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記事No 8244
タイトル ホンダ縦型エンジンについて
投稿日 : 2023/04/13(Thu) 16:05:34
投稿者 縦型人間
参照先
初めまして、今年に入ってからスクーターいぢりに興味を持ち始めて度々訪問させていただいております。
早速本題なのですが、AF18E細軸にKNアルミボア78ccを投入しまして慣らし運転を行いました。8500回転程で留めていたのですが少し駆動系をいじくり、軽く9000回転回るように設定しました。24パイキャブ、メインジェットは120+パワージェット、混合比1/75というかなりオイルを絞った状態でしたので3分程全開走行にてシリンダー、ピストン共にご臨終。それに加えてサークリップ、ピストンピンが安易には抜けなかったためにAF24Eのケースに交換しました。
クランクケースは割っていないのですが見ただけでも嵌め合いが悪いクランクケースでしたが兎にも角にも早くオモチャを手に入れたかったのでそのまま載せて新品アルミ78cc、WRを純正程の重さにして慣らし運転を行っていました。
ある時、リーダーさんのページで「オイル管理をしっかりして軽く抱かせて磨く」というものを思い出し、混合比1:20でWR半分、9000回転まで回してモ゛ッとさせてみました。案の定ピストンリングの切り欠き部分が縦にうっすらと傷がありましたので(後談あります)、ペーパーで磨き再度組み込み、そこから150キロほど6500回転以下での慣らし運転を行いました。この頃は8000回転までの慣らしをしていたのですが下り坂により8500程回ってしまい、その時にも軽い抱きつきのようになりました。

まずこれまでの慣らし運転中あったことをまとめると
1.AF24Eの走行中ハンドルにリズミカルな振動が伝わってくる
→クランクのブレ、ベアリング死亡と考えました

2.抱きつき慣らしを行った際、抱きついた瞬間にパンッと失火したような音が聞こえた
→経験がなく理解が出来ませんでした。。

3.8500回転を超えると何故か抱きつく。
→もうオイルなのかケースが悪いのかさっぱりです。

4.朝イチ始動で走行しているとノーマルスクーターのようにリミッターがかかっているかのようなフケの悪さが6800~7200回転の間でたまに起きる
→気温の変化???

ちなみに抱きつき慣らしを行った後に圧縮を計った時9.8ほどありました。
情報として必要かは分かりませんがお伝えします

玄人さんのやっていることを見様見真似でやっていることは間違っていることもあるかもしれません、ただやってみないと分からないことも多いですし、失敗をそのままにしたくないので素人ながらも頑張りたいと思っております。どうかご教授よろしくお願いします。

ps.夢は100キロオーバーのディオを作ることです!

記事No 8246
タイトル Re: ホンダ縦型エンジンについて
投稿日 : 2023/04/18(Tue) 23:07:58
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先
縦型人間さん初めまして。
当HP管理人のねぎのリーダーでございます。

さてさて…スクーターいじりの初心者さんという事で、ご経験談を読ませて頂きましたが
なんともはや、何度も腰上を壊してしまっているご様子ですね(泣
しかし、こういうのはある意味仕方の無い事でして…いつもながら辛口ではありますが
一つ一つレスさせて頂きます。


> AF18E細軸にKNアルミボア78ccを投入しまして慣らし運転を行いました。8500回転程で留めていたのですが少し駆動系をいじくり、軽く9000回転回るように設定しました。
> 24パイキャブ、メインジェットは120+パワージェット、混合比1/75というかなりオイルを絞った状態でしたので3分程全開走行にてシリンダー、ピストン共にご臨終。
> それに加えてサークリップ、ピストンピンが安易には抜けなかったためにAF24Eのケースに交換しました。

まず、社外品の78tシリンダーを投入されたのですね。
こちら…私は詳細な寸法等は存じませんが、「各部の寸法や状態」を何も調整せずに慣らしを
行っても、はっきり言ってほぼ意味が無く、セッティングがどうこうのレベルでは無い「製品」であると
いった点はご留意下さいな。

