ただしさん、初めまして。 当HP管理人のねぎのリーダーでございます〜
さてさて、タイヤの件のご質問という事ですが、とりあえずタイトルに ありますが私は長文は大歓迎なので長けりゃ長い程嬉しいですよ(笑
逆に2〜3行とかだと言いたい事も伝わりにくくなってしまいますし、 コンパクトにまとめすぎようとして意見の伝達に齟齬が出る方が 私はイヤなので、気にせず長文でどうぞ。
さて本題ですが、ただしさんはアクシス90にお乗りなのですね。 タイヤはTT92GPでF90/90-10でRが3.50-10と、結構定番のリヤのみ サイズアップされているんですね。
> 私の考えとしては「タイヤは太い方がグリップがいい」と思い > Rは350−10を履かせていてFは350−10も入らなくは > ないですが旋回性を考慮し標準サイズの90/90−10を > 履かせています。
ええ、ヤマハ横型エンジンだとリヤには無加工で3.50-10が 入りますから、パワーを受け止める後輪はでかくて太くても デメリットはほとんどないので大変宜しいかと思いますよ。
むしろ、90ccベースでエンジンをいじくるなら良いグレードのタイヤで サイズアップしておく位で丁度良いでしょうね。
> ですがレースなどに出場しているJOGなどはAXIS90同様 > 前後標準サイズが90/90−10にもかかわらずRは350−10 > Fは300−10をはかせている人が多いように思います。
そうですね、あくまでレースというのはどれだけコーナーリングに ウェイトを置くかと言う点がありまして、ストレートも無視しては いけませんがわずかな加速力とかを稼ぐために前後80/90とかで 走る人はまずおられませんしね。
10インチスクーターであればF3.00&R3.50は確実に100%のチョイスで あると断言しても良いでしょう。
> Rはグリップを稼ぐためにヤマハ系2ストスクーターにポン付けで > 入る限度である350−10をはかせているのは分かりますが > Fは標準サイズより細い300−10をはかせるのはなぜでしょうか?
その定番サイズは、「コーナーリングにおける鉄板セット」という事は ご存知かと思われます。
まず、曲がる為に必要なのは「キャンバースラスト」と「コーナーリングフォース」の 二種類の力と言いますかタイヤの運動があるのですが、フロントタイヤが リヤより小径だと、タイヤが傾く事によるキャンバースラストの出具合が 前後とても良いバランスになっていくんですね。
イメージ的にはフロントタイヤがイン側にするっと入っていく、といった挙動を 起こしやすくする為にリヤよりフロントが細く、フロントタイヤとしては 「とんがっている」といった形状にもなっているんですよ。
ちなみにコーナーリングを主眼に置いたハイグリップタイヤだと、一応は 3.00でも3.50でもフロントに履いてもリヤに履いても問題無く走る様な 設計ではありますが、フロント3.00でリヤ3.50のパターンだと、フロントは リヤよりも形状的に「曲がりやすい」形状を与えられていたりします。
これはストリートグレードのタイヤではまず無い事でして、そういった面でも 最初から考えられているパターンである、と言うのもあったりしますよ。 なので、ハイグリップタイヤの3.00を前後に履くと結構ふらふらしたりする 感覚があったりもしますね。
> 確かに細い方が旋回性がいいのは分かりますが絶対的なグリップ力では > 太い方がいいように思います。
おっしゃる通り、接地面積を大きく取れる、という事はタイヤを地面に 押し付ける力が十分にあるのならば、その分グリップ力は高まりますし その「タイヤを押し付けた反力」である「コーナーリングフォース」の力も 増大し、イン側に向かってタイヤが跳ね返る力も大きくなります。
通常のライディングであれば、車体をバンクさせてタイヤを「傾ける」だけの 「キャンバースラスト」のみで曲がっていきますが、積極的に曲げようとすれば タイヤを潰してその反力を利用するといった「コーナーリングフォース」が とても大きなウェイトを占める為、そのコーナーリングフォースを大きく 生み出すためにコンパウンドはそうそうへこたれない物が必要ですし、 設置面積もある程度は稼げないといけないんですね。
> なのに標準サイズより細いタイヤを履かせるのはなぜなのでしょうか?
