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記事No 7156
タイトル Re^11: クリアランスについて
投稿日 : 2017/04/15(Sat) 01:48:17
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先
ゅぅ@ジョルノさん毎度でございます〜
…何かかなりヤバそうな症状が出ているみたいですがエンジンがきちんと
出来るまでは発作を抑えた方が良いかなとも(笑


さてさて、内燃機屋さんの計測結果を早速拝見しましたが…
そこまで無茶な物でなくてなんとなくほっとしておりますよ〜


> 結果、シックネスゲージと大分ズレがありました。全然あてにならないのですね。逆に安心しました。もうちょっと測定の位置を考えて測ればよかったですが。

そうですね、こればかりは前述の通り、きちんとした計測器を使っても
温度や人間のウデの差でも誤差は出てくるものなので。
測定位置に関してはこれもまた正確な物事の機微、という物を知って
いなければ器具だけがあってもほぼ意味は無い、という事で…(汗


> 計測結果を見ると、シリンダーが真円になっていませんが、クリアランスについてのコンテンツで書かれている、「ザラにある」シリンダーですね。

シリンダーを2個計測した結果で、かつどちらもそれなりの内径寸法の
ばらつきがあった、といった結果の様ですが、おっしゃる通り社外品の
シリンダーならこんなのザラにあって当然なんですよね。
…こんな精度で焼き付きがどうこう、安定がどうこうなんて語っていても
無意味に等しい、といった点は正確な計測に基づく数値を確認すれば
私がくどくど言っている意味が分かって頂けたかなと思いますです(笑


>シリンダーが20mmの位置で、49.97mm しか無いのであれば、台湾ピストンの最大径が49.95mmで寸胴ピストンだったと仮定すると、2/100のクリアランスしかなく、抱き付いたのも納得がいきますね。

えっと、これはちと解釈が違いますね。
シリンダー上面から20oの位置の内径寸法が49.97oなのであれば、ピストン側の
最大径というのは大抵はかなり「下の方」なので、実際のエンジンとしての
実働時にはその「ピストンの下の方」がシリンダー上面から20oの位置にまで
来る事は無いので、その寸法位置同士が焼き付く、という事は物理的には
ありえませんので。


> ピストンは最大径しか来てないので、再度ピストントップから、10mm, 36mm(ピン穴中心), 53mm(スカート下端から5mm) の位置の前後幅の径を測るように依頼しています。

最大径となる部位は主にピストンのスカート下端から5〜10o以内の所に
来るのが基本なのですが、これは上の方から下の方までの前後幅をいくつか
測った上で、一番太い所を決定しているはずです。

なお、私の言っているピストンの最小径となる部位は、トップリングの
装着位置のさらに上、「肩」の真下あたりなので計測依頼されている
上から10o点、ではなくもっと上の方が良いでしょう。
トップリング上にマイクロメーターを置く様な計測方法になるはずです。

スカート下端から5o点、というのも一つの目安ではありますが、この3VR
ピストンの場合は、装着においてスカート部を4〜5oはカットしなくては
いけない、といった点はお忘れなき様に。
ただし、5o程度ならば計測位置が違っても寸法的には0.05oもは違わないので
それでもいけるとは思えますけれどね。

…しかしこの計測図示、シリンダー上面から100o点、という数値ありますが
これだと横方向はスリーブが無くて測れないのでは、と思いますが(汗


> 3VR ピストンを加工ベースにお願いする予定ですが、依頼内容は、純正ピストンなので寸胴ではないとして、スカート部の 49.955mm を考慮し、
>
> 上から 10mm 位置の前後幅が 49.65mm の場合は 7/100、49.75mm の場合は 8/100、で真円にするという具合に 0.1 mm 差が縮まる毎に 1/100 クリアランスを拡げる。
>
> という感じで問題ないでしょうか?

こちらもちと補足させて頂きますが、私の言う「ピストンの寸胴具合」というのは
上の方と下の方が同一寸法に近い、といった意味合いでは無いんですよ(汗

あくまで表現として寸胴ちっく、といった表現を出しているだけであって、実際の
ピストンというモノはその具合の差はあれ、上の方と下の方が同一寸法に近い、
といった物はまず存在しないです。


個人的な手元の3VR新品ピストンの計測数値だと、

・上(肩部分の直下)=49.612o
・中(ピストンピン穴位置)=49.918o
・下(スカート下端から10o点)=49.950o

といった感じですね。
千分台の数値は目見当なので無視でOKですが(笑


なので、このピストンの場合は「上の方と下の方の寸法差」がおおむね
「0.34o」程度ありまして…
50φピストンにおいてこの位の上下差であれば、寸胴ではなく結構な
円錐台形状を保っている、十分な合格点の寸法差が設けられている
ピストン設計である、といった分析になります。
(…こういうのは純正、社外、各サイズ、各車種等を色々知らないと
判断のしようが無い物ですが)

