記事No |
: 8049 |
タイトル |
: Re: 2014 1/32mile 2.990 リードエンジン タルキチさん |
投稿日 |
: 2019/11/19(Tue) 19:11:13 |
投稿者 |
: ねぎのリーダー@管理人 <neginoleader@yahoo.co.jp> |
参照先 |
: |
Leadio126さん毎度でございます〜
質問掲示板、制限を緩くしましたが無事書き込めた様で何よりですよ。 …スパムの類も今の所は無茶苦茶では無いのでなんとか(汗
> 少し古い話ですが、2014 1/32mile 2.990 リードエンジンでタルキチさんの記録 > マシンの内容です。 > 雑誌に公開されてますので、参照先に内容を貼っときます。 > やはりグランドの57mmキタコピストンを使用しコンロッドもグランド用に変更 > (14mmピンと少し長い)シリンダーヘッドをコンロッドが長い分掘り込んでます。 > ストロークを稼ぐため純正クランク加工で大端子を偏心3mm加工されてるようです。
さてさて、URL拝見しましたがSS1/32mileSCクラスにおいてリード100ベースの エンジンとしては文句無いトップエンドであるマシンですね〜 グランドアクシスの57φを用いてのチューンとなっていますが…おっしゃる通り この14φピストンピンをどう解決するのか、が問題だと思われます。 (雑誌そのものが手元に見当たらないので詳細は分かりませんが)
コンロッドそのものをグランドアクシスの物に変更している様ですが、その場合だと 小端部は元々の組み合わせのピストンを使う為に問題は無いはずですが、 大端部の径と幅、コンロッド長あたりがミソでしょう。
・リード100:大端部BG外径26o 幅14o コンロッド芯間長100o ・グランドアクシス:大端部BG外径24o 幅11.6o コンロッド芯間長90o
TKRJのデータを参照するとこうなっていますが… 大端ピン径がグランドアクシスの方が細いというのが不味いかなとも。
グランドアクシスのコンロッド大端部内径を2φ程度、精度良く拡大出来る余裕が あればクランクウェブ側の圧入穴も圧入出来るレベルで拡大すれば、後は コンロッド大端部の幅の問題のみでなんとかいけそうですが… その場合、大端ベアリングの幅がありすぎるのが問題ですね(汗
逆に、クランクピンの細いものを用いるとしても、今度はクランクウェブ側の穴を 埋めてから掘り直さないといけないと思いますし、大端ピン位置変更が前提で ある場合は、穴にはまるブッシュの様な物を作成して圧入&溶接固定、その上で 再度、高精度のクランクピン圧入穴を開けなおす必要があります。
…正直、このあたりはストリート的な耐久性も鑑みると構造的には実現可能で あったとしても、かなりのリスクを伴う事は間違いないでしょう。 こういっては何ですが、SS1/32mileという競技はわずか50mしか走りませんから、 エンジン構造等はある程度「持てば」良いので、正直言うと無茶な手法になって いるものも多数ある、というのが現実なので…
もちろん、こういうのを逆算的に考えるのは面白いのですけれどね(笑
> 126cc+17ccで143cc 排気ポートは弦長比無視のド迫力ポートです。 > これにPWM38を組み合わせて、爆発的な加速を生んでいるみたいです。
以前も記したかもしれませんが、ボア径は大きければ大きい程、排気ポートの 弦長って、リング折損のリスクについては「小さいボア径に比べれば」低下して くるものなんですよ。 リングが全く同一の素材で構成されている場合だと、ボア径が大きいほどリングの 屈曲率が低下する為、排気ポート部にてのリングの広がり具合って小径ボア程は 増大しなかったり。
なので、実際にはボア径が57φとかある場合だと、他の要素も大きく絡んでは きますが、40φや45φ程度のボアの同一比率の排気ポート弦長拡大と比較すれば リスクは小さめなので、リングが「引っ掻く」事って事例としては少なめです。
セオリー通りの排気弦長がボア径の70%としても、それが40φシリンダーと50φ シリンダーとではリスクが全然異なっている、といった点も覚えておかれると 宜しいかと思いますよ。 (※もちろん、排気ポートの落差のつけ方やリング材質、面取りやコンロッド角度、 ピストンピン上ピン下寸法等、加味する点もたくさんありますが)
> クランクの偏心加工なんてどこの内燃機屋でも出来る代物じゃァないですよね!
