はまってます! さんお久しぶりでございます〜
さてさて、詳細なレポートどうもありがとうございます。 色々と頑張って考えられた様で、これなら私ももう少し突っ込んだアドバイスが 出来ますからひとつひとつ進めてみましょう。
…言葉が悪いのですが、ある程度は自身で分析出来て物事を把握されている 方でないと、正直な話、いくら私が+αをご説明しても理解する事はまず出来ませんから 最初には試す様な物言いをしてしまい申し訳ありませんでした。
> > ドライブ&ドリブンのベルトかかり径をマジック線で測られたのですね? > > はい。エンジンを一度かけベルトを張った状態で線を引き測りました。
これは問題ありませんね。 ですが、出来れば熱いですが温感時にやるのがベストです。(理由は後述)
> > これ、私からも伺いたいですが、個体差もありますがだいたいで > > 結構なので、ご自身のライブDioZXのドライブ&ドリブンでの > > ベルトかかり径はいくつになりましたか。そしてそれによって > > 算出した「変速比」はいくつでしょうか? > > > 基準とした変速比はマニュアルに記載されてる最大減速比2.85 > > かかり径はドライブ43.2ミリ、ドリブン107.6ミリです。 > マジックで引いた円の直径をノギスで測りました。
なるほど、これは正確であるに越した事は無いのですが、計測だといくらかの 誤差は出ますんで、最終的に「近似値」になれば良いと言うのが大前提ですから あまり細かすぎても駄目な点なんですよ。
が、ここはドライブ43.2φ&ドリブン107.6φといった結果を計測基準として お話を進めます。 (ちょっとベルト幅が減ってそうな気はしますが)
で、まずはここで一つ、前回のヒントの答えをばらしてしまいましょう。 これは発想の転換なのですが、かなり難しい「手法」だと思えてしまいましたので(汗 ここまで頑張られたのであれば、ここだけの話としてお教えします。
まず、「サービスマニュアルの数値」を参照にされたというのは良いのですが、 この数値、実際に「駆動系を組んだ状態」の数値なのか、「実走行での数値」なのかは 確定出来ないんですよ。
私はあくまで、サービスマニュアルの変速比(最大減速比)の数値は実際に発進負荷が かかった瞬間の物だと捉えていますので、「実計測」とは誤差が出て当たり前、というのが ありますね。
では、ここでの負荷の無い状態での「静的」な最大減速比を調べる手法をひとつ。 これは実は手法としては簡単な事で、
「ドライブフェイスを手で回し、何回転させればドリブンユニットが1回転するか」
って事です。 ドライブ&ドリブンパーツに基準点をマーキングしておき、くるくる回せば良いんです。 ちなみにファイナルギヤもこの手法で簡単に減速比を判断出来たりしますね。 これが実測での静的な減速比となります。
そしてこれだと、サービスマニュアルの数値とは若干異なりますがある程度の 「実測値」として基準が取れるので、サービスマニュアルの数値も踏まえつつ、 この数値を考えて行きましょう。
> そのまま最大減速比を計算すると、107.6÷43.2=2.4907・・・とハイギヤードな数値になったので、
そうですね、これはドライブ/ドリブンの「ベルト最外周がお皿の面に当たっている場合」の ベルトかかり径であり、もしもベルトの「最外周」が一番お皿面に対してグリップしているので あれば、実際にドライブ側を回し減速比を確認した状態だと、2.49回転でなければおかしいと 思いませんか? これが私の言う、「実測と計測のズレ」なんですよ。
>基準の2.85に近ずけるためドライブ側のかかり径を小さくする方向、ドリブン側を大きくする方向で計算しました。 > > この時点でドリブン側をマジックで引いた線より径を大きくする方向で2.85に近ずけようとしているので間違ってますよね笑
ええ、これは間違った方向性ではありますが、私が言いたかったのは正にこういった 手法の事で、無理矢理のつじつま合わせとも取れますが、先程の「実測」がある限り、 ベルトかかり径から算出した減速比とズレているのでは立証になりませんから…
もちろん、ご自身でも認識されている様に、ドリブン側「ベルトの最外周」の位置が、 何もしていないのに「外側に出る」事はありません(笑 ベルトが「無い」所がグリップしてる訳はありませんからね。
> そして、ドライブ、ドリブンとも4.05ミリマジックの線から移動させたとこが2.85に近い数値になりました。 > > 111.65÷39.15=2.851851851
サービスマニュアル値が「静的」な減速比の表記だとするのであれば、実際の ベルトかかり径はドライブ/ドリブン共に4.05oずつ変化していった点が、正規の ベルトが居るべき点になると言う事で、まずはこうやって補正を入れて行かなければ いけません。
が、これだと、「静的な減速比」を出す為の計算をするにしても、このベルトかかり径の 計測数値そのまんまのドリブン÷ドライブでは駄目、と言う事がお分かりかと。