この手のパーツは、ポン付けであれこれやってもまともな「排気量なり」のパワーが出て、
安定運用出来るなんて事はほぼありえず、特にKN企画製品だと説明書等にも明記されて
いますが、「各部の辻褄合わせ等を自身でやる人が用いる"ベース品"」ですしね。

後、3分もの全開走行となればかなりの高負荷になりますが…こういった場合だと真っ当に
エンジンをこしらえてもそんな長時間「持つ」というのは難しいですよ。
少なくとも、排気量で言えばノーマルの1.6倍近くになっていますが、その状態を多少の
オイル量UPだけで「持たせる」事が出来るのか、といえばまず不可能でしょう。

後、混合比が「1/75」とありますがこれはどういう意味でしょうか(汗
もし1000tのガソリンに対して1/75のオイル量という事なら…13.3ccですのでヤバいです。


> クランクケースは割っていないのですが見ただけでも嵌め合いが悪いクランクケースでしたが兎にも角にも早くオモチャを手に入れたかったのでそのまま載せて新品アルミ78cc、WRを純正程の重さにして慣らし運転を行っていました。

うーん、AF18系腰下だともはや30年物ですし、嵌め合いが良いとか悪いとかではなく
もはや今の時代、そのままでノーマル以上の高負荷運用なんて自殺行為だと私は感じます。

当サイト内にも色々記述はありますが、ものによってはベースエンジンとしての「古さ」が
今の時代程ではなかった感覚で記している記述も多いです。
例の一つとしては、15年落ちエンジンでも走行は10000km以下、といった感じであり、
今の時代の様に30年経っていて3万qとか走り続けている、といった物とは全くもって
基準となる「中古」の意味合いが異なる、といった点はご注意下さいな。


> ある時、リーダーさんのページで「オイル管理をしっかりして軽く抱かせて磨く」というものを思い出し、混合比1:20でWR半分、9000回転まで回してモ゛ッとさせてみました。案の定ピストンリングの切り欠き部分が縦にうっすらと傷がありましたので(後談あります)、ペーパーで磨き再度組み込み、そこから150キロほど6500回転以下での慣らし運転を行いました。この頃は8000回転までの慣らしをしていたのですが下り坂により8500程回ってしまい、その時にも軽い抱きつきのようになりました。

これは先に結論を記してしまい申し訳ありませんが、この理論はあくまで
「エンジンとして各部のバランスや精度、色々な物がそれなりにきっちり出来ている」と
いった場合の社外品が大前提となります。

仮に、ピストンクリアランスが適切な品でも、最初から高負荷を与えてしまっては
不味い場合もある為、ある程度のリスクを承知の上であれば一度軽くアタリを取る、と
いった意味合いなので、元々の精度や特性が無茶苦茶な物ではこれをやったとしても
ピストンクリアランスがガバッガバな状態にならねば安定してきませんので…

言葉を返せば、「何をやっても焼き付かない位、ピストンクリアランス20/100位」に
なるまでピストン側を削り続けないといけない、という事ですね。


次に色々な検証へ対して、個人的見解を述べさせて頂きますね。

> まずこれまでの慣らし運転中あったことをまとめると
> 1.AF24Eの走行中ハンドルにリズミカルな振動が伝わってくる
> →クランクのブレ、ベアリング死亡と考えました

振動、となれば腰下の可能性は高いですが…もしも腰下が原因でそこまでの
ハンドルへの振動が出る程だと、クランクベアリングが死んでなくともクランクシャフトを
目視で見ても分かる位、曲がってしまっていると思いますよ。

ご存じかと思いますが、ホンダ2stスクーターのクランクシャフトは材質的にかなり
柔らかく、駆動系の脱着をミスった程度でもあっさりとシャフトが曲がってしまい、
再起不能レベルになります。
(※クランクベアリングは確かに強い方ではありませんが、シャフトはもっともっと貧弱です)

特に、中古エンジンだとクランクシャフトの状態なんてのはもはや真っ当なはずがなく、
一度、補器類を外してフライホイールを手で回しつつ、駆動系側のシャフト自体の振れを
確認してみる事をお奨めしますよ。


