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記事No 6903
タイトル Re: ウルフ50とは珍しいですね〜
投稿日 : 2015/07/29(Wed) 07:04:23
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先 http://www.neginoleader.com
まっつんさん初めまして。
当HP管理人ねぎのリーダーでございます。
こんな僻地にようこそです。


> 数々のコンテンツを「超」興味深く拝見させていただいています。
> 原付でここまで理論を突き詰めているHPは中々無いですねw本当に勉強になります。

さてさて、まずは当方のHPをお役に立てて頂けている様で嬉しいですよ。
どうもありがとうございますです。

近年は原付クラス2stチューン、といった趣のサイトやHPも減ってしまっていますが
だからこそ当方の記しているあれこれが少しでも皆さんのお役に立てれば、と
考えておりますので、是非是非活用して頂けると幸いです。


> さて、質問があるのですが・・・・
> 私の愛車(スクーターでなくてスミマセン)はSUZUKIのWolf50なのですが、

私、一応は2stスクーター全般が守備範囲ではありますが、世代的にそういった
2st原付クラスのMT車も全く専門外というワケではありませんのでOKですよ〜

しかしスズキの50ccMT車とは懐かしいですねえ。昔はヤマハやホンダに比べ
気難しい面もあって困った記憶もありますが、ある意味そこが面白かったと
思いますよ(笑


> キャブセッティングで難儀しております。
> 主にS/Jのセッティングなのですが

そして本題ですが、まっつんさんはキャブセットでお困りの様ですね。
ざっと状態を拝見しましたが…こちら、いくつか気になる点があるのでまずはそこから
ピックアップしていきたいと思います。
…ちなみに私、小難しい事を短文で簡潔にご説明する、というのは不可能であると
認識してますので長くなりがちなのはご容赦をば(汗


> 条件
> キャブ:ノーマルVM18改 VM19.5(専門業者で加工&O/Hしてもらったので程度は極上)
> ジェット:ノーマル→MJ77.5 SJ17.5 に対し現在→MJ85 SJ22.5 +JN一段下
> エアクリ:ノーマルBOX + 吸気口拡大加工
> エンジン:AIRSAL製 アルミニカジリメッキシリンダー70cc
> チャンバー:RSリップス ボアアップ専用チャンバー 60〜70cc用

ふむふむ、大きな変更点はキャブのベンチュリ径拡大加工と、市販品ボアアップに
社外品チャンバーの装着、という事ですね。

で…一番気になったのが、純正のミクニVM18φを拡大されているという事ですが、
VM18φはベンチュリ径が元々18φで、円筒スロットルバルブの「直径」は20φに
なっているかと記憶しています。

という事は、スロットルバルブ20φに対してベンチュリ径は横幅で18oなので、
吸気方向からベンチュリ部を覗いた場合、スロットルバルブが「隠れている」部分は
左右1oずつしかない、という事なんですね。

なので、この状態でベンチュリ径を1.5φ(幅1.5o)拡大した場合、スロットルバルブの
左右末端部がキャブ本体に「隠れている」部分って、片側0.25oずつしか無いという
状態になってしまうんです。

要は、元々18φの穴に20φの筒を入れてフタをしているのが、19.5φの穴に
20φの筒を入れてフタをしている事になりますが、これってキャブ側の劣化等に
よっては、十分に二次エアを吸ってしまう要因になりえるんですよ。


スロットルバルブ自体も、キャブ側に対してギッチギチになっているワケではなく
ある程度の遊びはありますが、ベンチュリ径に対してスロットルバルブの幅が
ギリギリに近い場合だと、これが悪影響を及ぼす事があり、18φベンチュリで
20φスロットルバルブならば、拡大加工はよくいっても19φ〜19.2φ程度に
押さえておくべきなんです。

これは加工の精度がどうこう、ではなく、物理的に「スロットルバルブ側面に隙間が
開きそうな位に余裕がほとんどない」のであって、アイドリング時はともかく、少しでも
アクセルを開けるとその余裕の無さが二次エアとなって現れる、という事は意外と
あったりするんですね…

こういうのは、「物理的な加工余地」はギリギリ行ける様に見えても、実際には
実動負荷を掛けると駄目かも、というパターンなので、個人的にはキャブベンチュリの
ボアアップはそこまでギリギリ寸法なのはお奨め出来ないです。
(※PWK等、円筒スロットルバルブではないキャブだとある程度融通は利きますが)


後、1.5φも拡大しているとなれば、スロットルバルブがベンチュリの底面側に
当たっている状態、すなわちアクセル開度0の時なのですが。
こちら、仮にアイドルスクリューを抜いたとしても、ベンチュリ径の下方への拡大が
悪影響を及ぼし、スロットルバルブが「必要な位置まで」閉じきっていない、という
事も見られるんですよ。

