ゅぅ@ジョルノさん毎度でございます〜 レース後なので脳味噌内部がFNマシンモードになってる管理人ですが 早速今日もいつものレスをば。
> 貶めたり嫌味なんてとんでもない!いつも凄く丁寧に細かくご返信いただいて感謝しかないです!今回のレスもネットでは中々得ることができない深い内容を教えていただき感動しました。
いえいえ、そういって頂ければ嬉しいですよ。 どうしても個人的に必要となれば言葉はきつくなってしまいますし、 短文や分かりづらい文体で曲解を招く様な事だけは避けたいので… このあたりは留意の上で宜しくお願い致しますね。
> はい、確かSTRAIGHTのホーニングツールです。 > 数十秒どころか数分単位でかけてガリ傷を消していました。笑 > 1個めのシリンダーはオーバーサイズピストンを入手しない限りはお蔵入りですね。笑
以前のシリンダーのホーニング具合ですが、3本砥石のタイプでかつ 数分単位でごりごり行った、となれば間違いなくそれが原因です(泣
あれは砥石なのでそれなりに削れてしまう物ですし、ドリルでやったならば 回転数もそれなりの物だったかと思いますんで…それであればシリンダーの 内径を計測すると0.3oとか広がっていても決しておかしくは無いでしょう。
この手のツールはですね、私はフレックスホーンしか使わないのですが それでも低回転で十分に切削油を用いた上で一度に数秒程度、ですから。 その上でキズ等の具合を見ながら徐々に施工していくものであって、 一気にぎゅいーん、とやるモノではない、といった点は記しておきますね。
> ですよね〜。試しにモンキー用の50φキットのリングやデイトナのものを買ってみましたが全く違いました。新品のままオク転売でもしようと思います。
リングですが世の中はそういう物なので(泣 だからこそ、パーツ同士の他車流用が効く、なんてのは本来はかなりの レアケースであって、先人の多大なる犠牲や検証によって成り立っている、と いった点は忘れてはいけないな、と私は常々思っておりますよ。
だからこそ、私は自身のノウハウ等でもあまり出し惜しみしたくは無いと いうだけのオチなのですけれどね(笑
> TKRJがピストンキットの寸法データを公開していましたので、手元のピストンを測ってみたところ、ピストンピン径、圧縮高がほぼ同じでしたので、3VRのピストン・リング・ピン一式をバイク屋で発注しました。 > ttp://www.tkrj.co.jp/jp/goods/m-AY0300X-3WF-.php > スカートだけ3VRの方が長いので、干渉するようなら削ろうと思っています。グラインダーでは精度的にやばいですかね?
早速TKRJ製品を発注されましたか〜 モノによるかとは思いますが社外50φに対して3VRピストンはほぼ同寸と 言っても良いのですが、現物もちゃんと計測した方が良いでしょう。
これ、ピン上寸法が同じでも圧縮高、すなわちピストントップの部分の 「容積」が同じとは限らないので、それを間違っていると圧縮比では モノを考えられなくなりますんで…
なおスカートに関しては、41.4oストロークでも数o程度はカットして やる必要が出てきます。 これはざっとだけならグラインダーでも良いですが、最終的には手作業と 鉄やすりでも良いので、削りながらピストンをガラスの上にでも置いてみて ある程度の精度が出ている事を確かめながら加工すると良いでしょう。
さらに、これは無かったはずですがリングの合口ピンの位置、これが シリンダーの第2掃気と第3掃気の間の部分にきちんと来ていないと リングがヤバい事になるのでここも注意です。 と言いますか、ピストンの流用の折に一番最初に見極めなくては ならないのがこの合口ピンの位置で、他はある程度どうとでもなりますが これが決定的に違っているとどうにも出来ないんですよね…
> 初めて知りましたが、YAMAHAはiPhoneアプリでパーツ在庫と価格が確認できるんですね。感動しました。HONDAも見習ってもらいたいものです。
そうですね、ヤマハ以外にはカワサキも純正部品の検索が出来ますが、 ホンダとスズキは出来ないのは残念です(泣 …ホンダさんはそうそう簡単に調べられては困る理由があるのではと 思いますが、それでも昔の様にパーツリストを買わないと何も調べる事が 出来なかった時代よりははるかにマシという。
> TKRJ では 0.25mm 刻みでオーバーサイズを出しているようですが、このメーカーのピストンの品質ってどうなんでしょう?