> 2.抱きつき慣らしを行った際、抱きついた瞬間にパンッと失火したような音が聞こえた
> →経験がなく理解が出来ませんでした。。

これはどこかがロックしたり破壊されたりすると、失火減少が出るのは正解ですね。
と言いますか、壊れ具合によってはおとなしくスローダウンするとは限らない為、
全開高負荷時はいつでも身構えておいた方が良いです(汗


> 3.8500回転を超えると何故か抱きつく。
> →もうオイルなのかケースが悪いのかさっぱりです。

オイルはですね、まず混合比の計算が正確では無いのかな、と感じます。
純正オイルポンプの吐出量は混合比に換算するとおおむね40:1程度、すなわち
ガソリン1リッターに対して25tのオイルを喰っている、という事になります。

純正の原付二種だともっともっとオイルは多く、25:1〜30:1程度なので、
もちろんメーカーさんはマージンを取ってはいますが、50tではなく78tならば
オイル量が純正の1.6倍あってもおかしくはない、とも考えられますよね。

なお、強制空冷であるが故、エンジン回転数が高いとそれだけ冷却風量も増えますが、
シリンダー側のフィンが小さかったりしてもダメですし、ホンダ純正のクーリングファンは
そこまで風量が高い物では無い為、排気量が78tもあるならば6000rpm程度でも
怖いのでは、と私は感じますね。


次に、ケースですがこれはまずありえない、と言っても良いでしょう。
二次エアを吸いまくりだとか、クランクベアリングが破損していてミリ単位でシャフトが
暴れているとかであれば腰上の焼き付きの要因にもなりえますが、通常レベルの劣化で
あれば、ダイレクトに腰上の破壊に繋がる様な要因はまずありません。

いくらクランクシャフトがブレていても、シールが弱っていても、ケースの精度が悪くとも
それが腰上を破壊する、というのはライトチューンでは私は経験した事がありません。


> 4.朝イチ始動で走行しているとノーマルスクーターのようにリミッターがかかっているかのようなフケの悪さが6800~7200回転の間でたまに起きる
> →気温の変化???

こちらは、少なくとも純正とかけ離れたエンジンやキャブにおいて、冷間時の安定間を
しっかりと出す、という事はまず不可能です。
アクセルの開け方やスローの調整でも変わりますし、リミッターが掛かったかの様な
症状となればあからさまにおかしいのだと推測しますが、それでもキャブなのか点火なのか、
もしくは腰上が根本的に悪いのか、各部の劣化なのか…いくらでも要因は考えられますね。

言葉が悪いですが、そういった点をおかしく感じ、追及したいのであれば各部の消耗や
劣化具合は、完璧なまでに修理が出来ていないと考えるだけ時間の無駄です。

オイルポンプ取り付け部のOリングが劣化していて2次エアを吸っているかもしれませんし、
キャブやマニの接合部、クランクオイルシールの左右はどうでしょうか?
そういった点が完璧に維持されていて初めて、「セットや社外パーツにおける不具合」を
考えて行ける物ですからね。

30年前のエンジンで、いじくったらおかしい点が出る、なんて誰がやっても当たり前の
事ですし、特に原付一種という乗り物は経年劣化や過走行に対してはとんでもなく
弱い物なので、そういった点をきっちり改善して行かないと「ノーマル以上の性能」なんて
求めるべくもない、といった点はご注意下さいな。


> ちなみに抱きつき慣らしを行った後に圧縮を計った時9.8ほどありました。
> 情報として必要かは分かりませんがお伝えします

これはゲージ計測値でしょうか?
申し訳ありませんが当方は、圧力計測値をチューニングの指標とはしておりません。
ですので数値を問われても何も言えませんのでご留意下さい。
はっきり申しますが、そのKN78tをベースに色々なチューンを施した上で、適宜圧力を
計測している様な占有チューナーでもない限り、圧力値は指標にはなりません。

…ノーマル状態ではいくつの圧力値で、ボアアップだとどれ位の変化があり、
それを「どの部位が影響して変わったか」が分かる位で無いと全く意味が無いでしょう。
なので、私は各部の計測&計算で出せる「圧縮比」を旨としておりますね。