そうですね、大端ピン部の穴埋め+再加工といった方向性だと思いますが、これは かなりの難易度でしょうし当然ですが私はやった事ありません(笑 …リスクはかなり高い、とは思いますしね〜
> コンロッドをグラアクのに変更するのはいいアイデアですよね。 > 長いほうが他にも都合が良いようですが・・
コンロッドに関しては、ピストンピン径を許容するにはスペーサー云々よりも コンロッドを変更し大端部での辻褄を合わせる方が運用上においても メリットがあると思います。
以前の画像の様なピストンピン径の辻褄を合わせる様な手法だと、正直 いつまで持つか分かりませんしね… 社外品でよくある、小端ベアリングが横方向にズレまくるといったレベルであれば カラーで対策しますが、径そのものは難しい、という事で。
で、コンロッド長の変化による云々は、記事でも紹介されていると思いますが、 コンロッドの傾き加減がコンロッドの芯間長によって変わってくる、という事です。
これ、各車種のデータを比較してみると面白いのですが… 2st原付二種車のみざっくりと。
・(リード90) ストローク49.6o ・クランク90°コンロッド長91.5o時のコンロッド傾き=74.27°
・(リード100) ストローク49.6o ・クランク90°コンロッド長100o時のコンロッド傾き=75.63°
・(3WF) ストローク42o ・クランク90°コンロッド長84o時のコンロッド傾き=75.52°
・(4VP) ストローク47.6o ・クランク90°コンロッド長90o時のコンロッド傾き=74.66°
・(V100) ストローク46o ・クランク90°コンロッド長94o時のコンロッド傾き=75.83°
・(アドレス110) ストローク52.2o ・クランク90°コンロッド長105o時のコンロッド傾き=75.60°
各車種のノーマル構成において、クランク回転角度が90°、すなわち一番 コンロッドが斜めっている状態での角度の比較となります。 ちなみに私の個人的計算データなのでその点はご了承をば(爆 (小数点以下ある程度切捨て)
正直、このあたりってメーカーの設計思想もありますがエンジンとしての 基本というモノがありあまり大きな差異はありませんが、数字が大きく なっている方がコンロッドの傾きが小さく、「この数値だけ」を見るならば エンジンとしてはロスや負荷は小さくなっている、と解釈します。
なお、ボアxストロークと排気量が同一のエンジンの比較ですと、縦型Dioと 純正レーサーとも言われるNSR50では純正値の設計思想ですでに ↓こういった差異があったりしますよ。
・(AF18系) ストローク41.4o ・クランク90°コンロッド長80o時のコンロッド傾き=75.00°
・(NSR50) ストローク41.4o ・クランク90°コンロッド長93o時のコンロッド傾き=77.13°
NSR50のコンロッド長はAF18より長く取られており、コンロッドの傾きに関して ストリート的エンジンよりははるかに「起きて」いるんですよね。
一般的な「ロングコンロッド」的なチューンだと(ストロークアップではなく)、 おおむね77°とかのコンロッドの傾きを狙った物になるかと思いますが、 そういうのもこういった、純正レーサー的な数値から逆説的に当てはめて 数値を拾っている、といった点が見られるのも昔ながらありまして、こういうのも チューニング思想としては定番的ではありますが面白い点であったりします。
個人的には、SSエンジンではありますが3YKの横型JOGベースにおいて、 コンロッド長を10o程度伸ばす作戦を考えた事があり、MT車のコンロッドを 用いて何とかなるかな、と計画していたら社外のステージ6製品ですでに そういったブツがある事を発見して社外品を購入した、という事もあったり(笑
…45000円もしたんですがそれでも一から設計&流用加工を考えるとまだまだ ローコストで済んだ、といった経験もありますよ(汗
とまあ、このあたりまで来るとかなりのハイレベルなチューニングになりますが、 ポートタイミングや圧縮比云々なんてのは、すでにある程度の融通や辻褄合わせが 出来て当たり前で無いと手を出せないところ、とも言えますね〜
雑誌記事なんかは分かりやすい所しか紹介出来ませんし、詳細を記したところで 理解出来る人の方が小数でしょうからそのあたりは不明瞭な点があって当然では あると思うのですが、参考に出来るところはどんどん参照すべきでしょう。
ではでは、いつもながら長くなりましたが今回はこれにて失礼をば。 管理人でした〜
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