…純正品なので当然と言えば当然ですが、このあたりはいくつも同様の
純正品を計測しても、0.1oもは寸法差異は無い事が大半なので、
まさにこのあたりこそが「純正部品のお値段に見合った精度」という
事になっていますね。

これが、もっとピストン径がでかく、仮に60φあるピストンで上の方と
下の方の寸法差が0.34o程度しかなかったりした場合だと、当然のごとく
この3VRピストンと同一のピストンクリアランスを取った場合には
確実に熱膨張への余裕が少なくなるのでデンジャラスである、という事です。

こういった具合の差であれば、表現としては「3VRの純正的な寸法差よりは
寸胴に近いピストン形状である」と表現していますね。


> 企業秘密で明確なことは書けないのは重々承知していますので根拠は明かさず、そのデータだったらこれくらいのクリアランスなら抱き付きの危険性かなり減らせるよというアドバイスいただけるととても嬉しいですm(_ _)m

で、その「上下寸法差」ですが…この数値がどの位ならばトップ側の熱膨張を
どの位加味してやってクリアランスいくつにするのか、といった点こそが
前述した様なノウハウになるんですよ。

これまた前述した様に、純正品ピストンであれば「混じり物」が多々あり
純アルミに近い様なピストンの材質では無い為、ピストンクリアランス的には
純正レベルにまで詰めてもまあいける範囲では、といった分析にもなって
来ますしね。

なので、シリンダー内径計測数値を鑑み、かつ手元にもある3VRピストンの
寸法が「最近発注した同一純正品」でも公差の範囲に寸法が収まっている、と
いった事を両方ともふまえた上であれば…ピストンクリアランスとしては
7/100〜8/100程度を取っておけば良いのでは、と私は分析します。


正直、純正規定最大値の5/100程度でもいけるかもとは思いますがシリンダー側の
スリーブが薄い事による経年劣化での内径の変形等を加味すれば、
ある程度は余裕を持っておけばベターかな、といった感じでしょうか。

かつ、以前のピストンの材質や、排気量がノーマルの1.6倍にもなる事も鑑み、
ノーマル強制空冷システムの余裕の無さも勘定に入れれば、純正ピストンが
相手とはいえ純正クリアランス準拠で行くには不安があるかとも。

なのでこの場合、シリンダー内径を50.03φ程度の目安でホーニングして
いけば公差も含めた仕上がり寸法となるでしょう。
…というのが個人的な分析、と言うか設計になりますね。


なお、シリンダー側に関しては内径を機械加工でいじくる場合だと、
スリーブの下の方はどうしてもたわんでしまうので、金属バンド等を用い
ある程度薄い部分が広がらない様にした上で加工する、といった手法を
取っている所もあるかと思います。

これは内燃機屋さんの「物の見方」にもよりけりなのですが、この
台湾製50φシリンダーにおいても、元々の状態ですでにシリンダー内径が
上の方と下の方でかなり異なっている、という現状はそういった加工の
手法にもコストや手間を掛けているかどうか、という点が如実に現れて
いたりしますんで。

それにしても、前後方向においてシリンダー上面から30o点と60o点で
内径寸法に0.025oも差が出ている、というのはいくら社外品といえども私の
経験上では結構酷い部類です、といった点は補足しておきますね(汗


最後に、肝心要の問題であった、焼き付き具合の要因としては元々入って
いたピストンの寸法等も取らなければなんとも言えませんが、おそらくは
3VRピストンよりははるかに「寸胴に近い」寸法になっていたかとは
思えますし、かつピストン材質的にも熱膨張が大きめであり、さらに
冷却システムが純正ノーマルのまま、となればいくらキャブセットやオイルで
誤魔化しても無意味な範囲であったであろう、と私は分析してますね…
(シリンダーの内径精度も、ですね)

もちろん、分析した上での8/100クリアランスで絶対に安心である、とは断定は
出来ませんが、運悪く何かが起こるとしても何も計測や対策をせずに壊れて
しまうよりは納得のいくトラブルが起こるであろう、という事で。

こうして、きちんと考えた対策を打った上でトラブルが出てしまった場合は
その後の対策もまた立てやすくなる、というのが建設的なノウハウとなる事を
願いたいですよ。



> そうなのですね、台湾キットも送る前に測れれば素人測定によるややこしい心配の話にならなくって良かったですね。^^;
> 内燃機屋からのデータが来たので今は色々腑に落ちています。
> 今回はこれが顕著に出た結果となりましたね。0.14mm の件については測定の仕方を学んでいくということで、というかマイクロメーター買います。

そして別ツリーの件ですが、おっしゃる通りであれこれする前に計測だけでも
行っておけば色々と割り切る事も出来たかと思いますね。

が…ネタバレみたいになりますがこういった事を懸念された方がおられた場合、
今回のゅぅ@ジョルノさんが私にアドバイスを求められた様に、あれやこれやと
数値等をはっきり出した上で納得され、「次」からは自分でもやってみようと
して器具を購入したり、内燃機屋さんへ足を運んだりされた方、というのは
過去に何人もおられたんですよ。