ならば、どうやれば良いんだ…となれば、減速比2.85になる為にはそのかかり径数値では いくら補正を入れても現実的な数値では不可能です、と断言します。
まず、コンテンツにも書いてありますが、ベルトと言う物は
「側面の一番外側、最外周部分が一番グリップしているのではない」
イコール、
「最外周部分ではなく、いくらか"ベルト内側にズレた所のかかり径"を元に計算する」
のですよ。
これは明確な数値は控えさせて頂きますが、仮に今回の実測のベルトかかり径、 「ドライブ43.2φ&ドリブン107.6φ」を「2.850」にしたいのであれば、仮に8o程度 かかり径を小さくし、「ベルトの上面から4oの所」が実際のグリップポイントだ、と 仮定すれば…
(107.6-8)÷(43.2-8)=2.829
こうなります。
これは、ベルト自体が「最外周より外側の半径では絶対にかかれない」と 言う事なんですが、ベルトの側面ではない所がグリップしているというのは 物理的にありえませんからね。 ベルトかかり径を無理矢理8φ小さくしましたが、これは現実的ではありません。
もちろん、この方向性でも試算をされたと思いますが、ここで先程の「実回転数」とも 言うべき、ドライブを手で回した時の数値が大事になって来るのですが。
はまってます!さんのベルトかかり径の実計測値から逆算するに、手で回した 数値の場合だとおおむね「2.550〜2.650程度」ではないかと思います。
なので、静的な減速比と言う物はサービスマニュアルの数値ではなく、こうやって 「エンジンを掛けずに手で回した数値」を基準とすべきなんですよ。
そうすれば…ベルトかかり径から算出した減速比を、この位の数値につじつまを 合わせようとすれば
(107.6-○)÷(43.2-○)≒2.550〜2.650
この○にあてはまる数値Xを吟味すれば良いんですよ。
もちろん2.550〜2.650というのは私が逆算した物ですんで、パーツのわずかな 個体差もあるので絶対的としてはいけませんが、近似値を求める程度の 基準値にはなりえますんで。
ボス長の誤差やベルト幅&長さの誤差もあるので一概には言えませんが、私の データではライブDio-ZXフルノーマルの場合、ここの基準値は「2.650」程度と しています。 手で回してもその位になる、って事ですね。
と、これで、「実際に手で回した"静的"な減速比」と、「ベルトかかり径から算出した 実測&計算による減速比」のつじつまが合ったと思います。
ですが…別にこれでもサービスマニュアルの値2.850とズレてるといえばズレてるので、 私はここからもう1ランクの補正を入れるんですよ。
実際に手で回した結果でも、サービスマニュアル値と合わないのであれば、 実際の負荷を掛けたら2.850になっているのだろう、といった事を、ひとつの説として 持っています。
これを立証するにはですね、先程と同じといえば同じなのですが… 2.650程度の減速比をさらに高める方向への補正となれば、もっとベルトかかり径を ドライブ側は小さく、ドリブン側は大きくしないといけません。
となれば…冒頭で計算された様な数値の変化が「実働時に」起これば良いんです。
そう、これは簡単な話で、
「実際の駆動力が掛かっている時には、ベルト幅がいくらか潰れている」と。
これを加味すれば良いと現時点では考えています。 トルクカムが効いてベルトが引かれると、幅が細くなりドライブ側ベルトは引き込まれ ドリブン側ベルトが押し出されるのは基本中の基本ですので。 無負荷状態とは訳が違うと言う事です。
で、また同じパターンですが、実際にベルトがいくら潰れ、ベルトかかり径が いくら変化すれば静的に2.650で負荷時の動的に2.850になるかといえば
(107.6-○+●)÷(43.2-○-●)≒2.850
こういう事なんですよ。 ○は静的減速比、●は動的減速比の状態の加味値になりますね。
となれば…これはもうバラしてしまいますが、この場合は「●≒2」なんです。 すなわち、動的に負荷が掛かった時点でベルトかかり径で約2φ変わっていて、 ドライブはさらに小さく、ドリブンはさらに大きくなっていると言う事です。
(※だからこそ、ベルト裏とボスの余裕は必要ですしトルクカム溝のマイナス側への ストローク余裕も絶対に必須なのです)
そして、ベルトかかり径で2φ違うと言う事は、ベルト幅は0.5o程度潰れていると 言う事にもなりますが、フルノーマルだと私はこんなもんであろう、と 分析していますのでこれも根拠の一環ですね。
※もちろん、大きくパワーが上がったりすれば0.5o以上幅が潰れる場合もありますから、 あくまでライブDio-ZXというノーマル車の場合になります。 とはいえ、どんな車種でもこの位を基準とすれば大幅に結果が異なる事は ありません。
と、こんな感じですが、まとめますと
「ベルト側面がグリップしており、実際のかかり径となる点は"計測値-○φ"である」