ここが一番の疑問だと思われますが、これはまず前述の通り、フロントが ハイグリップの3.00であれば元々コーナーリング、特にブレーキングから 初期旋回までをスムーズに行える様な形状が与えられているのがまず 一つの理由です。
そして、何故に90/90より3.00を選ぶかといえば、扁平率の差も大きいですが 90/90だと結構な低扁平タイヤちっくな形状になり、すごく寝かしづらいんですね。
文章で表現するのはちょっと難しいんですが… 90/90って、接地面のRが緩いと言いますが、上から押しつぶした様な形状に なっているんです。
大して3.00だともっとU字形状に近くなっており、同じ力で寝かした場合には 3.00の方がはるかにスムーズに倒れこんでいき、無理なくキャンバー スラストを発揮させる事が出来るんですね。
これは実際に履いて見るとよく分かりますが、フロントが3.00なのと90/90 なのでは寝かしこみ具合にかなりの差があり、簡単に言えば3.00だととても 「曲げやすい」んですよ。
一つの例えで、仮に車のタイヤを真っ直ぐ転がしてもなかなか倒れませんよね? これが90/90だとすれば、3.00はバイクのタイヤを真っ直ぐ転がした感じである、と イメージしてみて下さいな。
なお先述の様に、リヤが3.50なのであればフロントが90/90でも3.50よりは 小さくて細いですからある程度は曲げられるんですが、これはタイヤ自体の 設計がメトリック表示タイプとインチ表示タイプではかなり異なっており、 同じ様なサイズである3.00−10と90/90や、3.50−10と100/90-10の 同一銘柄を見比べてみればよく分かるかと思います。
なので、いくらリヤより小さいとはいえ、90/90ではリヤが3.50の場合だと リヤよりぺったんこな形状をしているので、コーナーリング中はものすごく フロントが外側に押し出されるといった症状が出るのですが…ただしさんは これを感じられた事はありませんかね?
これだとまだ前後3.50の方がそのアンダーステア感というのはマシでして、 タイヤのサイズではなく、その形状故にバランスが全く取れていない、と いった事がとっても大きいんですよ。 (注:前後の車高等をタイヤサイズ変更に伴い同じに調整した状態の比較です)
そもそも、メトリックタイプ(90/90)とインチタイプ(3.50)を前後に履かせるのは タイヤの選択としてはおかしく、サイズを変えたとしてもメトリックならメトリック、 インチならインチタイプで統一しないとかなりおかしな事になるんです。
仮にフロントに90/90を入れたいのならば、リヤは100/90をチョイスするのが 定番になるんですよ。
あまりこれって浸透していない気もするんですが、本当はこういうちぐはぐって やっちゃ駄目なんですが… タイヤメーカーも推奨はしていませんしね。
タイヤってのは幅や外径のみで考える物では無いんですが、ココまで来ると かなりマニアックな領域なので難しいとは思います…(汗
> 太くすることによるグリップ力以上に旋回性能がそれを上回り > 結果としてコーナリングがしやすくなったり速くなるから > なのでしょうか?
そうですね、結論としてはおっしゃる通り、太くて接地面積が大きくなると いったメリットをはるかに上回るメリットがあるんですよ。
確かにF3.00だと頼りない印象もありますが、その反面ブレーキングからの 突っ込み初期旋回はかなりスムーズですし、フロントタイヤが物理的に 小さくて自由度があるので、こじったりする場合もある程度融通が効くと いった面もあります。
> それともフロントタイヤのグリップ力あればあるほどいいのは > 分かりますがそれほど気にかけなくてもいいという事なのでしょうか?
