続きです。
次に駆動系ですが…これまたちょっと厳しいですが私としては見過ごせない件なので しばしお付き合い下さいませ。
> 〔駆動系〕 > ZXの純正駆動系すべてをAssyで変装トランスミッションも含みます
こちら、ZXの駆動系をギヤも含めて全て組まれているとありますが、エンジンの腰下は ライブDio-Sのままなのですよね?
これ、手元にパーツリストが無いのですがライブDio-J型と同等なはずですので それを前提としてお話を進めます。
まず、これはご存知であろうかと思いますが、「ZXではない」ライブDio系統とZXグレードでは 全くもって別物の車種である、と考えて下さいませ。
クランクケース「のみ」は共通ですが、クランクシャフトは大きく異なる上にJ型やS型、 はたまた規制後のアルミドリブン車だと、全く異なる構成になっています。
「クランクシャフトの座面部分」が大きく寸法が異なるので、仮にZXのドライブパーツを 組み込んでも、車体外側方向へ大きくズレて組まれてしまいます。 この時点でZX駆動系の流用と言うものは不可能に近いんですよ。
そして、これは規制後アルミドリブン車と中期型以降の比ZX車のみになりますが、 ギヤのドライブシャフト、すなわちドリブンAssyの刺さる軸部分、これもZXとは大きく異なり ZXのドリブンユニットを入れたからといって、全く同じ位置にははまっていません。
この車種にギヤを流用する場合、ギヤのシャフト部分は規制前中期等に採用されている 「非ZX」のグレード車に採用されている13-41丁の物の13丁部分でしか、真っ当なハイギヤ的 流用は出来ません。
が、それを入れたからといっても、あくまでドリブン側が「ノーマル準拠」の位置関係に なるだけで、ZXのドリブンユニットがきちんとくっつく訳ではありませんので。
と、簡単に考えてもこの形式の車両には、まともにZX駆動系を流用しようとなると ZXのクランクシャフト換装に加えてZXのドライブギヤシャフトまで必須になるんですよ。
前述しましたが、「はまるから」といってそれがきちんと100%出来ているか、といえば絶対に ありえない事なんです。 細かい事かと思われるかもしれませんが、駄目なものは駄目なんです。
…正直、そこまでこだわらなくとも走るから良いじゃねえか!とも思われるかもしれませんが、 弊害が全く無い訳では無い上に、はっきり言いますとそんな状態でいくら駆動系の構成を 追加でいじくっても、正常な動きには繋がらないんですよ。
やるだけ無駄だ、と言ってしまってはあまりに酷いですが、ホンダのDio系という車両は とんでもない所でシビアな変更が色々と行われており、全てを把握しないと有効な流用は 出来ない、と断言しても良いです。
一部のパーツの流用であれば手はありますが、それでも整合性を少しでも無視してしまうと ただでさえ構成的に欠陥のある物が余計におかしくなるだけだ、とお考え下さい。
これはDio系を触ろうと思うと避けては通れないので、ホンダ駆動系が他社に比べて 非常に難しいと言われている要因でもありますが。
これも前述の様に、「非ZXにZX駆動系は流用出来る」って解説している方もたくさんWEB上には おられますが、それは「はまっているだけだ」と言う事で私としてはその全てを否定させて 頂きます。
…別に気にしなくても良いと言えば良いのですが、今後ドツボにハマっても良いのであれば、 という前提が付きますからね(汗
駆動系の構成がおかしいのに他をいじくっても意味は無く、そのZX流用が正常に出来ていると 「思い込んで」いると、何かあった時には一生トラブルから抜け出せなくなってしまいますので。
汚い言い方かもしれませんが、この辺りは無段変速車特有の問題であり、なおかつ 極度に難しいホンダ系駆動系であれば、他の経験やノウハウなどほとんど通用しないと 言っても過言ではありません。
スクーターの駆動系と言うだけでも特殊すぎるモノなので、仮に車いじりの経験がいくらあっても 「駆動系いじり」には全く役には立たない、という事を覚えておかれると宜しいかと思います。
これは決して嫌味ではありませんが、その位特殊な上に構造的にも難しい物である、と言う事ですね。 原付車だから、とかいって心のどこかで舐めていると痛い目を見るのが明白なものなんですよ。
> 中古品をO/Hして使用しています > プーリー加工&トルクカムの多少の加工 > クラッチシュー軽量加工 > ウェイトローラーは7.5グラム×6使用しています > > キャブは規制前の物を使用でM/80 S/J35 > インマニ段付修正&ノーマルリードバルブ拡大研磨 > 純正エアークリボックス加工 > 純正チャンバー(触媒付を使用)しています > 前回の排気ポート24.5oの時はノーマルメーター読みで60km表示の下のビスの部分ぐらいでしたが > 排気ポートを23.5oに変更したところノーマルメーターは平地でへばり付き まだ加速していきます > タコメーターが無いので実速の計算は出来ません(悲 > ストレスなしで加速も伸びもかなり良くなりました
