つーさんお久しぶりでございます〜
さてさて、久々ですが例のリード90の件ですね。 …腰下破損、というのはなんとも痛ましいですがもはや年式的にはどうにも ならないといった車両ではあるので、しっかりOHして運用して頂きたいものですよ。
が、以前も記したと思いますがクランクシャフトがもうダメになっている場合だと、 クランクベアリングを交換しても長持ちはしないのでそこは祈るしかないでしょう。
> また、今回のベアリング破損で純正シリンダーはかなり傷が入ってしまい、腰下が戻ってきた時取り付ける腰上が、ヤフオク97.3ccかV100ピストン流用107ccの物があります。
で、シリンダーは再利用不可という事でボアアップ仕様に変更でしょうか。 しかし社外品だと、お察しの通り特性もクソもない様なブツしか無いのが基本に なるので、きちんと「純正との差異」を分析しておかないといけませんね。
図を拝見しましたが、ピストンは各種サイズが異なっているのは当然ですが、 まず、ピストンはピン下ピン上のサイズも把握すべきでしょう。 図ではピストンピンの外径部から上〜肩までとスカート下までになっていますが、 これはピン中央からの数値で把握しておくのが基本になります。 左の純正48φですとピン上24.8oピン下28o、といった感じです。
次に、排気ポート上側開口部までの距離ですが、これは純正基準を基として いくなれば、社外品等でシリンダーハイトすなわち「シリンダーの全長」が変わって しまっている場合だと、「上から何o」の数値は同等に比較出来なくなりますね。
純正が28.4oとありますが、社外50φで31.5oだったのであれば他の条件が全く 同一であれば、その差は3.1oとなりその分のクランク角度分排気タイミングが異なって きますが、これが仮に48φのシリンダーがノーマルより「2o」高かった(長かった)ら どうでしょう?
となれば、シリンダー上面から排気ポート開口部までの距離は数値的には31.5oで あっても、純正シリンダーのハイトを前提とすれば2o分低い位置が基準の0oと なるので、実際には「純正基準で29.5o」の位置が排気ポート開口部となります。
かつ、前述の「ピストンのピン上寸法」もノーマルと社外品ではまず同じ事は無いです。 ポートの開口という物は、ピストンの「肩」の位置がポート開口部まで達した時に 作用するものですからね。
では、これも純正ピストンのピン上が「24.8o」ですが、社外50φだと「25.3o」です。 これだと、仮に社外50φのシリンダーハイトと排気ポート開口部までの高さが 純正と全く同一の数値だったとしても、ピストンピン上寸法の差、0.5oを勘定に入れて やらないといけません。
なので、純正だとピストン上死点から「28.4o」のストロークで排気ポートが開口して いる場合、50φだとピストンの上死点位置が純正よりも0.5o高い位置から始まって いるので、実際には「28.9o」のストロークで排気ポートが開く事になります。
これはその0.5oのストロークの差がクランク角度で何度になるか、とちゃんと求めて いかないと差が分からないので、比較するならこういった点をきちんと求めないと 「パーツの距離」だけでははっきり言って何も比較出来ません、という事なんですよ。
このあたりはちと難しいですが、ストローク値やコンロッド長は変更せずに社外品の ボアアップを用いる場合でも、最低限度の特性比較というものは行わないと、 排気量が大きくなるだけでは意味がないどころがデチューンになる事が多い、と いうのは私があちこちに記している通りですね (笑
…と言いますか、適当な辻褄合わせチューンが横行しきってしまった今の時代、と 言いますかちょっと前の時代ですと、もうあきれる位に無茶ばかりだったと言っても 良いので、今の時代だとこういうのをちゃんと計測かつ分析出来る人ってほとんど 居なくなっているのだろうなあ…と思うとちょっと寂しい気もします。 が、2stというのは見た目ほど簡単ではない、というのは今さら言うまでも(略