もちろん、グリップ力があるに越した事は無いのですが、スポーツライディングを 行う場合だと、グリップ力というのはタイヤに頼る部分ももちろんありますが、 基本的には人間のテクニックで「グリップさせる」のが基本なんですよ。
単純に、タイヤに頼るだけならばするっとマシンをバンクさせ、タイヤの限界まで バンクさせたらそれ以上は無理で、そこからコーナーリングスピードを上げる事が 出来なくなってしまいます。
これはある意味初心者的なライディングであり、フロントタイヤにはブレーキングで ぐいっと荷重を掛け、ブレーキをリリースしながらその荷重の反力、コーナーリング フォースを存分に発揮させながら曲げていく、といったテクニックが必要なので、 ここではタイヤの太い細いってのはあまり関係なくなってくるんですよ。
コンパウンドそのもののグリップ力やフォークのセッティング、十分なコーナリング フォースを生み出せる空気圧設定の方がはるかに重要で、タイヤの形状が それなりに「曲がる」物であれば、それ以外は全て人間のコントロールで なんとかしてスムーズに曲げて行く、というのがコーナーリングの基本中の基本です。
なお、私なんかは今はライブDio-ZXに前後3.50を履かせていますが、これは それなりのハイパワーエンジンでスピードも出ますし、力もあるのでそれを カバーする為に、初期旋回力や曲がりやすさは全て捨ててまでもメリットがある ポイントを狙っているんです。
それはストレートエンドでのブレーキング〜突っ込みの段階でして、相手が ミッション車ならかなりの勢いでブレーキングをしなくてはならず、F3.00では どうしても車体を立てている状態からのブレーキングでもあまり余裕が無いと いった事があるんですね。 「フロントタイヤの接地面積」が大きく必要になってくるのはこういう場合です。
前述の様なテクニックを駆使しても限度というものはあり、このテクニック自体は 個人差がとても大きいですが、私が自分のマシンをライドするといった状態では ブレーキングや初期旋回のタイヤのこじり方に3.00では危ない位に余裕がないと いった状態なので、コーナーリングでは曲げづらい上に立ち上がりでも外側に ぐんぐん押し出される様なタイヤチョイスになっています。
が、その方がトータルで「速く走れる」のでそのセットを施している訳でして、 10インチでは他にタイヤが選べないというのもありますが、一番バランスが 取れていて扱いやすいF3.00&R3.50ではない仕様も場合によってはありだ、と いう事で。 実際、ノーマルや準改造クラスでは無いフル改造クラスならば、10インチで 前後3.50というチョイスも少数ですが過去に見られたはずです。
ちなみに前後3.50だとFN車やFP車に比べると結構なLVまでコーナーリング スピードが低下するのでコーナーリングの楽しさはあまり無かったり(泣
なお、これだとフロントタイヤは太く接地面積も何もせずに大きいので、 コーナーリングフォースは大きく生み出せますがなかなか「寝ない」ので、 フロントタイヤはわざとハンドルを切りながら無理矢理タイヤの反力を 生み出してコーナーリングフォースに変換する、といったある意味邪道な ライディングも必要になってきますけれどね(笑
と、話が脱線しましたが(汗 基本的には、リヤに3.50をチョイスしてもフロントタイヤに90/90をチョイスする 方がおられないのはまず「インチとメトリックタイヤの形状の大きな違い」で 寝かせない上に扱いづらいのが一つと、速く走り扱いやすい、とった絶対的な バランスでは3.00&3.50が一番上手く出来ているから、という事です。
そもそも、タイヤメーカーさんはそのセットで使う事を前提に形状等を 開発しているので、名目上は10インチで前後共用ではありますがそこが ハイグリップタイヤと一般タイヤの違いでもあります。
バイクのタイヤというものは太ければ良いという物ではなく、前後のバランスと 旋回性、扱いやすさ等色々な要素があるのでなかなか難しいですが、何かの 参考にして頂ければ幸いですよ。
…冒頭に記しましたが、単純にタイヤの違いは何故?といった事をご説明 しようとしてもこの位の文章量にはなってしまう訳ですが(笑 さらっと聞かれた事でもそれが実は難しい事であるのならば単純には ご説明出来ないのでその辺はご了承下さいね。
と、何か不明瞭な点があれば遠慮なくツッコミ下さいませ。 管理人でした〜
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