ヤンマさん毎度でございます〜
さてさて、まだ続けてもいいのか、との事ですが全く構いませんよ。 ログが増えて困る事はありませんし、見づらい様でしたら新しいスレ立ても どんどこ行って下さいな。
> 申し訳ありません、説明不足でした。某ドイツ製(ステ6)の良い時5.9kgだったのでそれを元に考えて、0.3若干圧縮圧力が上がっただけだから大丈夫行ける。ということにしてました。
まずは圧縮圧力の測定ですが、ご自身での基準はあったのですね。 が、その数値的な差がある状態で、片方は一気に壊れてしまいもう片方は 無難に行ってしまう、となれば…その0.3kgの範囲でそこまで変化が出るものか?と いう点は私は非常に疑問に感じますよ。
> 共に冷間時の数値です。
えっと、これは私の方がおかしいとは思えない、という事を前提としての話ですが、 タイヤの空気圧じゃあるまいし、圧縮圧力を「冷間計測」しても意味無いでしょう。
実際に圧縮されている具合を判断する為の「計測」なのに、エンジンが冷間時に 測定する事自体がゲージの使い方として根本的におかしいですよ。
駆動系じゃありませんが、エンジンそのものが冷えてるのと暖まっているのとでは それこそ駆動系の温度変化うんぬんどころではない位に比較のしようが ありませんから…
明らかにトラブルを起こした物を暖めて測るというのは無理ですが、そういった 状況では無い限り、温間計測なのが基本ですよ。
> コンテンツでも2ストは当てにならないと書かれてましたね。なので圧力の数値自体は比較にしか考えていませんでした。
ぶっちゃけると4stでも「性能の指標」としてはそこまでアテにはならないですよ。 そしてチャンバーがあるから圧縮比ではダメ、それ以上の混合気の詰まり具合を 計測したい、というのも分からなくはないですが、エンジンの掛かってない状態で チャンバーの効果なんて出る訳ありませんから。
これは圧縮比計算でも圧縮圧力計測でも同じですが、チャンバー付けたら どの位+されるか、的な事を「考えやすい」のは圧縮比です、という事で。 圧縮比でも数値だけを鵜呑みにしてはいけない部分も多々ありますが、圧力だと それ以上にあてにならないし物事の補正を考えられない、と私は考えていますよ。 おっしゃる通り、「状態比較」の一つの手段にしかならないです。
> せっかく進角というお言葉がでたので、私の「今更恥ずかしくて聞けない事ベスト3」に入っている進角、遅角についても教えて欲しいのですが、よろしいですか?(汗)
さて次に進角というか点火時期ですね。 これ、今更恥ずかしいとおっしゃいますが…これもせっかくなのではっきり言いますと、 点火時期や進角についての言及はWEB上でも多数見られるんですが、基本的に そこまで深く突っ込んでいる所って無いでしょう。
「パワーバンド内では遅角させるべし」とか「2stは高回転で遅角すべし」とか あいまいな表現しか無いかと私は受け止めてます。
こういうのは、仮にそのエンジンが10000rpmにパワーピークがあるとして、じゃあその エンジンは10000rpmで点火時期は何度になってるのよ?と逆に問いたいですが。 こういうのも分からないのに進角だの遅角だの言っても始まらないんですよ。
なので、勉強したくても出来ないというのが実情ですし、こういうのに関しては特に どんどんご質問頂きたいですね。
> 1年程前から色んなサイトを検索してますが、2ストスクーター(特にヤマハ系)の進角について深く解説したサイトが殆ど見つからず、もうCDIでするんだしいいや、忘れよう的な考えで自分の中で封印してました。
これはヤマハでもホンダでも勉強すべき点は変わらないですよ。 点火時期という言葉の意味合いが何を意味しているのか、進角遅角って何だ、と いうのは2st単気筒なら言葉の意味が違うと言う事はありませんよ。
>しかしついにこの時が来てしまいました。
ではせっかくなので点火時期コンテンツには書いてない事でもぶちまけましょう(笑
> なにしろフライホイールすら外したことさえないですし(汗) > 電気系アレルギー的な感じですしプーラーも持ってませんし…でも道具買って何とかやるしかないです!
