記事No |
: 7019 |
タイトル |
: Re: ロングクランク42.5mmの導入について・・ |
投稿日 |
: 2016/04/17(Sun) 08:06:25 |
投稿者 |
: ねぎのリーダー@管理人 |
参照先 |
: http://www.neginoleader.com/ |
AF35ZX仕様りょうさんお久しぶりでございます〜 最近はスパム書き込みに悩まされている管理人です(泣
さてさて、パワージェットを補修された件についてはその後問題なく運用が 行えていますかね? キャブですから一度固定しておけばそれなりに持つとは思いますがなんとなく 気になってしまうお年頃です(笑
> 以前の仕様(だとう4st125)(ピストンリングとピストンは新品)を作ったときは、結構な加速と伸びだったのですが、ベルトも0.2mmほど摩耗し、気温のせいでセッティングも狂い、吸入音がうるさいので自作エアクリ等を作り(恥ずかしい位カッコ悪い・・)りセッティング済み > 乗りなれてきたせいもあるのか、少しパワー感が落ちたような・・・
セッティングの範囲ですが、これってば私は個人的アドバイスの方向性としては 多少、季節や気温が変わったところであからさまにおかしくなる様なセッティングは 形作らない、といった点を旨としていますよ。
さすがに氷点下の気温と真夏の40℃近い気温では差が出ても仕方ありませんが、 ジェッティングであれば限界まで濃い薄いのどちらかに詰めるではなく、どっちも 体感した上での「中間点」に合わせるのが一番ベターになる、と信じてますね〜
> 現在、(アルミボアアップキット 47mm 67.9cc)を使用しております。 > (排気ポートタイミングノーマルと同じ上し点から24mmです。拡大のみ) > 現在ノーマルクランク(工程39.3mmです。) > > 良くネット販売されている赤ロングクランク(工程42.5mm)を導入するには、 > ttp://item.rakuten.co.jp/autopartsu/crlh-15/ > > ベースガスケットを何ミリにすれば現在のポートタイミングを維持出来るでしょうか?
そして本題ですが、ボアアップキット構成に加えてストロークアップを考えられて いるのですね。 こちら、最初に記しておきますがそれなりに難しい事であり、各部分析を正確に 行った後でも、その調整そのものが「物理的寸法により許容範囲から逸脱する」と いった事も多数あるのがストロークアップである、といった事をご留意下さいな。
以下、りょうさんご自身がそれなりに各部の働きや数値の意味合いを理解して おられる、といった前提にてお話を進めますので、不明瞭な点があればさくっと ご指摘下さい。 かなり長くなりますがそれでも説明なんてしきれない位難しい、という事で。
まず前提条件として排気ポートタイミングですが、条件は以下とします。
・排気ポート開口タイミング=ピストン上死点から24mm ・コンロッド長=80mm(ノーマル) ・ストローク=39.3mm ・ピストン上死点時のシリンダー上面からの「肩落ち」=0mm(無しという事で)
この条件だと、現在の排気ポートタイミングは「BBDC84.4°」になりますね。 百分台は四捨五入です。 (…失礼ながらこのタイミングではパワー主体といった方向性としては遅いですが)
が、ここで気を付けないといけないのが、これはピストンが上死点にいる時に、 ピストンの「肩」がシリンダー上面とツライチ状態で、「ピストンの肩落ち」が 0mmである、といった条件の下の計算になります。
りょうさんのデータですと肩落ち値が明記されていませんが、社外品のボアアップ キットだと完全に0、という物は私は見た事がありませんのでその数値の勘定を されていないのでは、とも(汗
ちなみにライブDio系腰上の場合、純正ノーマルでも肩落ちは0.1〜0.2mm程度は 存在しているので、完全な0ではなくポートタイミングを計算する場合には この数値は必須であり、社外品だとmm単位で存在する事もあるので注意です。
で、この肩落ち値を勘定に入れない場合だとかなり狂いが生じますが… ポート開口時のタイミング、というのはあくまでピストンの「肩部分」が ポートを開かせる瞬間までにいくつストロークしたか、ですからね。
