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記事No 5322
タイトル Re^5: 原付スクーター改造の限界って?
投稿日 : 2008/12/12(Fri) 00:27:05
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先 http://wwwi.netwave.or.jp/~leader/
あらきまさん初めまして〜
管理人ねぎのリーダーでございます。
当HPも参考にして頂けている様で嬉しいですよ〜


と、皆さん怒涛のレスで大歓迎の様ですが、なかなか珍しいですね
こういうのも(汗

私も早速内容拝見しましたが…ツボは「耐久性と性能の限界値のバランス」と
言う事ですね。

これは…皆さん色々な意見を下さってますが、私としてはやはり
ストリートでもレーシングでも、「考えて詰める部分&気を遣う部分」と
いうのは、全く変わらないと言う事になるでしょうか。

なので、いくらチューン具合が凄かろうが、その気を遣う点と
いうモノを履き違えていては、どんな人間がいじくろうがあっさりと
ぶっ壊れますので、ね。


まず、今回のエンジン破損の原因となる点を上げてみましょう。
と、内容はかなりの箇所を変更している様で素敵だと思いますよ。
ロングクランクまで投入とはなかなか出来ないですからね。

ではでは、私がこのチューン内容で、大きく破損の原因になったと
思われる点は2つあります。
それを解説していってみますね。


>ピストンピンのニードルベアリングが砕け、その破片がシリンダー内で暴れエンジンストップしました。

まずこれは、ニードルベアリング自体はabiさんのおっしゃる通り、
ホンダは50ccベースでもピン径は12φあり、結構強い部類なんです。
ニードルベアリングも、改造するならばNSR50用の物を使うのが
定番ではありますが、ノーマルでもそうそう壊れはしないんですよね。

ですが…今回ベアリング破損と言う事で、一番怪しいのはその最高回転数の
高さもありますし、ロンクラ+ボアアップだとコンロッドには洒落に
ならない負担が掛かっているんです。

特に台湾コンロッドの場合、強度の出る「H断面」ではありませんし、
小端ではなく大端部にオイルラインを切ってあるといった対策も
されていたりしますが、おそらくコンロッド〜先端に対しての
耐久性に関してはノーマルより劣る事は間違いありません。


しかし、これだけではベアリングが飛ぶという原因にはなりませんが、
これ、このベアリングに負担をかけている犯人は「ピストン」だと
思いますよ。

まず、ニードルベアリングってノーマルピストンに合わせた「幅」で
設計されていますよね?
対して…71ccですとピストンは48φだと思いますが、このピストンを
裏返して見て下さい。

「ニードルベアリングが左右にずれまくる」といったピストン形状に
なってはいませんかね(笑

これ、たまーにちゃんとしてるピストンもあり、ニードルベアリングと
ピストンピンの入る部分のクリアランスが1o程度まで詰められていて、
高回転時にもベアリングの横ズレが押さえられる物もあるのですが、
たいていのピストンはそうなっていません。

この点は、事前に対策を行っておかないと、ノーマル比で8φも大きい
ピストンであれば、憶測ですがニードルベアリングは左右に4oずつ
ずれるクリアランスが開いてしまっている、と言う事も考えられますよ?

正直、ノーマルマフラー程度でMAX10000rpmも回らないのであれば
無対策でも「普通は」そんなとこ壊れませんが、さすがにそこまで
回される事があり、なおかつ排気量的にはかなりのパワーが出ていると
思われるので、無対策ピストン&ベアリングではある意味「壊れて当然」だと思います。


これ、私が過度なボアアップを薦めないひとつの要因でもあるんです。
ピストン径にして3、4o程度の増大であれば裏側の構成もそれなりに
ニードルベアリングにガタの出ない様な、もしくは出てもなんとかなる
クリアランスで組み込めますが、あまりに大きいピストンですと
ニードルベアリングなんて横ブレしまくりなんですよ。
「常用回転」が低く、大して無理もしなければそこまで一気に破損は
しないでしょうが、あらきまさん程の構成であるのであれば壊れても
当たり前のLVだと分析しますよ。


昔はこのクリアランスを埋めるためのパーツが付属していたピストン等も
あったのですが、最近はとんと見ませんし。
と言いますか、メーカーさんはそんなトコまで気を遣って無いと
断言しても良い位ですけど、ね…


とまあ、これが一つ目の理由になります。
小端ニードルベアリング破損、ってのは、でかいボアで無対策だと
当たり前に起こりえる可能性のある症状なんですよ。



2つ目は、これは熱問題ですね。
腰下破損に近い症状なので、と言うのが大きいですが、水冷ヘッドを
装着されている様ですが、これはファンは殺してしまっていますかね?