これはですね、私がいくつかのタイプを計測したりしてきた限りでは 精度そのものには悪い点は無いレベルで、材質も粗悪というワケでは ありませんね。
リングそのものもさすがに安物社外品は比較にならないレベルですし、 台湾系製品の様にピストンピンが磨耗しまくるという事も無いです(笑
今ではモノによっては純正品そのものよりも安価なモノもありますが、 純正の代替品、とまでは言わなくとも私はそれなりに信頼している 製品ではあります、という事でひとつ。
…が、3VRピストン&リングってまだ純正品でも出ると思いますんで コストが許せばそっちの方が安心は出来るでしょう。
> 今回2社に画像の送付してピストン再利用できそうかどうかと、概算見積もりをお願いしていますが、片方は再利用不可、片方はWPC&MOS2で使えそうとのことでした。
うーん、こういうのは実際に現物を見ないと完全なる分析は 出来ませんから過度の期待はしない方が良いでしょうね。 とはいえ、表面処理を行うのであれば元のピストン寸法として 問題無いところに収まっている、というのが大前提なので、やると すればシリンダー側とのピストンクリアランスの調整が先になります。
> 加工処理の指示も何をどうお願いして良いのか分かりませんが、何かこう指示するべきみたいなポイントってありますか?
内燃機屋さんの出すのであれば正直、文面では書ききれないくらいの コツやツボは大量にあるんですよね(汗
まずはピストンクリアランス調整の為の精密ホーニングですが、これは 内燃機屋さんがどれ位の「勘定」を持って数値を決めるのか、は 所によってバラバラなのでまずこれが問題になります。
何も考えずに純正値と同じ位の5/100でOKとするところもありますし、 ちゃんとピストンの上の方と下の方の寸法差を計測し、その上で 余裕がこれくらいあればOK、とする所もあります。
かつ、社外品の混じりっ気の無いアルミピカピカのピストンなんかだと、 純正品よりははるかに熱膨張率は大きいのでその分クリアランスには 余裕を付与してやらねばなりませんし。
私は、ですがこれは自身のノウハウを最優先するので数値そのものは 決定した上でこれだけのクリアランスにしてくれ、といった発注の 仕方なのですが…これば計測器具とそれをちゃんと使える技量が 無いとノウハウだけあっても意味が無いので。
が、一応は3VRピストンの純正品といった勘定でモノを考えますと、 6/100〜8/100程度を「最低でも」取っておいた方がベターでしょう。 基本的にチューニングエンジンであり、かつ社外品のピストンや シリンダーを用いる場合は、ピストンの寸胴具合等にもよりますが 純正ちっくなクリアランスではまず安心は出来ない、といった点を 考慮しないといけませんので。
これもまず、3VRピストンの「一番太い所」と社外50φのシリンダーの 内径を計測するのが先決ですが、まずはこの計測数値を内燃機屋さんに 伺ってみる方向性を取ると良いでしょう。 いきなり「○/100で調整してほしい」と頼むのではなく、現状を 把握しつつ話を進めた方が、言葉が悪いですが「勝手な勘定」で モノを仕上げられる可能性も低くなりますんで、ね。
>また、WPCだけで充分なのか、WPC&MOS2をやった方が良いのかなどアドバイスいただけると幸いです。
表面処理ですが、まずWPCは精密ショットピーニング加工ですよね。 これは「金属疲労に対する強度」を上げる物だと認識していますが… これを施工したからと言って、シリンダーの歪みが低減されたりは しませんし、元々穴だらけの2stシリンダーでは気休めレベルにしか ならないでしょう。
ピストン側に施工しても、表面処理部分ごと磨耗してくる方がはるかに 問題ですから、一般的な金属部品への施工の様には長期的なメリットは ありませんね。
なお、ピストンクリアランスを調整後、慣らしを行った後には 一度は腰上を開けてアタリを確認すると思いますが、その折には ピストン側を多少は手作業で修正していくはずでして…その時点で 表面処理の部分はかなりこそげ取ってしまう事になります。
次にMOS2、モリブデンショットだと解釈しますがこちらはピストン リングに対しての施工であれば、排気ポートのカドに対しての 攻撃性を和らげる事は出来るでしょう。
