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記事No 7142
タイトル Re^3: 謎の圧縮漏れ
投稿日 : 2017/04/01(Sat) 20:41:33
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先
ゅぅ@ジョルノさん毎度でございます〜
さてさて今日もいつものレスをば。


> おそらくボアアップ後のホーニングで削りすぎたんだと思います。どれくらい削ったのかは分かりませんが、0.3mm削っただけでも1mm近く直径広がってしまうので。そうなのかなぁと。

ホーニング、というのはあくまで砥石での研磨、という事ですよね?
3本爪タイプの物で加工されたみたいですが、これでシリンダー内径を
0.3oも広げるとなればかなりの時間が掛かると思いますよ。

あくまで、ホーニング加工というのはシリンダーの内壁を「研いで」いき、
1/100単位での微調整を行う加工なのであって、砥石を用いた場合では
いくらなんでもそこまではシリンダー内壁は広がらないかなとも。

仮に、オーバーサイズピストンで0.25o分シリンダー内径を拡大する場合だと、
こういった場合は砥石ではなく「刃物」で切削していった後で砥石の
微調整を行うものですから、DIY加工でコンマ1単位での内壁拡大が
行えるとはちょっと考えづらいですしね。


…が、これって人によりけりかもしれませんが、DIYホーニングの場合は
砥石をシリンダー内に入れて回転させながら上下させますが、それでも
加工時間は数秒間程度が限度であって、それで内壁がどうにもならない
状態ならばすでに砥石では解決出来ない破損状態である、とも言えます。

もしも数十秒間といった単位で砥石をがんがん突っ込んでいたのであれば
シリンダー内壁がコンマ1単位で広がってしまうのも分からなくは
無いのですが…ハンドツールでそこまでやってしまうとシリンダー内壁の
精度はもはやべっこべこになってしまいまともに使えるレベルでは
無くなってしまいますから注意ですね。

あの手の道具はあくまで気休めレベル、もしくはピストンのアルミ粉が
シリンダー内壁側にちょっとくっついている、といった物をこそげ取る
ツールなのであって、内燃機屋さんの精度を出しつつの真円加工とは
全く違う物である、といった点はご留意下さいな。


>そして、バラす前は圧縮出てたのは合口の位置が上手い具合に圧縮抜けない場所に収まってたのかなぁとか。なんか現実的で無い気がしますが、無理矢理納得するか無かったことにしないと気持ち的に先に進みづらいという^^;

うーん、私はこういうのはきちんとそうなった要因を突き止めておく
べきだと思いますけれどね〜
今後同じ様な事が起こった場合にはまた同じワケの分からなさを
経験してしまう事になりますから(泣


> プラスチックノギスなので精度は微妙ですが0.1mm弱幅が減っている感じではありました。 ただ読み方で結構誤差出るのでなんとも言えない感じです。

リング側の幅の減りだと、0.1oの磨耗があるか無いかの状態では
合口隙間の数値はそこまで大きな変動は起こらないんですよ。
ボア径にもよりますがよくいっても0.1〜0.2oとかです。
なので、その数値だけを拝見する限りではリングの磨耗によるモノでは
無さそうかな、とは思えますが…これはシリンダー内壁側の可能性が
高いかもしれませんね。


> これ、三叉の砥石が付いてる電動ドライバーに付けるタイプのものでやりました。それもダメだったんでしょうね。その後割りと普通に走ってたんですけどね。リング欠損など無かったですし。合口隙間は2本ともに同じくらいの数値でした。

リング合口部に欠損は無かったとの事なので、これはなんとも感覚的には
理解しがたいですが、シリンダー内壁が異常なまでに広がっていると
いった結論を出さざるを得ないかなとも(汗

…そんなにリングの合口隙間が広がるまで砥石でシリンダーの内壁を
広げていける、というのはどうにも腑に落ちづらいです。
私も昔実験でやった事ありますが、そこまで行く前に砥石が磨耗して
無くなってしまいましたんで(笑