こちらは加工屋さんがそれを計算&加味し、スロットルバルブ底面をある程度
加工して詰めている上、ニードルジェット上のベンチュリに突き出す部分も多少
低く加工しているのであれば問題はありませんが、それらを行っていない場合は
元々のキャブの形状にもよりますが、これまたアイドリング近辺のセットは全く
融通が利かなくなってしまいます…
このあたりが無加工で行けるのはよくいっても1φ程度のベンチュリ拡大ですね。


なので、個人的にはセッティングがどうこうではなく、まずは加工キャブの作り方
そのものが「きちんと動作する様な物」であるかどうか、が先決となるかとも。
はっきり申しますが、このあたりが曖昧である場合、いくら人間側がセッティングを
努力しても、「キャブ本体が素直に答えない」状態になっているので、いくらジェットを
いじくっても無意味な時間にしかなりません、とは断言出来ますので。


> このような仕様なのですが、SJが濃いのか薄いのか判断が付かなくなってしまいました。
> エアスクリューは全閉から2.5回転戻し程でベストな回転数が出るのですが、チョークを引くととんでもなく濃くなってしまうようで、即プラグカブリによりエンジンが停止してしまいます。

と、それらをふまえてコチラの症状を拝見しますと…
エアスクリューが2.5回も戻らないといけない、というのは明らかにスロージェットが
大きすぎますが、これもすでにアクセル開度0の状態で二次エアを吸っている
可能性がある、という事を示唆していますね。

その証拠に、ベンチュリ径拡大を行ってもチョーク通路の混合気量は変化は
しないので、チョークONで濃すぎてエンストする、となればノーマルキャブ状態で
あればありえませんから、これも明らかにスローが大きめになっている事を
照明しているかと思われますよ。

チョークそのものはかなり濃い目にはなるので一概には言えませんが、その
作用を加速させるだけのスロージェットの大きさがある、とは推測可能かなとも。


> しかし・・・・空ぶかしをしてみると、アイドリングまで戻ってくるのが極端に遅く、3000rpmほどでエンジンが回り続けるような症状も出てしまうのです。

これもアクセルオフ状態にて二次エアを吸っているとよく出る症状です。
こちらはスロットルバルブ底面側の余裕がありすぎ、ある程度アクセルが開いている
状態になっている可能性もありますが、スロージェットが大きいのにも関わらず
ニュートラル状態での回転落ちが遅い、落ちきらないとなれば他にトラブルが出て
いないのであれば、これもキャブの作り方の問題が影響している可能性があると
分析出来ますね。


> アイドルスクリューを低くセットしてみると、今度はアイドリングが低すぎてエンジンが止まってしまいます。

ふむふむ、それであればスロットルバルブ底面側はちゃんとキャブベンチュリを
完全に近く塞ぐところまで閉じているのかな、と思えますがこれは目視確認を
行うのが一番で、、アクセルワイヤーとアイドルスクリューを取り外し、スロットル
バルブのみをキャブに入れて吸気側から覗けばよく分かります。

この「スロットルバルブの0地点での開き具合」をノーマルキャブと比較し、
加工キャブでもノーマルと同じ位になる様になっていないとこれまた不具合が
出る可能性は大きいので。


> もーワケが分かりません(泣
> このセットは濃いんでしょうか・・・・

いえいえ、これはワケが分からなくて当然かな、と私は思いますよ(汗
もしも加工キャブそのものの作りがおかしく、セッティングの反映が上手く出来て
いないとなればワケが分からなくて当然でして、そんな状態でワケが分かる人は
この世に存在しませんので…

濃い、薄いの症状を鑑みる前に、キャブの作りを見直すか、もしくは同一の
VM18の無加工品をお持ちであれば取り替えて同一セットを施してみるのが
一番ベターだと思いますよ。


後、これは余談になりますが、文面から察しますに、まっつんさんは世間でよく
言われている、アイドルスクリューとエアスクリューの云々を、エンジン回転数が
一番高くなって落ち着いた所で調整してある、といった感じにも見受けられます。

これまたはっきり申しますが、これって本来は吸入負圧が低回転でも安定しており、
アイドル回転数の高低がしっかり出せる4stエンジン向けの手法なのであって、
これまたアイドル負圧が低く、低回転では間違っても100%点火していない小排気量
2stのエンジンでは全くといって良い程役に立ちません。

…コンテンツのどこかにも書いてますが、こういうのも何でもかんでも2stに転用が
効くものではありません、という事になります。

実際のエンジン温間時のブリッピングと、実走行において高回転でアクセルOFF→
すぐ1/8程度開け直してみた状態のフィーリングをアテにしてスロー系のセットは
決める物であり、その状態でアイドリングが物理的に低ければアイドルスクリューで
補正してやる、というのが正しい、と言いますか一番現実的なスロー系の合わせ方に
なりますので参考までにどうぞ。

…実際、私なんか2stなら車種問わず、エアスクリューが何回転だとかあんまし
細かく気にしませんし、フィーリングで合わせて合えばそれでOK、としか考えては
いませんしね(笑
あ、もちろん全閉でも駄目とか3回戻しでも駄目とかのレベルなら気にしますが。