仮に、「シリンダー上面から」排気ポート開口部までが24mmであったとしても、 上死点時のピストンの肩落ちが1mmあるのであれば、排気ポートが開くまでの ストロークは23mm分しかなく、これだとタイミングとしては「BBDC87.4°」に なりますんで。
ちなみにこのあたりの計測方法は当HPのどっかにも記してはいますが… ノーマル純正構成の寸法、というものをきちんと理解しておけば、パーツ単位で 社外品を計測して計算するだけで各部の数値等は算出出来ます。
ざっとですが、ライブDio系腰上だとシリンダー全長58.5mm前後、ベースガスケット 0.5mmのシリンダー構成にて、ストローク39.3mmのコンロッド長80mmに対して ピストンのピン上、すなわちピストンピン中心部からピストンの「肩」までの 距離は「25.3mm」としています。これで肩落ちは0ではなくわずかにあります。
なので、これらの数値を元として社外品の寸法を当てはめていけば、ピストンの 肩落ち、というのもきちんと把握出来ますので参考までに。
> ●あるHPを参考にすると、39.3mmの工程を42.5mmに変更すると上し点24mmの排気ポートタイミングなら計算によると上し点25.954mmと成りました。
ご自身にて計算された様ですが、一応再計算してみますね。 条件は前述の物と同じとし、ストロークアップ「のみ」させた状態にての排気ポート タイミングを算出してみましょう。
・排気ポート開口タイミング=ピストン上死点から24mm ・コンロッド長=80mm(大抵の社外品はノーマル準拠) ・ストローク=42.5mm ・ピストン上死点時のシリンダー上面からの「肩落ち」=マイナス1.6mm
で、この場合だとピストン肩落ちに着目して頂きたいですが、元々の状態にて ピストン肩落ちが0mmであったとしても、ストロークが増えればピストンの 上死点の位置は「上がる」ので、単純に増えたストローク値の半分の値だけ ピストンの肩位置が変更になります。
ストロークの増えた分は「3.2mm」ですからその半分の「1.6mm」分はピストンの 肩位置が上がりますから、「肩落ち」値は-1.6mm、としています。 シリンダー上面よりピストンの肩が飛び出ている、という事ですね。
この条件にて排気ポート開口タイミングを計算すると、「BBDC86°」です。 要は、ピストンの肩が排気ポートを開くまでのストローク値は24mm+1.6mmに なるので25.6mm分、という事ですね。
で、この状態から元々のノーマルストローク状態で排気ポート開口部24mmと 同じタイミング、BBDC84.4°にするには… 排気ポート開口タイミングの位置はシリンダー上面から「24.57mm」あたりです。 ベースガスケットのみの変更で排気ポートタイミングを同じにするには、 追加ではなく他の手法が必要になります。
…百分台は指定しても調整なんて不可能なので参考までに、ですが、正直 これだけしか変わらないの?と思われるかなとも。 が、こういうのってクランクの回転角度のどこでも一律で同じ様な数値の 変化が起こるのではなく、かなりの差があるものなので元々これだけ遅めの タイミングだと変化率が小さい、というだけのお話ですね。
なので、りょうさんの計算はどこか間違っているのでは、と思いますが… 計算式等を置いてあるサイトの式だと、肩落ち値を入力したり、換算して 入力したりしないとはっきりとした計算にはならない事も多いので注意ですよ。
ちなみに、42.5mmストローク仕様としてピストンの肩落ちが0、この状態で 排気ポート開口部までが25.954mmあったとしても、その場合の開口タイミングは 「BBDC85°」程度になります。
0.6°なら別に誤差の範囲でも良いのですが、この計算結果から逆算するにおそらく りょうさんの計算ではストロークアップに伴うピストンの肩位置を加味されていない 可能性がある、という事になってしまいますね(汗
なお、当HPでもざっとした解説と計算式を配布してますんで参考までに。
ttp://www.neginoleader.com/scooter_tuning/scooter_tuning45/scooter_tuning45.html
ここの真ん中ちょい上辺りに計算式も忍ばせてます(笑
> シリンダーのベースを削らないとダメでしょうか?