が、そこまで内壁が広がっているならば新しい方のピストンを入れると
あからさまにすっこすこになっていると思いますよ。


> ちなみに、激安キットだと補修パーツの販売がないですが、リングだけ買いたい場合、流用できるものって情報お持ちですか?
> ホンダでは、スーパーカブ100, クロスカブ, Dio110, スペイシー100, Zoomer-X, ベンリィ110プロ, NAVI110 (インド), MOOVE (タイ), WAVE100-S (タイ), Scoopy110i (タイ) がボア50φというのは分かったんですが、4stピストンだと幅や厚さなど合わないですよね恐らく。アクシス90も50φですが、どうなんでしょう。できればリングは大事なパーツなので品質の高い純正を使いたいです。消耗品ですし。

次にコチラの件ですが…これはちと言葉がきつくなるかもしれませんが、
世の中そんなに甘くは無い、といった点は重々ご理解下さいな。

ご存知かとは思いますが、ピストンリングの構造は2st4stで根本的に
異なるのが基本ですし、ボア径が合っているなら使えるかも、と
いった発想自体、かなり突飛な事であるといった認識になります。

そもそも、同一系統のメーカーや車種だとしても、リングの合口の
構造は異なっている事は当たり前にありますし、リングの厚みや幅も
ピストン側リング溝の設計に合致していないといけません。

トップとセカンドリングで構造が違う場合も多く、トップはキーストン
タイプでセカンドはプレーンリング、というのも定番ですから、
その場合は元々上下異なる設計のリングなので、上下を交換すると
いった事でも成功しないですから。

私自身、同一ボア径で寸法的な流用が可能なもの、となればAF18系の
39φピストンリングにて、NSR50系の物が合致する位しか知りませんし、
純正同士でもなかなかそういうのはある物ではありませんしね。


なおアクシス90系だとリングは50φですが…実はその台湾系の50φの
ピストンはそのヤマハ系のコピー品っぽいので、ひょっとしたら合う
可能性はあるかもしれませんよ。

ただし、私の場合だとゅぅ@ジョルノさんのおっしゃる通り、その手の
リード90コピータイプの加工ボアアップシリンダーを用いる場合は、
「最初から3WF系の純正50φピストンとリングを用いて」物をこしらえます。
同一品の入手すら怪しい台湾系ピストンやリングなんてのは最初から
そのまま使う選択肢に入れていない、という事で…

50φシリンダーだけ使って加工ベースにする、といった事ですし、実際には
ある程度の辻褄を合わせる事が可能なので、過去に何度かその手法にて
50φ系のシリンダーを作成した事はありますよ。
過去の事例では、社外品コピーの50φシリンダーに対してはヤマハ純正の
50φピストンにてピストンクリアランスがオーバー過ぎる、という事は
無かったので、精密ホーニング加工にてシリンダーを広げるだけで
クリアランス的には調整は可能だった、といった点も付け加えておきます。


なお、加工修正は必須ですが純正品ベースを旨とするのであれば、
リード90の純正48φシリンダーを50φまでボーリングし、その上で
ヤマハ50φピストンを用いた設計&修正を行う、といった手法もありです。
これだとシリンダーから全て純正流用加工になるので、安心感はもはや
言うまでもありませんしね。
かつ、ボーリング前提なのでベースシリンダーは焼き付いていても
構いませんし…48φのままで各部の辻褄を合わせるのも出来なくは
無いですが50φより面倒です。

ただし、お察しの通り作成コストは安価ボアアップの修正とは比較には
なりませんが、安心や信頼性を旨とするならばそういった所にこそ
コストを掛けるべきである、というのは私のスタンスをご存知であれば
ご理解頂けるかなと思いますよ。