もっとはっきり申しますが、素人計測の圧力値でボアアップのセッティング、なんて
無謀極まりないですし、時間の無駄なので止めた方が宜しいかと思います。


> 玄人さんのやっていることを見様見真似でやっていることは間違っていることもあるかもしれません、ただやってみないと分からないことも多いですし、失敗をそのままにしたくないので素人ながらも頑張りたいと思っております。どうかご教授よろしくお願いします。

私はメカニズムに対してのご質問に関しては、一切妥協しませんのでどうしても辛口に
なりますし、道理が決まっているメカに無に対して忖度しても誰も得をしませんので…
あくまで文体での物言いがきつい点はどうかご容赦頂きたく思います。

そして、今回の様なパターンという物は私自身、何人も見てきましたしこういった
サイト等での質問は何度も何度もお受けしてきました。


それをふまえての結論なのでどうかじっくりお読み頂きたく思いますが…
まず、「社外品ボアアップキット」という物は、そのままポンで組んで運用したところで、
まともに走ってセッティングを楽しめる様には「元々」設計されていません。

これは昔からなんですが、2stエンジンは構造はシンプルで部品点数は少ないですが、
その少ない部品点数の中で、様々な動作や作用を起こしているんですね。

なので、はっきり言いますが「社外品のボアアップキット」なんて大抵はゴミレベルだ、と
いう事なんですよ。
縦型人間さんが何度もトラブルを起こしているのは、もちろん知識や経験値の差による
点もありますが、それ以前に「まともに運用出来る腰上パーツを使っていない」のです。

これまた言葉が悪いですが、縦型人間さんの文章を拝見しておりますと、ご自身の
手法や運用に対しての疑問はお持ちの様ですが、肝心のボアアップキットに対しては
一切の不具合や不信感が無いと見えます。


それが、それこそが元凶とも言って良い物でして、いくら慣らしを頑張ったとしても
ピストンクリアランスがピストンの熱膨張に対して元々不適切な為、どれだけ削っても
高負荷をかけるとそれ以上に熱膨張が起こり、焼き付いてしまうというだけです。

もちろん、ピストンクリアランスだけが問題ではありませんが…2stエンジン腰上が真っ当に
動作出来る、少なくともノーマルと同レベルの各部バランスを取る為に必要な点、
具体的には

・ピストンクリアランス
・ピストンの材質、形状(※見た目レベルではなく)
・ピストンリングの材質、寸法、しなやかさ等
・各部ポートタイミング
・各部ポート形状
・シリンダー全体における圧縮比
・シリンダーヘッドにおける燃焼室の具合
ets…

こういった点が「全て」許容範囲もしくは、純正の出来に近しい物になっていない限り、
見た目の排気量だけが大きくても、78tあってもきっちりした60t仕様ににはるかに
劣る上に耐久性、信頼性も皆無に等しい、といった物しか出来上がらないです。

近年はそういった点を考慮してパーツを使う方もめっきり減りましたし、無茶苦茶をやって
結果だけ出たらそれでOK、的な風潮もあるかなと私は感じてますが…
2stエンジンはナメてかかって上手く行くものでは無い上、経年劣化したエンジンに対して
あれこれやっても好結果は出なくて当然、という事は言うまでもありませんね。


本来は、こういった「いじくって楽しみたい」といった方に対しては、ある程度は安心感の
出せるレベルのモノづくりと、各部バランスの取れたパーツの設計、というものが必須で、
それが「商品」として存在するのが一番理想なんですが。
「ユーザーがいくら頑張っても楽しめるレベルですらない」なんてのはお金取るレベルでは
ありませんし、チューニングパーツですから保証があるものではありませんが可能な限り
楽しめる様な物を売るべきだろう、と私はずーっと思ってますよ。

残念ですが、私の長いスクーターいじりの経験でも、そういったパーツを提供出来る
メーカー、ショップというのはごくごく一部である、というのが現実ですのでね。
(…だからこそ私自身がそれを目指した、というのはあります)

安価な大量生産品でそこそこ高性能、そこそこ壊れないなんて夢物語ですし、
安くて良い物なんてこういったメカニズムの世界には存在しない、というのが
世の常なので…

と、長くなってしまいましたが。
結論を一言で言うなればポン付けボアアップなんてゴミばっかりです、という事で。


> ps.夢は100キロオーバーのディオを作ることです!