もしもファンを取っ払いシュラウドも無いのであれば、シリンダーの
冷却が絶対間に合っていませんね。
ライブはエンジンが横置きで、でかい水冷ヘッドを取り付けた場合は
シリンダーフィンが自然空冷になっていても、フィンに風が効率よく
当たって行かないんです。

なので、ヘッド同様に熱くなる「排気ポート&ピストン回り」が
強烈な熱に晒されている事になりますね。

ちなみに、昔の改造スクーターが「水冷ヘッドのみ」で冷却を
カバー出来ていたのは、基本的に湾岸仕様の様なホネホネマシンで、
なおかつシリンダーが縦置きで、走行風が強烈に当たっていたからなんです。

現在の横置きエンジン+カウルありの様な仕様では、そこそこのパワーで
あれば持ちますが、そこまで行くと明らかに冷却が足らないですよ。

そして、水冷ヘッドとはいえラジエターがTZR50R用では小さすぎます。
最低限、2st125かモトクロッサー80系の物が必要ですからね。
ヘッドのみ水冷の場合、水温はラジエター直前で60°がリミットです。
冷却は「ヘッドのみ」ですから、ヘッドがそれ以上に高温になると
他のところなんてもう爆熱だ、って事ですね…


後もう一つ、オイルポンプ増量加工と言う事ですが、ここまでやるのであれば
割り切って混合給油でないとつらいですよ。

いくらオイルポンプを増量しても、エンジン内部には液体のオイルが
だらだら流されるだけで、実際に「噴霧化」してはいかないのです。
元々ガスとオイルが混じっている混合ガスであれば、その噴霧化の
効率は分離給油とは比較にならないですからね。

もちろん、熱にも弱い分離給油ですから、そのまま長い事乗っていると
「シリンダーやリングの磨耗」もどんどん早くなって行きます。
手間とオイルをけちると大事なところの減りが早くなるのですよ。


とまあ、ざっと見たところでは以上の点が、「運用において無理を
かけている点」になります。

ご質問の本題である、「チューニングの限界点」と言う事ですと、
これは正直、常用8000rpmでMAX11000rpmであれば、十分に街乗りで
維持していける性能だと私は思いますよ。
(もちろん頻繁なチェック、ピストンヘッドの焼け具合等の確認等も
必須とした上で、ですが)

今回壊れたのはやむなしなんですが、ニードルベアリングなんてこの「横ズレ」を
考慮してチューンをする人って少数ですし、正直「知らないと分からない」
事なので、言葉が悪いですが、売られている物を取り付けて組み合わせた
だけでは、そういう「元々の不備&悪い点」を見極めるのは難しいんです。

「世の中に溢れているパーツ」と言うのは、謳い文句はともかくそんな
必要最低限の点まで考えている事などまず無い、というのも覚えておかれると
宜しいかと思いますよ。


後はですね…山田さんのおっしゃる通り、圧縮比やポートタイミングを
きっちりしてない場合、別にポートタイミングは悪くとも走らないだけで
済みますが、圧縮比が異常に高かったりするとこれも良く無いですし、
「デイトナのピストン」と「水冷ヘッド燃焼室」の形状が異なっていると
これも死ぬほど悪い点になります。

正直、同一メーカーのヘッド&ピストンでも相互の形状を考えて
作っている物など全く無いのに、違う物同士の組みあわせである程度
無事に使おうとすれば、排気量やチューン内容に見合わないLVまで
性能を落として常用しないとまず持たないんですよ。


これ、いい機会ですから最近の傾向をぶっちゃけておきますが…
近年は「改造」といえばSS1/32mileが主流で、あの競技を元ネタとし
それに使えそうなパーツ郡等が多いですよね。

ですが、これは1種エンジンに対して45oのロンクラ等や50φ等の
バケモンボア等しかり、「50mを走りきる為」のモノだと言う事が
大きいんです。
あの競技だと耐久性なんて要りませんからね?冷却すら要らないのですから…

こういった風潮の中で生み出された&輸入されているパーツと言うのは
私の様に昔のほどほどチューンで耐久性もそこそこ持った、という
パーツ市場を知っている物としては、無茶苦茶以外の何者でも無いんです。

もっとぶっちゃけますと、それらを売っているメーカーさんというのは、
その自社製品を使い、ある程度の性能でちゃんと維持出来ると言う
エンジンなんて作っている訳無いですから。
と言いますか、作れる訳ないんですよ(笑

SSとストリートでは訳が違います。
そして、サーキット周回マシンでも、ストリートの負荷には全く
かなわない位優しいですからね?

ストリート街乗りというのは、その位負荷がでかく難しいと言う事も
踏まえておかれると良いですよ。



とまあ、長くなりましたが。
私的には、その仕様であればきちんと圧縮比や各部を考えて作り、
なおかつもっと冷却等に気を遣い、といいますか最低限度の仕様に
作り変え、その上で現在の様な使い方であれば十分持つと思いますよ。

とはいっても、ノーマルみたいに何千kmも乗りっぱなしというのは
絶対無理で、500kmに一回はヘッドはぐって中身を確認、程度は
必須になるかと思いますけれど、ね。

ですが、まずは色々なパーツを使いまくり、これだけでは駄目なんだ!と
言う事を一度は思い知らないと、本当に楽しめるLVにまでは達さないと
いう、ある意味「洗礼」みたいなのもあるんですけどね(笑
私も若かりし頃にそういうのを何度も経験したからこそ、自分で物を
考える様になったんですよ。


ではでは。
言葉きつくて申し訳ありませんが、本当の「限界」というのは「ポン付け」の
限界とは大きく異なると言う事で。
管理人でした〜

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