かつ、これは私自身にて得た各ノウハウがあっての前提ですから、仮に
手法のみをお伝えしてもそれが確実に形になるかどうかはまた別の話で
ある、という点はご留意をば。

参考までに↓に写真添付しておきますが、おそらく同系統のリードコピーの
50φシリンダーベースで、ヤマハ3VRのピストン刻印も見えると思います。
ただし、これは後にシリンダー上面カット加工を行った上で、ピストンも
スカート部を切り詰めていく工程が残っているので完成品ではありません。


> シリンダーとピストンのクリアランスはある程度あって良いとのことで安心しました。
> とりあえず2代目キットを組んでみて圧縮測ってみたら12kg出てました。(このゲージではノーマルシリンダーだと9kg)
> 2千回転アイドリング10分ほど、4千回転アイドリング30分ほど、のち実走行6kmほどで慣らしてきました。
> 早速6500回転ほどで軽い抱き付きによる失速を起こし、慌てて軽く冷やし、その後は5000回転前後で帰りました。

写真拝見しましたが、新しいボアアップでの慣らし後の状態なのですね。
…これ、個人的観点ではとてもアタリが軽いとは言えないと感じますが。
正直、これだと焼き付き寸前と言いますか軽くロックしているといった
レベルは超えていると思われます。

前回の写真のレベルであればまだなんとか、といった感じでしたが、
今回のピストンを拝見しますに、熱膨張が大きくなるピストンの上の方は
そこそこ無事である事から、内燃機としての熱量によってボン、と
なっていった事は高くは無いです。

しかし、寸法的に大きなピストンの前後方向、かつ下の方がギタギタに
なっている点から見ても、これはピストンクリアランスがあまりにも
狭すぎる状態であって、熱膨張でやられる以前の段階でしょう。


…また言葉が辛辣で申し訳ありませんが、確かに私は「ピストンクリアランスが
ある程度あればOK」とは記しましたが、それはきちんと計測&調整を行い、かつ
「許容範囲より広めなのは問題はほぼ出ない」という事なのであって、
現状ではどう見てもおかしすぎるレベルであり、運用云々以前の状態にしか
なっていないと断言しても良いです。
当然、ある程度の許容範囲であれば写真の様な具合にはまずなりません。

もちろん、一度火を入れてこういった状態になったのであればこれから
対策を施さないといけませんが、これはそうなる前に内燃機屋さんに
出してピストンクリアランスの調整を行っていないといけないんですよ。

その上で多少の焼き付が出たのと、最初から危ない状態になったのでは
天と地ほどの差が出てしまいますし、せっかく購入した新しいボアアップ
キットをまたトラブらせてしまったのでは悲しいですしね…


> 当たりは写真の通りで、軽い感じなので、オイル溜まりの穴を2,3個追加しつつ磨いて、回転数ちょっと上げつつ、また様子見慣らしをしようと思います。
> 今度こそ問題なく日常使用できるように仕上がったら、WPC,DLC,モリショットなどのコーティング加工にも手を出して耐性・寿命を上げようと考えています。

こちらもちょっとツッコミを入れさせて頂きますが…ピストンへのオイル
穴通路加工とかをマメに行われているのは見て取れますが、こういった
加工修正というのはあくまで気休めレベル、おまじないレベルであって
「他の基本的なところ」をしっかりと修正した後で駄目押しにて追加して
いくものであり、言葉悪いですがこういった「小細工」でエンジン自体の
根本的な点を改善しようとするのは全くもって意味がありません。

もっとはっきり言えば、オイル穴加工やコーティングの類でピストン
クリアランスの不整合を根本から解決する事は出来ません、と
いう事に他なりませんので…

ゅぅ@ジョルノさんご自身がおっしゃる様に、耐久性や寿命をそれなりに
出したいという事であれば、そういった小細工を行う前に内燃機屋さんに
出してみるとかの手法が先立って必須なのであり、それが出来ていない、
もしくは社外品だとある程度行けているであろう、と考えているので
あればそれは大間違いなんですよ。