ただしこれもリングが磨耗しきるまでの話であって、個人的経験では 排気ポート弦長がかなり広く、どうあってもリング折損のリスクの高い 設計の様な場合は、リングや「加工済み&慣らし済み」のシリンダーと 言いますか排気ポート周辺も含めて施工を行えば、そういった面での リング折損のリスクは低減する事が出来るかなと。
…はっきり申しますと、磨耗によるパーツ交換が2stほど頻繁でない 4stエンジンならばまだそれだけの施工コストをかけるだけの意義も あるかと思いますが、数千kmで交換が前提の2stチューニングエンジンに 対して、毎回そのコストをかけた特殊処理の施工を行えますか?と いった点が重要になります。
こういうのは「一度施工したら長持ちする」のではなく、パーツそのものは それなりに磨耗&劣化していきますから…以前のお話の様にリング合口の クリアランスが1oとか広がる位にまで磨耗しているのにこういった 特殊処理をしているからまだいける、とかってのは物理的にありえない 夢物語になりますんで、ね。
シリンダー側にならばまだ施工する意味はあるかと思いますが、それも エンジン腰上の設計をきちんと行い、かつピストンクリアランスを調整した 上で慣らし&運用し、これでバッチリだ、といった状態を作り上げてから 「ダメ押し」の様な感じで最後に施工を行うものなんです。 間違っても、まだどう転ぶか分からないシリンダーやピストンに対して いきなり施工しておく、というのは私から見れば意味が分からない レベルなので…
これは文字通り夢を壊す様で申し訳ありませんが、はっきり申しますが そんなところに先にコストをかける前に、ピストンクリアランスの調整を 精密ホーニングにて行い、安定運用出来る様になったその「後」で 特殊施工を行うかどうかを決定していかないと、最初に同時にやっても 無駄とまでは言いませんがほぼ無意味である、とは断言しても良いです。
…私はこういうのは別に嫌いではありませんが、他をきちんとした上で 保険や気休めの様な感じで行うものであり、間違ってもこういった 特殊施工が「焼き付きを低減する」とか「耐久性が上がる」とかを 期待してやるものではない、と考えていますので。 そういった物で基本がダメなエンジンをカバーできれば誰も困ったりは しませんのでね(泣 言葉を返せば、それらの特殊施工が無いとダメ、というパターンであれば 元々の設計に無理がありすぎるだけだ、という事です。
私ならばそれらの施工コストを掛けるのであれば、同じピストンを もう一個買っておいて予備の保険もしくは磨耗時のスペアとしますよ(笑 間違いなくそちらの方が恒常的な運用品にかけられるコストとしては 建設的だと思いますんで、ね…
> こちらもこれだけで有料情報にしても良いくらいの内容を教えていただきありがとうございます!精密測定器具が高くて揃えられないことや経験などからトレースすることは難しいとは思いますが、やはり内燃機屋には出さないといけないということは凄く為になるノウハウです。
いえいえ、これは中古で良いので計測器具を揃えて行き、要らない パーツとかで計測を練習すれば誰でも出来る様になると思います。 実際、過去に当サイトやメールでのやりとりを行った方々でも、 一から始めて色々出来る様になった方も何人もおられますんで。
こういうのは皆、最初から出来る環境や技術があるのではなく、 努力した上で出来る様になっている、といった点は忘れては いけないと思いますよ。
> はい、2個めのキットで12kg出ていました。そこもまた謎な部分があるのですが、1個めのキットの1度抱き付き後の計測では8kgでした。 > そして、1個めのヘッドを0.6mmほど面研しているのですが、そのヘッドを2個めのシリンダーに合わせて計測しても12kgでした。
…これまた言葉が厳しくなりますが、圧力計測での比較を行うならば 新旧2セットのシリンダー&ピストンが、「双方共に設計、寸法において 全く同一な物である」事が前提で無いと、圧力による状態の比較は なかなか正確には出来ません。
私が圧力計測値をアテにするのを推奨していないのはそこにも理由が ある訳でして、製品としての寸法、品質が安定している純正部品の フルノーマル同士ならまだしも、そうではない社外品に対して圧力の 云々で勘定を取っていくのは結果的に遠回りをするだけだ、と いう事です。
なお「面研を行った」ヘッドを用いた状態で、2個目のシリンダーに 対して組んだ上で圧力が変わらない、というのならば…正直、その程度の ヘッド容積変化に対しては圧力計測数値は計測誤差にすらならない、と いった事を如実に表していますよね?
