[記事リスト] [返信する] [新着記事] [過去ログ] [ワード検索] [留意事項] [管理用]

記事No 7592
タイトル Re^5: 2JA ファイナルギアについてご教授ください
投稿日 : 2018/06/21(Thu) 08:50:53
投稿者 ねぎのリーダー@管理人
参照先
ぱぱさん毎度でございます〜

さて、ファイナルギヤをハイギヤード化する事による発進時の問題ですね。
これはエンジンパワーや駆動系構成にもよりますが、はっきり分かる位にまで
発進加速が低下しているのであれば何らかの対策を行うべきかなと。


> ハイギア化によっておこる0発進〜中速のセットは駆動系かと思いますが、注意点、駆動系内の変更を行なったほうが良いセッティング(ウエイト、クラッチ関係、スプリングなど)のアドバイスをお願いできます幸いです。

まず、おっしゃる通り発進時を主眼としますと、スクーターの総減速比と
いったモノはまずエンジン回転数が駆動系で減速され、2次的にファイナル
ギヤでも減速されてリヤタイヤが回転する訳ですが…

これ、まずはクランクシャフトからリヤタイヤまでの「総減速比」を算出して
おくのが基本となり、それとギヤ交換後の数値を比較していくのが良いでしょう。

仮に、2JAのJOGあたりを例に出しまして…駆動系が最小変速状態での
変速比、すなわち一番ロー発進の状態でおおむね「2.5」あたりとします。
(※これについては後述)

ファイナルギヤはノーマルの「12.828」と、組み換えられた「10.383」の二種類とします。
「総」減速比となると掛け算ですから、単純に

・2JAノーマル=2.5x12.828=「32.07」
・ハイギヤ=2.5x10.383=「25.957」

となります。
要はクランクシャフトが何回回ればリヤタイヤが一回転するか、ですね。

と、この数値だけを見ても基準としてはちと難しく、比較になるモノがないと
分かりづらいのですが、7.2psクラスのスクーターでもこの総減速比は
ノーマルであればおおむね「30」弱とされている事が多いです。

その位あれば、体重が120kgあるとかで無い限り、ノーマルエンジンでも
ある程度スムーズな発進は可能になる、と言えるでしょう。


ただ、組み換えギヤでの総減速比としては26近い数値となりますが…
正直、これだと50ccノーマルパワーでは「発進時には」ちとハイギヤかな、と
思える数値になりますから、これをロー方向にするには発進時の駆動系の
変速比を
現在よりもロー側に振っていくのが最初の手段となります。

コレには定番的にはプーリーボスにシムを追加し、最小変速状態の変速比を
現在よりローに振っていくのが一番ですが…残念ながら縦型JOG系の場合、
ノーマル構成だとかなりベルト長が余り気味なので、あまり良い方向には持って
いけませんが、それでも多少は改善の余地はありますね。

これはまず、サービスマニュアル値にも記されていますが最小変速状態の
変速比を数値で知らないと何も始まらないので、「ドライブ側を何回回せば
ドリブン側が一回転するか」を手回し計測で確認します。

ドライブフェイスの適当な所にケースとの合わせ位置をマークし、同じ様に
ドリブンフェイス(クラッチアウターでは駄目ですよ)にもマークし、ドライブ側を
手で回していけば、おおむね2.5回転とかでドリブン側が一回転するはずですよ。


で、これが実際の実回転による発進時の変速比になるのですが、コレを把握した
上で、ボスにシムを足していきある程度まで発進時のロー傾向を探っていきます。

なおこれには注意点も多々あり、鉄則として「ベルトの裏側がボスに接触して
いない」事と「無変速状態にてドリブン側トルクカムが最小に閉じていない」事です。

このあたりは当サイトの「スクーター改造」内の「駆動系の「変速比」の計測と算出」を
ご覧頂きたく思いますが、マジックでベルトのかかり径をなぞり、その円の値から
計算でも出せるので是非熟読頂きたく思いますよ。