次にこの辺りですが、シリンダーのベースを削る削らない、というのは前述の様に 各部の寸法からの設計にて、どこの部分をどれだけ加工すれば辻褄が合う、といった 事を決めつつ勘定に入れていくものであり、大前提となるポートタイミングの相違等が きっちり算出されていないのではそれ以前の問題になります。
加工が少ないに越したことはありませんが、シリンダー下面を落とす、となれば ストロークアップではあまり用いない方向性になりますね。 ピストンのピン上が異常に短い物を流用するとか、排気タイミングが合っても掃気の タイミングが合わない等、色々な場面で採用する場合もあるにはありますが…
> 初めは単純に、工程の増えた分3.2mm÷2=1.6mm > をベース1.6mmUPガスケットとヘッド1.6mmガスケットを良いのかなって考えてました。
これに関しては言うまでもありませんが、そんな簡単な方法で辻褄が合えば 誰も苦労はしませんし、残念ですがそのレベルだとストローク値とクランク回転 角度は正比例しない、といった基本中の基本を分かっていない残念なレベルです(泣
後、ややこしくなるので後述しますが圧縮比の事も考えないといけませんからね。
> 若し、ポートタイミングを合わせる為にベースを削るとなると、上し点でピストンがかなり飛び出しますよね? > ヘッドガスケットの厚みでカバー出来るものでしょうか?
もしもシリンダーのベース面を落とした場合、おっしゃる通りでピストン上死点時の 肩落ち、と言いますか飛び出しはかなり大きくなります。 このあたりをカバーしなければならない場合、ヘッドガスケットではなくスペーサーを こしらえた上で、私は「ヘッドガスケットでサンドイッチ」して対応させますよ。 もちろん、必要な「厚み」というのは先に設計がありき、です。
ミリ単位のスペーサーとなればそれなりの素材で無いといけませんが、そんな硬い 物体をアルミのヘッドはともかく鋳鉄のシリンダー上面に押し付けるだけで きちんとした「ガスケット効果」なんて出るはずありませんのでね。
これも今の時代ですからはっきり言いますが、潰れづらい素材で厚いスペーサーを こしらえた場合に、そのままシリンダーとヘッドもしくはケース側に挟むだけ、と いうのは愚の骨頂でしかない、と断言しましょう。
> シリンダー若しくはベースガスケットやヘッドガスケット等はどのように加工してセットするものでしょうか? > 具体的にベースパッキンの厚みとヘッドガスケットの厚み等の調整方法が判りません?
なので前述した様に、これはそう簡単に「具体的」な手法があれば苦労はしないんです。 まずはノーマルに対してのストロークアップのみを行った場合のポートタイミングの 相違を確認し、何をどう「位置関係の変更」を行えば目指す方向性に近くなるのか、 もしくはポートであればどの位タイミングを加工すれば許容範囲に収まるのか、を 「最初に間違いなく設計する」事こそが具体的手法の第一歩である、という事ですね。
ちなみにこういったポートタイミングの調整は、排気ポートのタイミングよりも 掃気タイミングの辻褄を合わせる方が難しく、そういった意味合いの方が大きい、と いう事もポイントです。
このあたりはですね、りょうさんがそれらをしっかりお勉強した上である程度確実な 調整範囲を目指す、といった気概でおありであれば私もアドバイスさせて頂きたく 考えておりますよ。
ざっとここまで記したアドバイスのみでもまだ第一歩にすら到達していませんし、 少しずつでないとまず把握なんか出来ない位の情報量になるのでそのあたりは ご了承願います。 …決して教えないよーとかって言ってるワケではありませんので誤解なき様に お願いしますね。
まずは、肩落ち値を加味しているのかしていないのか、その結果での算出値にも 間違いはないのか、といった点からスタートですよ。
> 工程が3.2mmも変わると、当然ヘッドの容量アップも必衰ですよね。
圧縮比の件ですが、これは試算するのは最後に回しても良いでしょう。 当然、ストロークアップを行ってポートタイミングを調整した場合、スペーサー 等をヘッド&ベース側に用いた場合だと圧縮比は無茶苦茶になります。