「ドライブ側を手で回して実測した減速比と上記補正値の解は≒である」
「動的な減速比、サービスマニュアル近似値とするには●φのベルト幅潰れ補正が必要」
となります。
ベルトかかり径をきっちり計測した上で、なおかつベルトの「グリップ点」を分析し なおかつサービスマニュアル値に近づける動的な減速比を求めたいならば さらにベルト幅潰れの補正が必要になる、という… 正直、一筋縄ではいかないにも程があるのでお気をつけ下さい。
> そしてユニットスライド量が1ミリ変化するとベルトかかり径は4ミリ変化するとのことなので表を書き最小減速比0.860になるか確認したところ... > > 67.65÷83.15=0.813589897となりました。
そしてこちらも同義で、上記のベルトかかり径のマイナス補正と、ベルト幅の 潰れを加味した計算だと、プーリーストローク10oだとしても0.850程度には なりえますよ。
となれば、最小変速時も最大変速時も、どちらの減速比としても実際の 「ベルトかかり径を元にした算出方法」で近似値となるという事の立証が 行えますね。 「最小変速状態の最大減速比」さえ間違えていなければ、最大変速状態での 減速比を計算する事は可能です。
ですが、百分単位までをかっちり合致させる事は不可能に近いので、 「近似値」としてモノを把握し、小数点以下第二位程度までの 数値、として減速比を捉えています。 さすがにコンマ01程度ズレてても、実際に活用すると誤差の範囲にしか なりませんから、あまりこだわりすぎても駄目と言う事ですね。
あ、ちなみに、ベルトかかり径というモノはエンジンというか駆動系が温間であるか 冷間であるかでも多少関わってきますし、出来る限り温間で計測した方が信頼性が あると思えますね。
ベルト潰れにしても、静的な状態では0.5oも潰れていないと思いますし、 だからといって0ではないはずです。
なので、私も今まで色々な補正値を入れ計算をムリクソ合わせる方向性で 考えてきましたが、現在ではこんな感じの手法が一番確実性があると言う事で 参考までにどうぞ。
そしてつまらない補足ですが… サービスマニュアル値、これは私の経験上、数値的には動的な物だと 分析したのですが、実際にはサービスマニュアル数値が全くもって 見当外れの数値を表記している場合もある事を蛇足で付け足しておきます。
駆動系の構成は同一で、ベルト長のみが違うスーパーDio-ZX、この車種は サービスマニュアル値での最大減速比はなんと「3.000」なんですよ(汗 これだとライブよりさらにローギヤ傾向ですが、これはおかしいんです。
ベルト自体は下手をすれば10o近く短く、ボス自体も純正誤差でライブよりは コンマ2〜3o短い物ばかりなのに、それで何故にライブよりローギヤ傾向なのかが 全く理解出来ない件でもあります…
クランクシャフトの位置関係やドリブンユニットのズレ等は、ライブもスーパーも ほぼ変わらないので、余計に疑問点となるべき点がありません。 個人的計測では、ライブが2.850だとすればスーパーはどう多めに見積もっても 2.650〜2.700程度にしかなりえないんですよ。
そして、実際にライブDio-ZXにスーパーDio-ZXの駆動系パーツを全て組んでも、 またその逆をやっても、ライブ構成の方が最大減速比は絶対にローギヤードでした。
…なのでコレだけは、ホンダの表記が間違っているか、私には全くもって 到達出来ない見落としがあるのだろう、と考えています_| ̄|○ JOGとかでもそこまでおかしな数値は無いのですが、スーパーDioZXだけは 異質の「サービスマニュアル表記」になっているって事で。 あ、同一構成のGダッシュもそうでしたが(汗
この矛盾を打破出来る方がおられましたら是非ご意見お聞かせ下さいませ_| ̄|○
そして最後に。
今回ははまってます!さんが当HPのコンテンツをお読み頂き、色々とご自身で 試行錯誤されたからこそ、私からの追加のアドバイスが可能となりました。
これはつまり、同様のコンテンツ内容に疑問がある方がおられた場合、 この質問掲示板を見れば答えに近い物を得る事が出来るという事ですよね。
もちろん、そんな奇特な方はなかなかおられないと思いますが、はまってます!さんの 質問と分析のおかげで、さらなる説明が追加出来たと言う事はとても有意義な 事だと思いますよ。 これこそが質問掲示板の一番有効な使い方だ、と久々に思ってしまいましたしね(笑
もちろん、メール等で直接の疑問等を頂ける方にはHPには書いていない様な 返答をお返しする事も多々ありますが、それは「公開される物」ではありませんから…
ではでは。 無茶苦茶長くなってしまいましたが、これはほぼ答なので、もう一度改めて 実測と実験を行ってみて下さいませ。 管理人でした〜
P・S 今回の件、非常に有意義でしたのでピックアップして今後のコンテンツに 引用させて頂きますね。
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