なるほど、その志は凄くよろしいかと思いますし是非実現に向けて頑張って頂きたいです。
が、その目標値を目指すならば、純正の変速比とファイナル比を鑑みた上で、エンジンの
回転数がいくつまで乗ればその数値に届くか、といった点を試算しておく事をお奨めします。

仮に、78tエンジンならばファイナルギヤがノーマルではフロントリフトしまくって危ない、と
言ったレベルが「普通」でないとおかしいですし、原付二種車のファイナルギヤは純正で
いくつになっているのか、といった点も「必須」の知識となるのでご留意をば。


ではでは、何か不明瞭な点があれば遠慮なくご指摘下さいませ。
では今回はこれにて失礼をば。
管理人でした〜

記事No 8247
タイトル Re^2: ホンダ縦型エンジンについて
投稿日 : 2023/04/20(Thu) 13:21:40
投稿者 縦型人間
参照先
ご返信ありがとうございます。
まず、KNシリンダーについてなのですがこちらの手元に届いてからは大まかなバリ取り、ピストントップ、スカートの磨き、ガスケット切り直し等を行いました。確かにピストンリングなしでのクリアランスはキツかった気がします💦
結果的には下ごしらえが甘かったと思っております。

次にオイル量についてです。
大陸産メーターに着いているガソリンゲージの表記でEmptyに到達すると約3L無くなっていて、完全混合にしているのでその際40ccオイルを投入していましたので計算は間違いないかと思います、、

以下の文章も全て読ませて頂きました。詳しく各部や経年劣化、その他のお話ありがとうございます。
実はもう2機太軸ケースを購入しまして、そのうち1機をケース割、洗浄している最中でして、クランク部分のベアリング、シール打ち替え、ギアカバーのベアリング、シール打ち替え、各マウントブッシュ交換をするべく純正部品を注文しました。素人目ですがコンロッド上下のブレも無さそうなので組みあげようと思います。
ねぎのリーダーさんに組み上げを依頼するとどれぐらいの金額になるのか大体の相場を教えて頂きたいです。
可能であればマニホールドの通路加工をお願いしようと思っています。
シリンダーに関しては後ほど依頼することになるかと思います。
よろしくお願いします。

記事No 8248
タイトル Re^3: ホンダ縦型エンジンについて
投稿日 : 2023/04/20(Thu) 23:22:55
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先
縦型人間さん毎度様でございます。
さてさて今回も一つ一つレスをば。

…重ねて申しますが、申し訳ありませんが私はこういった質問の場合ですとどうしても
ズバズバ物を記しますので、万が一不快に思われたならご容赦下さいませ。


> まず、KNシリンダーについてなのですがこちらの手元に届いてからは大まかなバリ取り、ピストントップ、スカートの磨き、ガスケット切り直し等を行いました。確かにピストンリングなしでのクリアランスはキツかった気がします💦
> 結果的には下ごしらえが甘かったと思っております。

パーツの各部を面取りしたりの前処理は行われたのですね。
こういった点は…本来なら純正パーツならそういった事を行わなくとも十分持つ、といった
設計において作成されていまして、社外品だからこそやらなければならない、という事です。

しかし、社外品という物ははっきり言ってバリ取り程度で焼き付きが防げるレベルの物では
ありませんし、いくら各部のアタリがまともでも、ピストンクリアランスが不適切であれば
それらの努力はまったくもって無意味になってしまうモノなんですね…
(何度も記しますが社外品なんてのはそんなまともなLVに設計なんてされていません)

簡易でも良いので、ピストンクリアランスがきつそう、と感じるならばシリンダーにピストンを
入れてみて、シクネスゲージを差し込んでみるとか「雰囲気」を感じる方法というのも
ありますのでね。
もちろん、ピストンクリアランスだけがまともでも、エンジンとして他がダメならどうにも
ならないものです。