そして他の点は特に問題がある様には見えませんね。 無難で宜しいかと思いますよ。
> タコメーターが無いので実速の計算は出来ません(悲
これはですね、他にお金を掛ける前に正確なデジタルタコメーターを 装着する事を一番にお奨めします。
はっきり言いますと、駆動系のWRのみを交換してどうこうのLVであれば タコは必須でもないですが、構成をいじくったりするのであれば間違いなく 必要になりますよ。
最初にタコが無いと後になって苦労するのは目に見えてますし、どんな熟練者でも タコ無しで変速回転数の変移等を体感しろ、ってのはまず100%無理ですからね。
今後も楽しまれたいのであれば、デジタルタコメーターは絶対にケチっては いけない物の一つです。
…排気ポートのタイミング変更にしても、MAX回転数でどの程度変化したかがきっちり 判明した方が嬉しいでしょう?(笑
> 後 純正チャンバーで 夜全開走行テスト(長くても1分位)している時気が付いたのですが > チャンバーの最後尾付近が真っ赤になって焼けています > ターボの排気ハウジングみたいですタバコに火が付きます(笑
これはですね、触媒付きのノーマルチャンバーですとどうしてもその症状は 起こりえます。と言いますかそうならないと排気ガスが汚いまんまなので 排ガス規制を通りませんから(笑
> エキパイ部とその途中は焼けてません > また触媒付の排気口はチャンバーの全長 > センター付近から後方に出ていますので焼けてません > (念の為エンジンを開いて見た所 ヘッド及びピストントップは > デトネーションはありませんでした > ピストン側面やシリンダーも傷や抱き付き痕は有りません)
さすがにエンジン内部にまで熱が伝わる状態だとかなりまずいですね。 ただ、デトネーションと言う事であればよほど圧縮比が高いとかでなければ 起こらないので、現状だとまず大丈夫でしょう。 (※現在の正確な圧縮比がどうなっているかにもよりけりですが)
> その様なこともあり 台湾製の純正タイプに付け替えてみましたが中間加速やトルク及び最高速も出ません > メータ読みで50キロ出るか でないか位です > キャブ&W/Rセッティングしても駄目です > 純正チャンバー(触媒付の方が断然性能が良いのは何故なのでしょう
えっとですね、これは台湾純正タイプが「その程度」の性能だからです。 あの手の物はあくまで、純正っぽく「見える」物だ、といった認識でお願いしますね。
…純正の5分の1の程度の値段で純正と同等のクオリティなんて不可能ですし、 規制が入っていて効率ダウンになっているノーマルチャンバー「よりも」 性能が低下している時点でもう答えは出ていますよ。
-gonさんのおっしゃっている事も間違いではありませんが、そこまでしないと まともに使えない物であれば、ノーマルもしくはそれに順ずるエンジンに取り付けると いった物であってはなりませんよ。 競技用でもあるまいし、ポン付けではある程度の特性すら把握出来ず、なおかつ 多少セットを変更しても明確なパワーバンドの存在が無い、となればその時点でかなり ゴミの可能性が高いです。
こういった物はいくらセッティングを行っても意味は無く、ノーマル互換を謳うのなら ポン付けでそこそこパワーバンドがはっきりしてノーマルと同等になり、回転数も ノーマル同等程度にまで上がると言うのが最低条件ですからね。 そうでないのならその時点でダメ、って事です。 そもそもノーマル互換のくせにセッティングを強要される時点で話になりません。
これもはっきり言っておきますが、その手の安物をつっこむのであればいくら高くとも 規制前の純正ノーマル新品を買って来た方が100倍建設的ですよ。 むしろ、そうでないとさっきの駆動系ではありませんが万一ドツボにはまっても 抜け出せなくなりますからね。
安物買いの銭失いを体現する様な商品は今の世の中にはいくらでもありますが、 その手合いの品はまず後悔します、と言う事はある程度の経験者であればそれなりに 分かっている、というのがこの業界の基本です(汗
もっと汚く言いますと、初心者の方がわけもわからず投入すると一生そのパーツのせいで 足を引っ張られるという事が当たり前にあるんですよね。
> このまま純正チャンバーを使用していると壊れてしまうでしょうか?
