では続いてボーリングシリンダーへのレスです。
>ライブディオの純正シリンダーをボーリングしてみました。 >af27用ボアアップキットの43φのピストンとの調整ですが、ピストンリング合口部の位置は意外にデンジャラスなことにはなりませんでした。 >ピストンリング合口がある位置にマジックで印をつけています。
社外のAF18系用43φだと、ライブシリンダーのボーリングではリング合口の 問題は出なかったのですね。 これはなんとも僥倖だと私は思いますよ。掃気のどちらかにギリギリとかであれば、 邪道ですが1本リング仕様にしてシリンダーをちょっと「ひねって」組めばギリで 回避出来る手法もあったりするんですが、基本はやはりそんな事せずに誰が 組んでもそれなりの物になるのが理想ですんで。
>第2、第3、掃気ポートの中央にきています。
なお、リング合口点の確認はマジックでマーキングが一番確実ですし、この 位置であれば何があってもトラブルにはならないと言えるでしょうね。
>事前にわかっていたことですが第3掃気ポートは周りよりも2mmほど下がっています。他のポートはボーリング 前より0.5mm位下がった感じだと思います。ピストンピンからピストントップが2mmほど高いので合計2.5mmほどシリンダーを上に上げないとと考えると、ベース4mm位足さないといけない気がします。これが、結構危険かもと感じています。
第3は2o、第1第2は0.5oで済んでいるのですね。3φボーリングですと 壁面換算で1.5oですから、そこまでどかんと下がらないかなとも。
で、第3は前述した様に修正は簡単ですし、タイミングを上げても第1第2と来て 3番目に開く様にしておけばベターなので、手が滑らなければOKでしょう。 が、そういった場合はきちんと、通路出口の噴射角度をノーマルと同じ様に 可能な限り近づけないと、掃気流でピストンを冷却出来なくなるので注意です。
>ピストンピンからピストントップが2mmほど高い
そしてこれなんですが、これは「ピストンピン中心からピストントップ」までの 距離の事でしょうか?ピストンの「肩」まででは無いですかね? 当然、ピストントップの高さ自体もノーマルとは異なりますが、ピストンの肩までなら AF18系ピストン準拠だとAF34系との差はおおむね+3o位ありますが…
ここ、仮にポートタイミングと言いますか、「シリンダー上面からポート開口部までの 距離」が純正と同じとした場合、この43φピストンのピン上寸法がノーマルに比べ +3oなのであれば、その3o分クランクが回転する分、開口タイミングは 遅くなってしまいますね。
これを解決するには、単純にシリンダーを3oかさ上げすればその時点でやっと ノーマルと同じポートタイミングになりますが、ボーリングにてポートタイミングが 遅くなっているのであればそれも加味しないといけません。
排気ポートならまだどうとでもなりますが、第1第2掃気ポートを仮に0.5o程度、 加工で上げてやるのか、もしくはシリンダーかさ上げ量を3oではなく3.5oとして カバーするのか、といった点も選択肢になります。
しかし、それをやっても「掃気ポートタイミングは純正準拠」なので、パワーを 求めるならば私はライブDioのBBDC58°の掃気タイミングは遅い、と考えて いるので、ノーマルフィーリングを求める場合でも掃気タイミングは純正準拠の 数値では留めませんね〜
で、それでシリンダー自体を3oかさ上げしたとして、今度は下死点の問題が 出てきます。 ライブDioの場合、純正だとピストンが下死点でも掃気ポートって全開にはなって おらず、いくらか余裕があります。
これって、下死点時に「ピストンの肩部分と掃気開口部下側がツライチ」なのが 理想なんですが、これが仮に下死点時に掃気ポート開口部の下側が、 ピストンの肩より上にある場合、かなり不味い事になります。
その場合、掃気終盤において掃気流自体がピストンの頭を「舐めなく」なる為、 かなりの高温になる可能性がありまして…掃気ポート開口部の「下側」って、 下死点時には宙に浮いている様な状態になるよりはまだ「ピストンの肩に 被っている」方がはるかに安全だったりしますが…大抵、ノーマル車だと そうなってますよね。
>ベース4mm位足さないといけない気がします。これが、結構危険かもと感じています。
これは何を基準とし、どこをどう変更したからこの数値になるのか現段階では 私は把握出来ませんが、仮に4oかさ上げでシリンダーを上げるとなると、 3oのプレートをこしらえた上で、上下に0.5oのガスケットでサンドイッチすると いった手法になります。