…が、そんな努力など無駄になる製品なんて当たり前、というのが2stスクーターチューンの
世界になりますからねえ〜


> 次にオイル量についてです。
> 大陸産メーターに着いているガソリンゲージの表記でEmptyに到達すると約3L無くなっていて、完全混合にしているのでその際40ccオイルを投入していましたので計算は間違いないかと思います、、

オイル量なんですが、ちょっとこの説明では私には理解しかねます。
3Lガソリンが減ったら、完全混合で40tのオイルを投入しているのでしょうか?
それですとガソリン1Lあたりのオイル量はやはり13t程度になりますが…


> 以下の文章も全て読ませて頂きました。詳しく各部や経年劣化、その他のお話ありがとうございます。

私はどうしても文章が長いのですが、現車を見たり乗ったりした上で物事を判断して
いる訳ではありませんし、文章でのやりとりの場合は言葉足らずで誤解を招く方が
はるかにデメリットが大きいと考えておりますのでご容赦下さい。
が、それでもお読み頂けるとは個人的にはとても嬉しいですよ。


> 実はもう2機太軸ケースを購入しまして、そのうち1機をケース割、洗浄している最中でして、クランク部分のベアリング、シール打ち替え、ギアカバーのベアリング、シール打ち替え、各マウントブッシュ交換をするべく純正部品を注文しました。素人目ですがコンロッド上下のブレも無さそうなので組みあげようと思います。

なるほど、中古の腰下を新しく作成されるのですね。
各部のパーツ交換は当然としまして…注意点としては、前述しましたがホンダ2stスクーターは
「クランクシャフトが材質的に弱い」といった点です。

これはシャフトの曲がりがあって再起不能なのか、もしくはクランクピン部のみが運よく
ズレているだけで叩けば治るのか、といった点がとても大切になりますね。
よく、クランクベアリングが痛んだからベアリングだけ交換、といった修理がありましたが、
クランクベアリングが逝く程のダメージを負ったエンジンだと、まずクランクシャフトも無事では
ありませんから…

見た目では分かりにくいですが、コンロッド大端部のクリアランス等よりももっと先に
「芯の具合」をチェックすべきなのがクランクシャフトになります。
(※社外品でも手に入るなら、腰下OHでは問答無用で新品交換しておく事をお奨めします)


> ねぎのリーダーさんに組み上げを依頼するとどれぐらいの金額になるのか大体の相場を教えて頂きたいです。

これは当方へ分解組立を依頼、という事でしょうか。
ざっとした対価は、当サイトTOPから飛べる「Leaders Craft」のページに記していますが、
工賃としては状態や具合によってかなり変わりますのであくまで参考までにどうぞ。

なお、こういったご依頼の件に関してのお話はオープンな掲示板では行いませんので、
サイトのTOPから直接私にメールを下さいませ。


> 可能であればマニホールドの通路加工をお願いしようと思っています。
> シリンダーに関しては後ほど依頼することになるかと思います。

このあたりは、私で出来る事でしたら可能な限りお手伝い致しますよ。
が、僭越ながら問題の腰上の検分や分析を最初に行われた方が宜しいかなと私は感じます。
せっかく腰下をリフレッシュしても、腰上が無茶苦茶だとまた同じ事が起きる可能性が
大きいので…


ではでは、いつもながら長くなりましたが今回はこれにて失礼をば。
管理人でした〜

記事No 8249
タイトル Re^4: ホンダ縦型エンジンについて
投稿日 : 2023/04/21(Fri) 21:09:39
投稿者 縦型人間
参照先
こちらこそ毎度ありがとうございます。。

まずシリンダーについてなのですが、、第1回破壊大会を行った際の中古シリンダーを戒めとして保管してます。
ボーリング&ホーニング、オーバーサイズピストンにより再起可能かどうか考えてみました。その際にポート加工を勉強してみようかと思っておりましたがなかなか気が進まず、といったところになります。
後述にありました腰上の見直しでの活用が出来そうであれば、オーバーサイズ加工、ポート等をそちらでお願いしたく思っております。大きなダメージを与えたものになるので使えませんと言われる事を前提に考えておりますが(汗)