で、こうやってボスを長くしていくとプーリー構成やベルトサイズにもよりますが、
どんな車種でも物理的限界としては「3.0」に近い数値あたりが限界になります。
それ以上やると、ベルト裏がボスに接触していたり、トルクカムが全閉じ状態で
発進する事になるので、駆動系構成としては致命的な不具合になります(汗

仮に、3.0あたりまで詰められたと仮定すれば前述の組み換えギヤでの
総減速比は「31.14」あたりとなり、ノーマルどころかローギヤ仕様の2JAをも
上回るロー発進が可能となりますね。


なお、こういった構造作成はまず最初に行うものであり、数値である程度物事を
考えないと絶対に出来ないんですよね。

「セッティング」ではなく「駆動系構成」を形作るものですから、エンジンパワーに
見合っており、加速をロスしないファイナルギヤを付与させた上でという前提に
なりますが…余談ですがハイスピードプーリー化云々、というのはこのあたりを
全部ケリを付けてから最後にまだ最高速度が欲しければ追加で行うものでして、
正直、世の中の風聞ってのは逆転しまくっている、とも言えたりしますんで(笑


とはいえ、エンジンパワーがそれなりにあれば発進時の総減速比が27あたりでも
別に問題のある数値ではありませんし、50ccエンジンのノーマル風味であれば
私なら別に発進に苦しむレベルではない数値から、とは解釈しますね。

ちなみにリヤタイヤが10インチの原付二種だと総減速比は20前後とかですが、
さすがに排気量があってもここまでハイギヤードだとちと不満は出ます…
ファイナルがハイなのは当然ですが、駆動系構成が結構なハイギヤ発進に
なっている、という構成になってますんで。


そして、この発進時の変速比がある程度決まれば、次にエンジンのパワーバンドと
相談して、必要ならばクラッチイン回転数を調整していきます。

クラッチイン回転数は、駆動系の発進時の変速比が変わると他を何もいじらなくとも
変化していくものなので、先にクラッチスプリング等をいじくっていくと何がなにやら
分からなくなりがちなので注意です。
(これはシム調整をやってみると分かると思いますがクラッチイン回転数の変動は
如実にタコメーターに出ます)

ノーマルエンジン風味で、パワーバンドがノーマルとさして変わっていない場合には
あまり調整する必要は無いかもしれませんが、意外とアンダーなところで繋がって
いても人間って気付きにくいものなので、試す価値はあるでしょうね。


後、WRですがこれは発進時の具合の勘定には一切含めてはいけません。
WRというモノは、「エンジンの一番美味しい回転数を維持していく為の調整」にのみ
用いるものであり、変更したから発進が遅くなった、とかは気にしては駄目ですね。

全開加速を行った場合に、仮に7000rpmが一番速いのであれば、パワー特性以外の
点を変更したとしても(プーリー交換等)、まずその7000rpmの変速回転数にWRを
合わせていく事が一番大切であり、これがズレているとセッティングもクソも無いので(汗
なので、WRに関しては発進云々とは完全に分けて考えるべきです。


とまあ、色々記してしまいましたが。
ややこしい事を考えない場合は、駆動系構成を完全なるフルノーマルに戻し、WRのみの
調整を行った上で、ボスへのシム調整に挑むと良いでしょう。

なお純正でもそうですが、プーリーを変更すると発進時の変速比って結構変化して
いたりするので、2EXや3CPプーリーの素の状態でどれだけ違うのか、等を確認して
みても面白いと思いますよ。
社外品プーリーを使われていると純正よりはロー発進になっている事も多いですが…
ちなみに私のサーキット用FS-JOGだと発進時の駆動系変速比は2.8位にしてますね。


ではでは、長くなりましたが今回はこの辺りで失礼します。
管理人でした〜

- 関連一覧ツリー (■ をクリックするとツリーを一括表示します)


- 返信フォーム (この記事に返信する場合は下記フォームから投稿して下さい)
おなまえ
Eメール
タイトル
メッセージ
参照先
画像UP
暗証キー (英数字で8文字以内)
投稿キー (右画像の数字を入力) 投稿キー


- 投稿記事修正/削除フォーム -
処理 No 暗証キー

- WebForum -