仕様変更を行うのであれば、最低限度「現状の圧縮比」が分かっていないと 変更どころの騒ぎではありませんのでね。
これもいつものクチですが、コンプレッションゲージで計測して近似値ならば OK、とかの手法を取るならばそれはエンジンをナメきっているだけ、とはっきり 断言させて頂きましょう(笑
> Gアクシス等では、定番のチューンですね。
いや、これは別にグランドアクシスのみならず多種多様な車種でストローク アップのパーツはあるので私に言わせればどんな車種でも辻褄合わせを 行ってさえいれば定番である、と考えますよ。
…こういっては何ですが、グランドアクシス系のチューンだと前述の圧縮 「圧力」云々の間違った例が多いのと同じで、下手にパーツが選べるせいか ストロークアップについても無茶苦茶な情報が散見されやすいですが_| ̄|○
これもはっきり言わせて頂きますが、ロングストローククランクシャフトを 用いたとしても、各部の辻褄あわせがしっかり出来る人なんてのは20〜30人に1人 居れば良い方だと私は考えていたりしますしね。
ある程度ではなく、きちんとやらないとお金を捨ててエンジンパワーをボケさせる だけになるのがこのあたりのチューンですんで。 ストロークアップさせたらパワーバンド以下のパワーが出てピークはボケた、とか わけのわからん事になるのは大抵の場合、ちゃんと調整出来てないからです。 表現としての「トルク型になる」なんて私から言わせれば大爆笑レベルなので(笑
> こんなに悩むんなら、JF06の100ccエンジンをチューニングした方が効果絶大かも > 知れませんね(笑)
…これも夢を壊す様で申し訳ありませんが、リード100エンジンだとしても ノーマル状態の特性等をしっかり把握し、仮にポートタイミングとかって一体 どうなっているのか、を分析していないと、ただ排気量がでかいだけの物に なりかねません。
前述のグランドアクシス系なんてまさにその典型例なのですが、それなりの 排気量があるからこそ大きな間違いがあっても普通に乗るのにはそこまで問題が 無い位に留まってしまう、というのがミソなんです。
これが50ccベースの60や70cc程度だとそうは行かず、ボアストロークアップで 変化する排気量等も原付二種ベースとは比較にならない位比率がでかいので、 世の中甘くは無いです、という事だったりしますけれどね〜
> もしロングクランク導入の経験が御有りなら、 > 今のところ、ロングクランクの導入を考えていますので、お力添えお願いします。
これに関しては、ホンダヤマハスズキ問わず、かなりの車種にてボアアップや ストロークアップ、もしくはその両方を用いた辻褄合わせの設計や改良を行って きた経験はあります、と記しておきます。
…これまた他人様を馬鹿にするワケではありませんが、やりたいけど前述の様な 辻褄合わせのやり方がわからない、といった方から依頼を受けることも珍しくは ありませんし、基本は分かっているつもりなので車種や仕様を問わずやれるのが 私の武器でもある、とは自負しておりますんで(笑
当然ですが、巷に溢れている様な適当な事は行いませんし、間違ってもいないと 考えていますし調整の上で齟齬や限界があれば「どこを妥協するか」の見極めも 出来る事は出来ます、という事で…
一応、多少の対価は頂戴しますが仕様変更に伴う分析や加工、調整等も個人的に お受けしてはおりますんでどうしてもダメだった、という事になれば私の力で 宜しければお貸しする事も可能なのでよろしくです。
が、重ねて申しますがご自身にて各部のあれこれを理解した上でチャレンジしたい、 加工は無理な点があってもこうしたい、といった指標を形作りたいという事で あればアドバイスはさせて頂きますので。
ではでは、今回はこんなところで失礼します。 管理人でした〜
P・S 画像は自作エアクリでしょうか?根元がユニフィルターの接続部になってたり するのが素敵だと思いますよ〜 が、容量はもうちょっと大きい方が融通が利きそうな気がします(汗
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