次にオイル量について、リーダーさんの仰る通り1Lあたり13ccの混合比になっておりました。どんな乗り方にしても極めて薄めていた。という事を理解致しました現在ではマージンを見て1/25の比率にしております。

組み立て、加工依頼の方法についての連絡の方法を確認しました。ご丁寧にありがとうございます。
ケース加工、シリンダー加工についてはまた後ほどそちらでメールさせていただきます。


そして、そしてなのですが、現在進行形で走らせているリズミカルに振動が伝わってくるエンジンなのですが、やはり8000回転からでの不具合が頻発しております(泣)
一瞬失火したようにパワーダウンしたり、ベルトが滑っているようにウォン、ウォンとなったりと、、
駆動系を確認してみたところ油脂類の飛び散りはありませんでしたのでもしかするとクランクからシリンダーヘッドまでがやはり悪いのかなと思います。。
またまた意味のわからない説明と、変な憶測ばかりで申し訳ありません。
何か事例があれば教えて頂きたいです。

記事No 8250
タイトル Re^5: ホンダ縦型エンジンについて
投稿日 : 2023/05/01(Mon) 01:54:38
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先
縦型人間さん毎度様でございます。
いつもながらレス遅れ気味ですが今回もあれこれと…


> まずシリンダーについてなのですが、、第1回破壊大会を行った際の中古シリンダーを戒めとして保管してます。
> ボーリング&ホーニング、オーバーサイズピストンにより再起可能かどうか考えてみました。
> その際にポート加工を勉強してみようかと思っておりましたがなかなか気が進まず、といったところになります。

壊れたパーツは保管されているのですね。
再生を試みる可能性もあるとの事ですが…これは正直、オーバーサイズピストン自体が
手に入るなら、といった大前提が必須であり、かつリング等のパーツが単品でも供給が
可能なのか、といった点も絶対条件になります。

そもそも、今の時代ではボアアップキットを出しているところが0.25とかのオーバーサイズを
用意している事はほぼ皆無ですし、仮にあったとしてもピン上ピン下、トップの形状や
容積等が元の物と合致してないと意味がありませんので。

あくまで、純正形状をほぼ忠実に再現しており、その上でオーバーサイズとなれば
「T.K.R.J」という国内メーカーが色々なサイズは取り揃えています。
(※ただし数がまとまらないと作ってくれない事もあります)

そして台湾系パーツ前提ならピストンキット丸ごとでも安価なので、メンテナンス時には
ピストン周り全てを交換するのもアリですが…この手のパーツの不味い所は、全く同じ
パーツを発注したとしても、平気で他メーカーの違ったピストンになっているとか、です。

正直、「同じ物が来ない」のでは意味がありませんから、そういった点でも現実的な
オーバーサイズボーリング修理という物はかなり難易度は高いですね。
ボーリングを内燃機屋さんに依頼するにしても、ピストン寸法に対するクリアランス値の
指定等、おまかせでは絶対にダメな部位等もあるので…
巷で言われている程に現実的な手法ではないといった点はご留意下さいな。


> 後述にありました腰上の見直しでの活用が出来そうであれば、オーバーサイズ加工、ポート等をそちらでお願いしたく思っております。大きなダメージを与えたものになるので使えませんと言われる事を前提に考えておりますが(汗)

なので、前述の様にオーバーサイズピストン+ボーリング修理という物は現実的には
難易度が高いですし、KN企画製品に真っ当なオーバーサイズがあるのであればまだ
取り組む価値はありますが…外注費のボーリング代や当方への対価を鑑みると
新しいボアアップキットを買い直して修理する方がはるかに安価になるかと思います。
(それに加えて各部分析計測検証、加工修正等となるとかなりの額になります)

ピストン自体の都合が付き、その上で高コストを覚悟の上でやれと言われれば
やりますが…本来オーバーサイズボーリングという手法は、「各部をきちんと詰めて
加工修正等を行った、価値のあるシリンダーが不幸にも破損した場合に、シリンダー側を
再作成せずに再生したい」といった目的の為にある物なので、ストックに近い状態の
シリンダーの場合だと、ボーリングする意味があまり無い、といった点もご注意をば。