少なくとも、新しいボアアップキットを購入し、かつコーティング系の
加工に出すつもりのコストがあればピストンクリアランス調整の
精密ホーニング加工に出すお金にはなると思います。

このあたりは私だけが細かいとか厳しいとかではなく、エンジンに対する
理解や取り組み方であまりにも適当な手法が蔓延しているだけだ、と
はっきり言いたいのですが…基本のあれこれすら出さずに二次的修正や
加工のあれこれのみでモノを語る人の言う事は全部は鵜呑みにしない方が
良い、とだけは記しておきます。


で、あくまで参考までに、ですが私が新しいボアアップキットを目の前に
したらまず何をどうするか、というのをざっとだけ記しておきますね。

まず各部を計測してノーマルとの寸法差異を理解し、その上でポン付けした
状態を仮定しポートタイミングと圧縮比がどうなるのかを計算して行きます。
次に、ポン付けで異常な数値になるところの改善を考慮し、その場合に
可能な限り加工修正が小さくなる様な加工寸法を導き出してやります。

その上でオーナーの方の希望があればその希望に沿うポートタイミングや
圧縮比を付与し、ヘッドも作成して「特性の付与」は完成です。

次にピストンクリアランスを計測し、ピストンの形状や材質を見極め、
この位のクリアランスが欲しいな、と数値を決めた上で、それに対して
足らないならば内燃機屋さんに出してシリンダーを内径研磨での
精密ホーニング加工を施し、加工から帰ってきたら自分側でも
加工データシートと見比べた再計測を行います。

それが全て仕上がればやっと完成になりますが…これは別にパワーを
上げようとか特性を大きく変えようとかしてやっているのではなく、
「エンジンとしての基本的なバランス」を持たせる為の加工修正に
なりますから、エンジンにとってはこれが最低限であり、かつ純正品に
近いバランスを持たせているだけの工程である、という事になりますね。


> とりあえず2代目キットを組んでみて圧縮測ってみたら12kg出てました。(このゲージではノーマルシリンダーだと9kg)

最後にまたツッコミで申し訳ありませんが、新しいボアアップキットを
計測すると12kgの圧力があったのでしょうか。
これだとノーマル時と比べて1.3倍もの数値になっていますが…
個人的にはこれでは即座にぶっ壊れてもおかしくないレベルでは、と
推測してしまいますね。

こういった場合、とりあえずはノーマル数値と同じ位にまで戻して
走ってみるのがベターではありませんか?
デンジャラスな面を抱えたまま走行&慣らしを行っても余計に悪化して
しまっては元も子も無いかとも。
せめて、真っ当に走っていた以前のボアアップキットの数値と同じ位に
調整はすべきでしょうね。

…何度も記しますが、私はそういった面での圧力計測はほぼ無意味に
なっていると考えているので正直アテになるとは考えてはいませんが、
圧力を基本の基準としていると絶対に真っ当な方向には進まない、と
断言しても良いのでこの点だけはご留意下さいませ。

いくつもそのボアアップキットを使って、自身のゲージでどれ位の
値になるのか、のノウハウがあればまだマシですがそれが溜まっていない
状態ならばあまりに過信するのは命取りです、という事で。
別に排気量が大きいからと言って、冷間時の圧力がかなり増大するとか
そういったモノでもありませんので、ね…


と、今回はちょっと厳しくなってしまいましたが。
写真を拝見する限り、ではありますがこの状態でなんとかいけそう、と
いった感覚で物事を進められているのがちょっと引っかかりまして。
さすがにそれは不味いであろう、と感じましたのでご容赦下さい。

私はゅぅ@ジョルノさんを貶めたり嫌味を言ったりするのが目的では
なく、不要な失敗や要らぬ回り道をして欲しく無いからこその文面で
ある、といった点はどうかご理解頂きたく思います。

ではでは、長くなりましたが今回はこの辺りで失礼しますね。
管理人でした〜


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