これは実際に手を動かしての経験も必要ですね。 プーラーさえあればフライホイールが素直に外れてくれるか、といえばそうとは 限りませんし(汗
で、電気的アレルギーなのは私も同じですよ? これは公言してますけど私回路図とか全く読めませんし、見えない電気ってのは かなり苦手な部類ですんで。
それでも、エンジンの一環として知識を付けないとダメだ、という点があるからこそ 頭が痛くなりながらもそれなりにお勉強はした訳です。 何事にも抵抗無く進歩していける、なんて人はほんの一握りですからね。
なので、「見えないからこそ」実際の火花の強さをアテにしてみたり、点火時期を 測ってグラフを書いてみたり、各部の動作電圧や電流等を測ってみたり、色々と 「見える」様にしているからこそなんとかかんとか理解出来そうになってる、と 言った感じです。
これは駆動系でも同じで、一見円盤が向き合ってるだけの装置を段階的に ギヤ比の数値として出していく、各部の動作を力という数値にて考える、と いった類の事もそういった意味合いがありますね。
手を汚してフィーリングだけでなんとかする、というのはその内限界と言う物が 出てくるんです。 もちろんそこまで到達するには結構な経験も知識も要ると思いますが、それでも そういった「経験と感覚じゃあこれ以上はどうしようもない」的な壁に当たらないと、 自分で苦手な物まで導入して知識&技術の向上に取り組む、なんて出来ないです(笑
言葉が悪いかもしれませんが、私は経験と知識はどちらもバランスよく持ってこそ 役に立つ、と考えていますんで。
では早速ご質問にレスしていきたいと思いますが…
> エンジンの圧縮比等との難解な関係は有るんでしょうが私は、簡単に考えると進角するという事は、今より加速力は良くなって高回転の伸びがやり過ぎると悪くなる。遅角は逆。と考えていたのですが間違いでしょうか?
まず、エンジンの圧縮比等を点火時期何度、というのは確かに関係はありますが、 基本的にはそこまで難しくは無いです。 応用的にはもちろん難しいですが(笑
それ以前にDioやJOGのノーマルならBTDC14°程度で2000〜10000rpmとかまで ほぼ固定、と言っても良いですし、こういうのをまず把握しないといけません。 …僭越ながら、これも知らないのでは進角も遅角も無いですよ?
そして加速が良くなる悪くなる、といった表現ですが、これは仮に「ノーマルより進角すれば」 加速が良くなるとして、それは何故ですかね?
加速が良くなる、というのは「結果」であり、過程をすっ飛ばしてこうやったらこう変わった、と いう事の理由は最低限度分かっていないと、そこから先には一歩も進めませんよ。 先程の件と同じ理由で、その「結果」のみをいくら経験してもあまり役に立たないです。
で、その加速が良くなるという理由は…少なくとも市販のノーマルエンジンである限り、 点火時期って「エンジンとして一番パワーが出しやすい理想点」には設定されてません。 これがまず、全てにおいての大前提となります。
次にピストンというものは、強くぶっ叩けば速く回りクランク軸での力も出ますが、 その前にプラグに点火し混合気に着火、そして燃え広がった混合気がピストンを 叩くといった一連の動作、これが必要です。
で、その爆発圧力が「ピストンを叩くタイミング」って、一番効率が良くなるのはどういった 状況のときだと思われますか?
これは、
「ピストンが上死点に達し、わずかに下降を始めた瞬間」
なんですよ。 一般的にはATDC10°辺りだと言われていますね。
すでに下がっていこうとしているピストンを「押して」やるのが最良のタイミングで、 これだと無駄な力も要りませんし、上死点に達した瞬間を叩くのよりもさらに ロスが少なくなります。これが基本中の基本です。
そして、これはコンテンツにも書いていますが混合気ってのは燃え広がるスピードが ある訳で、毎秒30m/sとか言われてますが、プラグ周辺で爆発を始めたものが ボア径の末端やピストンのトップまで完全に燃えるまでには、着火からは若干 タイムラグがあるんですね。
これを勘定に入れて、実際に「プラグに火が点く瞬間」は上死点よりはるか手前であり、 燃え広がった爆発がピストンを叩くのが上死点より後、という訳です。
なのでBTDC14°で「点火」していても、実際に爆発がピストンを叩いているのは ATDC15°かもしれない、という事になりますね。
基本的にノーマルエンジンでノーマルCDIだとこういった、ピストンが上死点よりかなり 下がった時に爆発がピストンの頭に到達している、といった状態になっており、 それを進角させてもっと早い時期、ピストン下降の瞬間に爆発が届いてやる様に なれば、ピストンを叩く力が上がる、と。 こういった順序になります。
ちなみに先程の例で、JOGがノーマル点火時期でBTDC14°と言いましたが、これで ノーマルでピークの出る7000rpmでも14°だとします。(実際そんなもんですが)
これを分かりやすく6°進角させ、7000rpm/BTDC20°にて点火するとしましょう。 となれば、先述の通りピストンを叩いているのがノーマルでATDC15°なのであれば、 実際には6°前、ATDC9°の時点でピストンを叩ける事になります。 これだとバッチリになっている気がしませんかね?
で、7000rpm時というのは一例で、実際はピストンスピード=エンジン回転数なので ピストンスピードが速い遅いにより多少の差異は出ますが、基本的に高回転に なればなる程に点火時期は「速めて」やらなければならないのが理屈としてお分かりかと 思います。
…しかし、これはあくまで4stの様に「どのピストンスピード域でも、爆発具合が極端には 変わらない」という大前提がありけりの状態に限定されます。 当然、アイドリング2000rpm時とパワーピーク7000rpm時では実際の爆発具合が全く異なる 2stの場合はそうそう上手くは行かないんですよ。
ちょっと長いのでここで一旦切りますね。 続きはパート2で。
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