> 次にオイル量について、リーダーさんの仰る通り1Lあたり13ccの混合比になっておりました。どんな乗り方にしても極めて薄めていた。という事を理解致しました現在ではマージンを見て1/25の比率にしております。

あらら…こちらは文面から判断したものですがやはりリッターあたり13tはおかしいですね。
このあたりは「1Lに対しての対比」でいくつ、といった手法があるのですから、そこはきちんと
計算して取り組まないといけませんね。

現在リッターあたり40tという事ならば25:1なのでマージンとしては申し分ないですが、
いくらオイルを送り込んでも根本的に冷却が足らないとかだと問題なので…



> 組み立て、加工依頼の方法についての連絡の方法を確認しました。ご丁寧にありがとうございます。
> ケース加工、シリンダー加工についてはまた後ほどそちらでメールさせていただきます。

はい、こういった件は直接のやりとりでお願いしておりますので別途改めてお願い致します。


> そして、そしてなのですが、現在進行形で走らせているリズミカルに振動が伝わってくるエンジンなのですが、やはり8000回転からでの不具合が頻発しております(泣)

現在でも失速的な物は起こっているのですね。
しかし…失火的な感じならばその時点ですでに焼き付きかけている、といった可能性が
かなり高いでしょうし実際には現車を見ないと分かりませんが、そのへんのボアアップ
キットにおいて、まともな状態で走れる事なんてそれ自体が奇跡レベルだ、と私は
考えておりますので、正直なんとも言えないのが正直なところです。

失火の可能性を鑑みるならば、プラグやキャップを新品に、CDIを中古でも良いので
交換してみる、アースを磨く&増やす、バッテリーを交換してみる等色々試せますね。


> 一瞬失火したようにパワーダウンしたり、ベルトが滑っているようにウォン、ウォンとなったりと、、

失火した様に、という事は一瞬でエンジンが止まるのではなく、じわじわ失速しそうな感じに
なるといった解釈としますが…この手は完全にロックするレベルの寸前の焼き付きだと
思いますよ。
現状でピストン側面を見ると、明らかに新しい縦傷といいますかピカピカした強烈な
アタリがあれば間違い無いと思われますしね。


> 駆動系を確認してみたところ油脂類の飛び散りはありませんでしたのでもしかするとクランクからシリンダーヘッドまでがやはり悪いのかなと思います。。

が、ウォンウォンとなる、というのはどうも解せませんが…
異音系トラブルというのは現物を見ても解決は難しいですが、駆動系に異常が無いというのは
あくまで油脂類の飛散が無いだけという事であれば、極端にプーリ中央のメタルが摩耗して
いたり、トルクカム溝が変形していたりしてもおかしな事にはなりがちですね。

こういうのはですね、また言葉が悪いですが「駆動系パーツが全て新品」で試していない限り、
正常が不良かの判断基準をお持ちでない方が判断する事は不可能なんですよ。

駆動系においても、過走行では何が摩耗、劣化するのかというのは車種によっても
異なりますし、WRとベルトだけ交換していれば何万kmもノントラブルで走れるものでも
ありませんので…

そして、それをふまえた上でエンジン側が悪いのでは、とお考えならば、どうしても
そちらをきっちりOHかつメンテナンスしてみる事でしか精神的な不安は取り除けないです。
無駄になるかもしれませんが、状態の分からない旧車を真っ当に動かす、という事は
そういう事なので。


> またまた意味のわからない説明と、変な憶測ばかりで申し訳ありません。
> 何か事例があれば教えて頂きたいです。

いえいえ、こういう物は表現が難しいですし、基本的には質問される方にもそれなりに
知識や経験値がある事が前提で、初めて「文面によるトラブルシュート」が行える物なので
仕方が無いと思いますよ。

ただ、前述の通り、こういったトラブルという物は本来は現車を見るとか、パーツ単体を
分析するとかで無いと解決はほぼ不可能な物ですから、情報的な物は可能な限り
出して頂かないと分析もしづらい、という事で…


では、いつもながら長くなりましたが今回はこれにて失礼をば。
管理人でした〜

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