言うまでもありませんが、プレートオンリーで液体ガスケットで留めるなんてのは 適当極まりない手法なので私からは絶対お奨めしません。
そして、4oのかさ上げならヘッドボルト式締結のホンダスクーターの場合、 クランクケース側へのネジ山のかかりが浅くなり、多少オーバートルクで 締結しなければならないボアアップ仕様の場合、かなりリスクが高まります。
AF18系に長いヘッドボルトがあったはずですがそういうのを使うか、もしくは クランクケース側にスタッドを立ててナットで留めるか、もしくはボルトを 作成するか…色々選択肢がありますね。
なお、シリンダーヘッドを加工する場合、設計上では「面」自体は3〜4o程度 落とす事も珍しくは無い為、そちらの設計を鑑みた上でヘッドボルトのねじ山の かかりを計算すると良いでしょう。 (※そういったつじつま合わせを狙い、容積や特性は同じでもヘッド側の設計や 加工寸法そのものを変更していったりもしますよ。私は、ですが)
>キタコの45はもう廃番ですかね。45.5なら入手できそうですが。
あらら、キタコの45φってもう無いんですかね… オーバーサイズは万が一の場合に使う物なので、最初からその寸法で作るのは 勿体無いんですが、45.25φももう無いんでしょうかね?あったらそっちで(泣
>ポートの狂いも大きくなりそうなので、一旦43φでチャレンジしてピストン品質面の問題が無視できないとなれば45.5φにチャレンジかと考えております。
ピストンの品質ですが、これは正直、AF18系43φだと台湾系の品ですよね。 私も昔使いましたが、JCCの43φだとリングは硬いですがまあそこまで悪くは ありませんでした。 が、見るからにアルミ素地ぴっかぴかのタイプは色々ヤバいでしょうね。
どこかで書きましたが、まずピストンという物は純アルミではなく、混じり物を たくさん加えて熱膨張や強度に対する対策としているのですが、見た目で あまりにぴかぴかなものは見るからにそういった混じり物をケチって作成して いるものだ、という事なので、まず熱膨張に耐しては多くを望めません。 間違いなく、安牌を取りピストンクリアランスは大きめに取るべきでしょう。
そういえばピストンクリアランスはどのくらいを指定されたのかというのも気に なってしまいますが、ピストンの上の方と下の方の寸法差、これを把握した上で 熱膨張を鑑み、それで決定しないといけないものなので。
…知識のないところだと、ピストンの一番大きな部位の寸法を基に、それに 対して純正でありえそうな数値、5/100とか6/100でOK、とする事もあったりも しますが、それで全て上手く行く訳ではない、といった点も補足しておきます。
もっと怖いのはリングでして、炭素鋼バリバリの硬くて柔軟性の無いリングだと、 下手な排気ポート加工や、やってるつもりだけの意味のない面取り加工では さして負荷をかけなくとも折損する可能性が高くなります。
リング自体は、ボア径が大きければ大きい程、屈曲率が低くなる為に同じ 材質や太さでも負荷に強く、排気ポートへ潜り込む率も下がるのですが。 50φを超えるボアだとほとんど考えなくても良い位なので、一時流行りましたが 無茶苦茶な弦長を持たせた排気ポート加工とか、あれってボア径が大きめの エンジンでやってるから「持ってる」だけでして、質の悪いリングだと40φ+α程度の ボア径で無茶すると高確率でボン、となりがちです…
とまあ、そんなこんなで私はキタコのピストンをお奨めしているワケですが。 廃盤では仕方ありませんが、キタコのピストンも説明書に書いていますが、 かなりの「寸胴」寸法なのでピストンクリアランスは大きめに取ってボーリング しないと一発でボン、という事で。
これは特性とか性能とか以前の問題で、エンジンとして最低限度必要な 機能、能力が付与されていない状態なので…そういった点をいかに無くして リスクを低減出来るかどうかが「自前ボーリングボアアップ」の醍醐味であり、 かつ、市販品ではなかなか出来ない事でもある、とも言えるので… 是非是非、このあたりをお勉強しつつ理想を形にして頂きたく思いますよ。
>元々、ジャンクになっていたシリンダーの再利用なので上手く使えれば貴重な資源の再利用になりますね。
そうですね。こればかりは焼き付いていてもフィンとかスタッド穴とかに問題が 無ければ、かなり有効活用が出来るのでその点だけはメリットが大きいと私も 考えておりますよ〜
ではでは、いつもながら長くなりましたが参考にして頂けると幸いです。 管理人でした〜
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