多少のエンジン内部加工程度ではまず壊れたりはしませんよ。 規制後の場合は色々と制限がありますが、腰上パーツも規制前の物にされて おられる様ですし、キャブセットもある程度行われているのであればOKかなと。
が、個人的にはやはり規制前のノーマルをお奨めしたい所ですね。 これ、規制前ライブDio系のノーマルマフラーって中身は実はZXも非ZXでも同等な上に、 チャンバーとしての性能とはかなり余裕がありますので、そこそこの排気量にも 十分対応出来る位の良品なんですね。
さすがに、パワーバンドを高回転側に移行していくエンジンチューンを行った場合は 限度と言うものがありますし限界はそれなりですが、チャンバーとして考えると あれはかなり良いモノで、原付一種の純正品の類ではトップクラスの物であると私は 分析していますよ。
と言いますか、ライブDio系だとあの性能の根源はノーマルチャンバーにこそ大きくある、と 考えていますんで。
これもはっきり言いますが、ライブDio系の場合は下手な社外チャンバーを入れる位ならば ちゃんとしたノーマルを使い、エンジンを高回転型向き&効率UPチューンや排気量UPを 行う方がはるかにパワーが出しやすいです。 逆に言いますとノーマル以外のチャンバーを選ぶのが物凄く難しい車種でもあります(汗
> ポート変更後 変わった事は スタンドを立て無負荷状態でスロットルを1cm位開くと > ほぼ最高回転近くまで回っているような感じで吹き上がってしまいます > その後ハーフスロットルから全開にして行くと徐々に回転数は上がって行きます > キャブセッティングが悪いのでしょうか
次にコレですが、いたって正常だと取れるのですが。 これは、エンジン内部といいますか排気ポートのタイミングUPではなく、上面を 直線的に落とした事により排気効率が上がり、なおかつ「掃気(新気)を引っ張る効率」が 向上したのでそうなっているんですよ。
2stエンジンという物は、エンジン内部の「吸入負圧」が高まらないと、いくらキャブや ジェットが大きかろうが、多量の混合気として「吸えない」んですね。
ターボみたく吸気側から過給出来るワケではありませんから、いかに掃気ポートから 混合気を効率良くシリンダー内に引き込むか、と言う点が大事になるんです。
もちろん、掃気ポートが開く前には燃焼済みガスを排気ポートから排出させますが、 これの効率を上げてやらねばなりませんし、同時にチャンバーで掃気ポート内部から 混合気をシリンダー内に引っ張ってやると言う仕事も大変重要になります。
掃気、というか新気というか混合気ってのは、負圧で引き込んでなんぼだというのが 2stであるという事ですね。
なので、キャブの開度が小さくとも、エンジンの吸入負圧が増大していれば、限度は ありますが同一のジェット穴、エアクリ穴からでも多量のガスとエアを取り込めるので、 それだけ分はパワーは上げられ、キャブ開度は同一でも「パワーが出る」んですね。
ここで例えを一つ挙げますが、原付ニ種といった一種の排気量UP車でも、キャブ口径や マニホールド辺りは一種と変わらない物が多いです。
一見、キャブ口径が同じであれば同じだけの混合気量しか吸わないと思われるかも しれませんが、それだと仮に排気量が100ccあっても50cc分しか混合気を吸えないのでは 50cc分のパワーしか出ません(笑 こういう風に考えると分かりやすいかと思いますよ。
> まだ試していないのですがM/Jを#85に変更してみようと思います > 高回転側でガスが足らないような感じです > 現在M/J80でプラグはきつね色に焼けています
高回転でガスが足らないと思われるのであれば、そういった風にちびちびとMJを 上げるのではなく、100番等の極端なものを突っ込んでそれでまともに走るのかどうかを 確認するのがまず最初にすべき事です。
それであからさまにカブってしまい、SJやニードルをどうセットしてもダメであると いった確証を得てから、「徐々にジェットを下げる」のが正しいですね。
後、これもくだらない補足かもしれませんが、プラグの焼けを見る場合には 全開走行で高回転を維持したままメインキーをOFFにしプラグチョップを行わないと 正確な判断がしづらいので、可能な限り特にMJのセットにおいてはプラグチョップを お奨めしますよ。
とまあ、無茶苦茶に長くなってしまいましたが(汗 2stスクーター初心者の方にはちょっとキツい事も申しましたが、下手な事をして ドツボにはまってしまうという人を私は星の数ほど見てきておりますので…
これらは特にホンダDio系だと顕著に出るものなので、そういった車両であると いう事も認識されて楽しまれると宜しいかと思います。
ではでは。 不明瞭な点があれば遠慮無く突っ込み下さいね。 管理人でした〜
|