ライブディオ大好きさん毎度でございます〜
さてさて、前回のレスはかなり長くなりましたが、2stエンジンというものはシンプルと いえど、やはり「最低限度」の事でも色々ある、という事で…
> ピストンのクリアランスはピストン下の狭いところを基準に40umです。 > 純正のサービスマニュアルのデータを送ってこれを参考に少し広めでと伝えていたので、すが指示が曖昧でしたね。純正が50umなので少し狭い感じです。
取ったピストンクリアランスは0.04oという事ですね。 私は表記的には「4/100」とか「0.04」と表記しますが意味合いは伝わるかなとも。
で、純正値ですと公差を含めると広くとも5/100程度ですし、これは新品同士の シリンダー&ピストンを用いて多数の平均値を取っても、おおむねこれ位の 範囲には収まっていますから、このあたりはさすが純正、という事になります(笑
加工指示は純正より広め、という事だった様ですが、これは純正値でも公差は ありますから、広く取る場合であれば公差の最大値の5/100を上回る数値を 指定してあげれば良かったんですよね。
これって最終的に砥石での調整になる為、加工屋さんも寸分の狂いなく0.01を 合わせてこられるか、となればそれは不可能な場合もある為、そういった点も ふまえて寸法指定と公差を伝えないといけなかったりしますよ。
で、絶対的にその4/100でどうなのか、といった点について個人的な意見を 述べさせて頂きますと…これは前述の様に、ピストンそのものの材質や、 熱を受ける上の方の寸法と、ピストンクリアランスの基準となる下の方の 寸法、この2点の「寸法差」によってもピストンクリアランスは加味していかないと いけません。
下に一例の図を記しますが、もちろん0.1単位で変わっている物の為、目で見ても 分からないものですが絵は極端に書いておきました(笑
まず、ピストンと言うものはトップ側は燃焼圧力波を直接受け止める物なので、 当然ですが熱膨張は大きく、「上の方」のピストンクリアランスとしては下の方より かなり大きめになる様な設計がなされています。
図ですと、右側のピストンが40φ準拠として上の方が39.75o、下の方が39.95oと なっていますが、おおむね純正仕様で40φならこの上下寸法差もこの位で 取ってきているものです。
で、これがピストンの材質的に、熱膨張が大きそうな場合だともっと上の方の 寸法はでかくなってくる、といった推測が出来ますから、上下寸法差にて0.2oとか しかない場合は、ピストンクリアランスを6/100〜7/100程度まで大きめに取る事が 必須となりますね。
かつ、その上で上下寸法差が純正よりもさらに小さい、となればもっとピストン クリアランスが要りますし、ボア径が大きくなりピストンが大径になると、上下の 寸法差、というものは小さなものと同じではいけなくなり、それらも踏まえないと 適正に近いクリアランス、というのは求めていく事が出来ません。
なので、正直申しますと社外のぴかぴかピストンで、3φボアが大きくなっていると いった点を鑑みた場合、ピストンクリアランスが4/100ではかなりデンジャラスな 数値になっている、と私からは判断せざるを得ませんね…
もちろん、内燃機屋さんのノウハウにもよるんですが、このあたりって社外品が 前提であった場合、純正と同程度のピストンクリアランスで安定、という事は 私の知る限りではまずありません、という事で参考までにどうぞ。
あ、前述しましたキタコのピストンなんかは、材質的には熱膨張が少なめの 素材ですが、この「上下寸法差」は結構寸胴気味なので、説明書にも8/100程度は ピストンクリアランスを取ってください、と記されている理由はそこにあったり。 …以前、キタコピストンを純正値クリアランスでボーリングに出して、ほぼ一発で ぶっ壊した人も知ってますんで(汗
実際、このあたりは実際の設計や運用等、色々な経験値が無いと分析、指定が 難しいものなので、こういっては何ですがお任せレベルでピストンクリアランスを 決めていくと、いきなり成功する確率は高くはない、という事で…
んで、↓にざっと書いた絵ですがこれはこれでかなりの企業秘密の一つなので、 一応他言無用レベルという事でよろしくです(爆
> そしてピストンはjccのピストンを使う予定だったのですが、何故か送られてきたのはKJTのピストンでリーダーさんのいう、材質をケチった色にみえますね。
