが、 これで2°程度となれば、垂直方向でのプラグ位置を変更するとしても仮に 「2mm」程度ピストンにプラグが近くなったところで、前述の斜辺距離だと ボア径が変化しなければ「20.6mm」となります。ノーマルとわずか0.6mmの差です。
で、プラグ位置が変わらずボア半径が5mmも広がれば、斜辺長としては「26mm」と なり、これはプラグ位置が垂直方向に2mm変化した、どころの騒ぎではありません(笑 なので、影響力を鑑みるならばボア径拡大の方がはるかにプラグの垂直位置よりも 点火時期やらに関する影響率が大きい、という事ですね。
…単純に、私の体感と経験である、ボア径10φ+に対して点火時期2°、というのを 割り算で当てはめてみると、ボア径5φに対して点火時期1°の補正、すなわち 「ボア径50φの斜辺長26mm」-「ボア径40φの斜辺長21.2mm」=「4.8mm」、 4.8mm先の位置に圧力波が届くタイムラグを点火時期2°分、とすれば1°ならば その半分、「2.4mm」の距離の変化があれば辻褄はまあ合いそうです。 (※とはいっても点火時期も「時間」なので一律数値では無いのですが…)
なので、プラグの垂直位置での点火時期の変化、となれば2.4mm位置が下がれば 点火時期が1°進角したのと同じになるのか…といった仮説は立てられない事は 無いですが、実際には火炎伝播速度と圧力波をm/sで計算してやった方が正確に 出るとは思いますが…昔やってみた気がしますが面倒臭(以下略
とまあ、これはあくまで仮説ですが、プラグ垂直位置で2.4mm変化させるとなれば 面研でどうこう、といったレベルではなくヘッド前面作り直しを行わないと 駄目なレベルですし、それらを鑑みても実際の私の経験上では、エンジン特性の 分析や設計において、「プラグの垂直位置は点火時期等には一切加味しない」と しておりますね。
そしてここでいつものヤツをカマしておきますが…上記の例題ではあくまで 標準プラグを「BR○HS」としましたが、これを碍子突出タイプの「BPR○HS」に 変更したらどうでしょうか?
その場合でもプラグの先端部ではありますがすでに2mm程度の位置の差は生まれますし、 仮にこういったプラグタイプの変化のみで明確に点火時期がどうこう、なんて まず体感は出来ないでしょうが…本来なら変化はあるのかもしれません。
で、私はこれを実証する為に、「容積はノーマルと同じ、かつプラグ垂直位置を 4mm〜程度下げたヘッド」という物をこしらえ、実走行で実験した事があるんです。 結果は言うまでもなく、点火時期や圧縮比が同じであればプラグの垂直位置のみが 変化しても何も変わらなかった、という結果でしたよ。
数値のみで言うなればボア径を10φでかくしたレベルでの「距離」の差は 出ないとおかしいのですが、実際にはそうではなかった、という事で私としては この点に関しては加味は無用である、と結論付けておりますね。 言うまでもありませんがこういった実験の場合、他の要素は限りなく同等の 条件で行わないと比較になりませんので注意です。
他には…SSマシンとかだとプラグ末端からピストントップまでは3mm以下とかの 距離になっている物でも、点火時期設定がきちんとした範囲なのであれば、それを どんどん進角しておかしくなってくる点火時期、という物は変わりませんでしたから。 プラグ〜ピストンまでが近くてかつ圧縮比は高めでも、他が整合性のある設計で あった場合ならば、BTDC17°〜程度ですでにノッキング連発とかには一度もなった 事はありませんので。
かつ、にけさんがお好きの原付二種エンジンだと、元々のプラグ〜ピストンまでの 距離やボア径は例題よりも元々もっと大きいですから、余計にプラグ位置としての 影響力は極小であろう、という事で加味の必要は「現実的には」必要無いと私からは 結論付けたいと思いますです。
後、センタープラグではないシリンダーヘッド、燃焼室を持つエンジンであれば プラグ位置によってそこまであれこれ変化するとなればヤバい事になるかとも(笑
とまあ、長い上に分かりづらくなってしまいましたが(汗 これがもっともっとボア径の大きなエンジンであるとか、プラグ位置が超特殊で あるとかであればもっと加味すべき部分が出てくるのかもしれませんが、個人的な 見解では小難しい事を考える前のレベルですでに鑑みる必要は無い部分である、と いう事でひとつ。 あ、そのかわりボア径には影響は多少ある、と私は認識していますのでよろしくです。
ではでは、久しぶりに頭を使ったので間違っている所があるかもしれませんが 何かあればツッコミ下さいませ(笑 管理人でした〜
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