私はメカニズム的なモノを言う時には良くも悪くもはっきり言いますから、
手前味噌ではありますがそうやって他人様の次なる一歩のきっかけとなった事も
多々ありますんで、ゅぅ@ジョルノさんに対しても何かの足しになって
貰えれば、と考えておりますです。

…私は持論をオラオラ押し付けて聞き手側の意見を意に介さない、なんてのは
大嫌いなのは言うまでも(以下略


> サービスマニュアルについての補足もありがとうございます。使用限度というのは経年劣化的な数値の目安ではなく、それはちょっとおかしいよ的な目安なのですね。

サービスマニュアル記載値については、実際には記載値までパーツが
磨耗してしまうともうとんでもない事になっているというのが
現実だったりしますよ。

単純なところで、ベルトなんかは幅は1mm程度減ったら交換限度、と
なっていますが、これもちゃんとした理由があってそうなっているので
それ以上に減っても平気で走っているとプーリーやら何やらを痛めつけても
当然の報いになっているだけですからねえ…
何かの我慢大会でもやってるのかと(以下略


> 半端ない高回転ですね!そこまで行くと最大回転数は 14,500rpmとか行くのでしょうか?街乗りだと尻への振動で疲労が半端なさそうですね。笑

FS-JOGですが最高回転数は残念ながら試しようがありません(笑
サーキットのストレートエンドでぎりぎり最大変速するかしないか、と
いった調整になっているので、それ以上の回転数を知ろうとすれば
もっと長いストレートが要りますんで(笑

が、パワーは出ませんが別に13500rpm変速とかでも走れる事は走れますし、
さすがにSSマシンの様には行きませんがやろうと思えばその位は行っても
おかしくないかなと思ったり。

ちなみにお察しの通り、振動はハンパないどころかお尻の皮が剥けていく
レベルなので特殊な尻の皮の鍛え方をしていない場合にはこういうのは
お奨め出来ませんね(爆


> JCC は台湾製だと思いますが、使ってらっしゃるということは無名のものよりかは幾分マシで使えるということでしょうか?

そうですね、台湾系のピストンメーカーの品になります。
とはいっても、これは今の時代に44φで流用出来るピストンが無いだけで
あって、私も仕方なくJCCを使って設計しているだけなんですよ…

44φならばヤマハ純正の4輪バギーの「YT60」のピストンを流用して
いくのが縦型JOG系のボーリングボアアップでは定番中の定番でしたが、
これはピストンそのものの強度がイマイチなのと、今ではすでに
廃盤になっているので。

43〜44φならばキタコのピストンでも良いのですが、それなりのコストが
かかる事もあってあえてJCCで作ってみた、という興味本位の設計の
エンジン仕様でもありますしね(笑
なので、パワーの出し方的にはかなり遠慮はしていますよ。

…無名、と言うよりは他のモノに比べてまあまあマシだったから、と
いった点も大きいですが、しばらく前にこのJCCを買っていた所に同じ
ピストンを2個発注したら、KJT製が送られてきて参りました(泣
もうこのサイズのJCC44φは生産されていない様なので、手持ちの物を
使い切ったらまた何か考えないといけませんね。


> これ今他のG'のコンテンツ読んでいたらやはり既にキタコなどで見つけられていたようですね。失礼しましたm(_ _)m

そしてピストンピンですが情報ありがとうございますです。
こういうのは別に情報が重複しても問題は無いどころか、他の選択肢も増えて
いく可能性もあるのでどんどん出して頂ければ、と思いますよ。

ここを見て役に立てるのは私だけとは限りませんし、私はWEB上の有用な
情報はどれだけ重複していても貴重である、と考えてますんで。

ちなみにピストンピンの流用だと、ピンの径と長さが同一でも、実際の
ピンのはじっこの面取り具合によってはクリップがちゃんとはまるか
はまらないか、といったチェック点もあるのでなかなか難しいものです。


後どうでも良い余談ですが、リンク先の一つのKX60、これって43φとして
ホンダAF18系のボーリングボアアップに用いられる事もあったピストンです。

当時の改造レギュレーションである60ccにする為にこれを用いた上で、
シリンダー側をそれなりに調整して流用する、といった手法は数少ない
ホンダAF18系エンジンベースのアルミフレームスクーターでの定番と
なっていたかと。

ただしこれは元がメッキシリンダー相手のピストンなので、前述の様な熱膨張が
云々に対してのあれこれがややこしく、そう簡単に流用が出来るものでは
ありませんが、選択肢の一つではあったという昔話ですね〜


ではでは、いろいろくっついて長くなりましたがまたツッコミあれば
宜しくお願い致しますね。
管理人でした〜

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