> 昔、上記と同じセット(JNは真ん中)で一回焼きつかせてしまったことがあり、これ以上薄くするのは正直怖いというのが正直なところです。

こちらもまたおかしな突っ込みになりますが、社外品ボアアップを用いている時点で
ジェット番手のみがおかしくて焼き付いた、という理由付けはあまり行わないほうが
宜しいかなと思います。

別にAIRSALをバカにするワケではありませんが…とはいっても私の語り口ならば
そう取られても仕方ないのは承知の上で記しますが、メッキシリンダーの場合は
シリンダーホーニングのピストンクリアランスの調整が出来ないので、よほど
メーカー側がしっかりとした物作りを行っていないと、焼き付きに対しては改善の
しようがない、というのは確実にあるんですよ。


ウルフ用ではありませんが、他車種用のAIRSALをいくつか計測した所では、
ピストンクリアランスは6/100程度でそこまで悪くはないものの、ピストンの形状が
かなりの寸胴タイプなので、熱が溜まるピストンクラウン周辺側のクリアランスは
実動高負荷時にはかなりきつめである、という傾向が強くありました。
こういった点に齟齬があると、いくらシリンダーがアルミ製でも水冷であったと
してもそれで全て解決、とは行きませんので…

私ならばそういった状態ならそのまま使うといくらセットしても軽い焼き付きの
傾向から逃れられないと判断するので、もしまっつんさんのボアアップキットが
そうなっていた場合だと、これは仮に焼き付きの兆候があった、としてもキャブで
どうにかなる問題でもなく、裏を返せばパワーが出ない状態までキャブセットを
押さえてカブり気味で走らないといけない、となってしまいますんで…

これは前述のキャブ加工の問題にも繋がるのですが、ボアアップキットなんて物は
よほど各部がきっちり出来ていないと、人間側でいくらキャブセットがどうこう、
オイルや冷却がどうこう、といっても全く無駄になってしまう事がかなり多いので、
「根本的な構成が、各所セッティングが素直に反映されない位おかしい」のでは
無駄な時間を過ごすだけにしかならないのが悲しいんですね(泣

なので、キャブもそうなのですがボアアップ+チャンバーとなれば、エンジン本体の
構成がノーマルとはかけ離れていますから、難しいのは当然ですがそういった
「間違っていてはならない構成部分」をしっかり見極めないと、セッティングを楽しむ
事すら出来ない、といった点はお忘れなき様にお願い致します。


> スクーターでない&マイナー車すぎてデータも無いだろうと思われますが、何かアドバイス頂ければ幸いです。

と、専門車種では無いのであまり役に立たないかもしれませんが、文面から
分かる時点での意見を述べさせて頂きましたので不明瞭な点があればツッコミを
頂ければ、と思いますです。


> ちなみにですが・・・・画像は現在使用しているシリンダーの画像です。
> スペイン製とのことですが、とんでもないポート形状してますよね、コレ(汗

最後にコチラ、早速画像機能を利用して頂いて嬉しいですよ〜
…やっぱり質問板には画像貼れないと不便ですね、と今更ながら思ったり。

で、スペイン製ARISALですが、私もいくつか分析してきた経験上ではそこそこ
悪くは無い構成ではある、と分析してますよ。
ただ、メッキシリンダーであるが故のピストンクリアランスの融通の利かなさはちと
アレなのですが…

ポートタイミングや圧縮比、その他のあれこれなんかは安価なアジア製品とは
異なってそれなりレベルに「きちんと」していると思いますし、排気ポートに
関してもセンターリブを用いているのであればまあ及第点かな、とも(汗

で、画像の排気ポートでも上側一直線で弦長がボア径の90%とかありそうな
勢いですが、スクーターと違って低、中回転のパワーの出方をかなり無視しても
OKなMT車エンジンならば、この位やっても別段悪くないどころか普通レベル、と
私は感じますね〜

50ccでエキパイ口径が30φとかあるのが2stMT車ですが、その位ピーキーに
している上に7000〜10000rpm程度がパワーバンドでも十分街乗り出来る様に
なってますし、それをさらにハイパワーに、となればもはやセンターリブ前提で
ないと絶大なパワーアップは望めない、という事で(笑

あ、これも実際に計測してみないと分かりませんが、リブを除いた部分の排気
ポート弦長は、センターリブありならば最低でもボア径の80%は欲しいですね。
正直、それ以下だと1ポートでも実現可能ですしあまり狭いと見た目だけが
センターリブで実際は役に立ってないどころか抵抗にしかなってない、なんて
話もあったりはしますので…

こういうのって、本来はぱっと見のインパクトなんてどうでも良く、実際に各部を
採寸&分析してみないと見た目だけのハッタリだった、というのはこれまた
アフターパーツ業界では当たり前にある事なので_| ̄|○

とはいってもメッキシリンダーの場合、排気ポートはまだなんとかなりますが
掃気ポートなんかかなりの難削材となりますから、個人的には「やりづらい」品に
なりますがこれはあくまで余談と(以下略


ではでは、長くなりましたが参考にして頂けると幸いです。
管理人でした〜

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