んで次に、V100ピストンの流用とは珍しいですね。私はリード90への流用って初めて 耳にしましたよ。 逆に、V100ピストンを別の車種に流用なら2例ほどデータがありますが… 12φピンかつピン上寸法もなんとかなりそうですし、リード90ベースにもやってやれない 事は無さそうですねえ〜
ただ、ボア径は52.5φですがこれをリード90シリンダーにてボーリングするとなると、 もうスリーブってぺらっぺらではないでしょうか? 私以前、台湾系の50φベースで52.5φやった事ありますがかなりデンジャラスだった 記憶が…
さすがにある程度は肉厚が無いと簡単に熱で歪むものですし、場合によっては シリンダーフィン側との肉厚が薄い部位だけがごぼっとへこむ様に歪む事もあるのが ペラペラスリーブなので、そのあたりは注意が必要かなとも。
>ヘッドは52.5ミリに拡大されたヘッド(一緒に付いてきたもの)を使ってコンプレッションゲージで10ちょいくらいでした。 > こちらは、圧縮比を今後計算してみたいと思っております。
うーんこれに関してはノーコメントで(笑 圧力計測はあくまで自分の環境での「相対的数値」の比較の為に使う物であって、 性能や特性の指標にはなりづらいです、というのもいつものクチですね。 …と言いますか、圧力を指標にするのは良いんですが圧縮比をちゃんと計測と計算で 出せないならばエンジンをあれこれ語るのはちょっと早計な感じだなあ、というのが 私の基本なので。
> ここからは質問になるのですが、こちらのV100ピストン仕様は純正シリンダーをボーリングしてあるものなのですが、掃気ポート側と排気ポート側のスリーブ厚が違っておりまして、もしかするとセンターがズレてボーリングしたものか、純正シリンダーそのものがセンターが少しズレていたためあえてスリーブ厚を変えてあるのかハッキリしないのですが、確認する方法などはありますでしょうか?
そして本題なのですが、スリーブ厚が違うというのはそんなに極端なミリ単位で 異なっている、という事でしょうか?
これ、一応の指標としてはシリンダーのヘッドボルト穴からシリンダー内壁面までの 距離を4か所計測してみれば、ボアがヘッドボルトPCDの中心に居るのかどうかが 簡易的に分かりますよ。
とはいえ、ボーリング加工だとそのあたりをズラして掘る方が難しいと思いますし、 スリーブの肉厚で判断しているのであればあまりアテにはならないですよ。 実際に組んでみてピストン等がどうなっているのかを見る方が早いかもしれませんね。
これはどういった品なのかが全く分からないのでなんとも言えませんが、52.5φであれば かなり無理があるものだろうなあ、と私は感じますよ。 台湾系の50φでも2φのボーリングとはいえスリーブはかなり不安なレベルですからね。
それと最後にもう一つ、以前にも記したかもしれませんがリード90は純正状態では ポートタイミングはかなり遅く、圧縮比も低いのでそれを基準にして社外品を合わせて いっても、ほとんどパワーアップ出来る余地が無いでしょう。
せめて排気ポート弦長、排気&掃気タイミング、圧縮比とこの3つは適性なレベルに 落とし込まないと、排気量がいくらあってもまともなパワー特性はならない為、特に 原付二種の純正ベースだと難しいですね。
これはホンダ、ヤマハ、スズキどの二種でも原付一種のノーマルレベルにすら 達していない為、加工等をおもいっきりやったつもりでも全然足りていない、というのが よくあるのが2st原付二種なので… だからこそきちんとした計測と分析による特性判断が必要だ、という訳です。
あ、それと動画も拝見しましたが、異音と言うのがどれかちょっと分かりませんでした。 こういうのは普段から同じエンジン音を聞いていないと、ぱっと見てもそれが本来の メカノイズなのか異音なのかは分からない物なので。 かつ、動画だと音質や録音、再生環境の違いもありますからこういうのは動画等では 判断は出来ない物、と言いますか安易にやってはいけないものだ、という事で。
ではでは、いつもながら長くなりましたが不明瞭な点があればご指摘下さいませ。 管理人でした〜
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