あらら…これは仕方ありませんね。私も結構前、JCCを指定してもKJTの物しか 送られてこなくなり、JCCはもう手に入らないと割り切っていますしね。
ピッカピカなのは仕方ありませんが、熱膨張が大きそうならば余計に前述の様な 上下寸法差の把握と、それに合わせたピストンクリアランスを指定すべきに なるんですよ。
正直、このあたりは単純にボーリング加工云々では測れないものですし、一律で 「〇/100あれば安心!」とかって言ってるとただの馬鹿なので、失敗も繰り返して 学んでいくしかないものですから構造的なお勉強も必要な難しい事ではありますね〜
> エンジンを下ろすようになったのはここ最近で社外ボアアップキットを二つほど、エンジンの積み下ろしも10回程度しか経験なく、排気ポートと掃気ポートの違いも最近わかったレベルなので、リーダーさんのコメントの理解度はあまり期待しないでください。 > > ある程度読んだら実地をして、また読み返してで理解度を上げていこうと思います。
いえいえ、人間なんて分からない事があって当然ですし、ピストンの材質云々は ともかく、「上下寸法差」の考慮なんて他所のところで同じ様な情報を見た事すら 私はありませんから、こういった機会からでも学んで頂ければ嬉しいです。 もちろん不明瞭な点があれば可能な限りアドバイス致しますので何でもどうぞ。
> 少し、コンテンツを見ていたらGダッシュ再生計画とかでよく似たような純正シリンダーボアアップをされていたのですね。
そうですね、あれは確かJCCの43φピストンを用い、この安物をベースとしたら どれくらいになるのかな、と思いクリアランスもきつめに作って実験したんですが、 常に高負荷を掛けなければ結局、数年間トラブルが起こる事はありませんでした。
ただ、それはあくまでピストン云々のみならず、各部のエンジンとしての整合性を きちんと詰めて作成しているから、といった点はご留意下さいな。
…いつものクチになりますが、社外品ボアアップなんて私から言わせれば、 最低限度きちんとすべき点すら出来ていないゴミばかり、ですからねえ… パワーがあるとか無いとかではなく、インプレする以前の問題であるという(略
> 自分はこれから、何度かやらかしながら純正ボアアップを作ることになると思うので遠い道のりです。
そうですね、これは腰上のみでストロークもノーマルとはいえ、大抵の部分の 見直しと再設計、そして整合性を求められますから簡単ではありません。 が、まずはポートタイミングと圧縮比、この2点を純正値に収められる様に 頭をひねっていくのがスタート地点になりますね。
> af27用43Φピストンを使ったボアアップはリーダーさんなら完成できるのではと思っております。もし取り組むことになった際は、是非コンテンツの作成もしてほしいですね。
そうですねえ…リング合口の整合性が取れるのであれば、ピストンピン上の 寸法差をどう許容するのか、もしくは出来るのかが問題になってきますが、 かなり追加工等が発生するのは間違いない為、試算でそういったパターンに なった場合は、他のパーツを用いて再設計する方向に舵を切る、という決断も チューニングとしては必須になりますので。
正直、トライしてみろと言われればやってみたくはありますが、設計的に どうしても無理があったり、なるようにしかならない点が多すぎる場合であれば 他の方法を考えるべき、といった答えになる事も結構ありますよ(笑
そもそも、社外品のボアアップとかストロークアップとか、流用での整合性を なんとかしてくれと依頼された場合、無理な物は無理と言う事も大事なので… 仮にコストがいくらかかってもOKだとしても、物理的に無理な物は無理ですしね。
> 画像板に別の角度から撮った43Φ対応シリンダーの写真を載せておきます。 > と思ったのですが、ここにも画像添付機能があったのですね。
そうなんですよ。ここのメイン板にも画像添付機能はちょっと前からくっつけて いるので、出来れば画像板の方はもうそっとしておいてやってほしいです(笑 あっちのは勝手が違って改良しづらいのでどうにもならない、とも言いま(略
とはいえ、文中に画像を貼れれば一番面白いのですがそれは難しいので、 旧態依然としたこの形式でも、要点をまとめ画像を貼れれば意思の疎通は 出来ている、と私は信じておりますですよ。
ではでは、いつもながら長くなりましたが参考にして頂けると幸いです。 管理人でした〜
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