これは磨耗や劣化の比較ではなく、容積をダウンさせた(はず)の ヘッドを交換し、その上で圧力計測にて「特性比較」を行っている 事になりますが、私はコンテンツ内でも述べている通り圧力はそういった 指標とすべき数値にはなりえない、というだけです。
>キットの精度のばらつきやスキッシュエリアの取り方がロットで違うのか、はたまたコンプレッションゲージが安物でクソなのか…。
こちらはそういった疑いがあるのであれば、面研済みのヘッドと無加工の ヘッドの容積なりを計測比較してみる事が一番です。
はっきり言えば、そういった事も行わずにゲージ計測に頼っている、と いったスタンスであれば絶対にエンジンの基本を学んで行く事は出来ず、 ゲージ数値で明らかなる差異が出る位にまでヘッド容積を小さくし、 デンジャラス状態を作り上げた上ですぐにボン、となるのが関の山でしょう。
これは申し訳ありませんが、ゅぅ@ジョルノさんの段階であるならば コンプレッションゲージを用いて何かを測るといった手法自体をしばらく 封印された方が間違いなく上手く行くと思いますよ。
…私にしても、別に何が何でもコンプレッションゲージを否定したいワケでは ありませんが、こうやって取り組み方がズレていく様な方が出てきてしまう 事自体が圧力ゲージ信者による弊害であろう、とは強く感じておりますのでね。
> ただ、1個めのシリンダーよりも2個めのシリンダーの方が、気持ち高さが低いような気もします。0.3~5mmくらい。
これはその位シリンダー全長が異なるのであれば、排気ポートの 「シリンダー上面からの高さ」にしても、双方のシリンダーで数値が 同等であってもポートタイミングも圧縮比も違ってきますね。
仮に0.5oもシリンダー全長に差異があるのであれば、それはガスケットの 一枚分くらいの寸法差にはなるワケですから、そういった所って 無視したり気のせいで済ませてはいけない部類になりますよ。
これはガラス板の上にヘッドガスケット面をくっつけてシリンダーを置き、 ヘッドボルト貫通穴からノギスのお尻を差し込んで計測すると分かりやすいです。 シリンダー上面&下面をノギスで挟み込んで計測すると誤差が出やすいので、 私はそうやって計測していますよ。
> そうですね、ヘッドガスケットを何種類か揃えてみたいと思います。KN企画が3WF用のヘッドガスケット4種類セットを売っていますが、これ合いますよね? > ttp://store.shopping.yahoo.co.jp/webike/9678024.html?sc_e=slga_pla
ん?これってJOG90系用ですよね?ヘッドボルト穴のPCDってDio系エンジンと かなり違うと思いますが… 私は50φでホンダ用のヘッドガスケットが欲しい時には、リード90用の 純正48φ品の内径を適当に拡大して使ったりしますね。
なお、ヘッドガスケットの厚みを変更しつつ、圧力計測で具合を合わせて 行こうとされているのであればそれは私からは推奨しないですよ。 それをやるとかなりデンジャラスな領域に入らないと数値がどかんと 上がらない、イコールノーマルより高くなっていない、と錯覚してしまう 事が大半ですので。
それをやろうとするならば、少なくともAF18系エンジンでその50φ社外品 ボアアップキットを運用しており、かつ同一メーカーのゲージを使って データを持っている方に詳しくお話を伺うべきでしょう。 ただし、それで上手く行かせられる「アドバイス」が出来る人なんてまず おられないと私は思いますけれど、ね…
> 書き忘れましたが、スカートの長さ調整ってコンロッドにピストン組んでみて、手回ししてみてクランクケース側で干渉しなければ大丈夫という認識で問題ないでしょうか?
最後にコチラですが、手法としてはそれでOKですよ。 AF18系エンジンだとリードブロック装着穴から覗いても、ノーマルピストンが 下死点ではどれ位の余裕があるのかは確認出来ますし、その上で寸法比較を 行った上で現物合わせのカットで良いでしょう。
コンロッド小端&大端部というのは上下方向には0.1oもガタがあっては いけないものなので、ピストンスカート下部とクランクウェブの余裕は 1o取っておけば十分だと思いますよ。
ではでは…今回もズバズバとモノを記してしまいしたがご容赦をば(汗 圧力云々で物事を進めようとしている方だと、これ位はっきり記して いかないと納得頂けない事が多いので。
とにもかくにも、少しずつでも「取り組み方の可否」も含めて経験を 積んで行かれると宜しいかと思いますよ。
では今回はこれにて失礼をば。 管理人でした〜
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